新型コロナウイルスの感染拡大で4月4日までのリーグ戦中断が決定

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的にリーグ戦が中断される事態が発生している。イングランドプレミアリーグも例外ではないが、英誌「フォー・フォー・トゥー」は「今季のプレミア終了に何が起こる? コロナウイルスによる中断への対策オプション」と見出しを打ち、リーグ戦を締めくくるための“提案”を記している。

 プレミアリーグは現地時間13日、新型コロナウイルス感染拡大に対する措置として、4月4日までのリーグおよびカップ戦の中断を決定した。アーセナルのミケル・アルテタ監督やチェルシーカラムハドソン=オドイが新型コロナウイルスの陽性反応が出るなど、チーム関係者にも被害が出ている状況とあって、当然とも言える流れだろう。

 ただ、イングランドリーグ戦に加えてカップ戦が二つあり、FAカップでは引き分け再試合を採用している関係もあって、欧州の他リーグと比べても過密日程が激しい状況にある。予定通りにリーグが再開できなかった場合、残されたシーズンをフェアな形でどう消化するのかは大きなテーマとなる。

「フォー・フォー・トゥー」誌は「新型コロナウイルスの状況が悪化し、リーグ再開がさらに遅れた場合、何が適切な対処なのかはハッキリしていない」としたうえで、いくつかのアイデアを提示した。

 一つ目が、シンプルにリーグ戦を現在の順位のまま確定させてしまうというもの。リバプールが首位を独走しており、優勝争いという観点ではあまり異論は出ないかもしれない。ただ、欧州カップ戦の出場枠を巡る争い、それよりもさらにクラブの将来を左右する残留争いがネック。同誌も「これまでで最も議論を呼ぶ決断になりかねない」としている。

 次に提案されたのが、現状のまま新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが収まるのを待つというもの。この案について補足されているのが、今夏に予定されている欧州選手権(EURO)2020が来年の開催になる可能性が浮上しているということだ。仮にEUROが来年に延期されれば、欧州カップ戦とプレミアリーグの両方を合わせても全試合消化できる可能性は生まれてくると指摘されている。

無観客試合やミニリーグの開催に現実味はなく、シーズン中止もフェアではない

 3つ目は、これまでにも各国で開催されている無観客試合の数を増やし、やや強引にでも試合を消化していくこと。しかし、選手やクラブスタッフに陽性反応が出ている現状を鑑みると、あまり意味がない措置とも言え、現実的ではなさそうだ。

 4つ目がプレーオフやミニリーグを開催し、“直接対決”によって残留や欧州カップ戦の出場権といった来季の権利を争うというもの。この案では各チーム数試合を削減できることは間違いないが、リーグ戦での積み上げをある程度は無視することとなり、フェアさを欠く点が難しい。

 そして最後のオプションとされたのが、2019-20シーズンのプレミアリーグを完全に中止し、なかったものとしてしまうという“力技”だ。リーグ全試合を終えられないという前提に立てば、ある程度の妥当性はあるものの、最高のシーズンを過ごしていたリバプールが戴冠できないというのは明らかにフェアではない。

 5つのオプションが提示されたものの、「フォー・フォー・トゥー」の記事でも指摘されているように、現実的なのは現在の順位でのフィニッシュ、あるいはEURO2020の延期に期待して新型コロナウイルスの感染が収束に向かうのを待つことの二つ。世界最高峰のリーグとして名高いプレミアリーグは、どのような形で残りの2019-20シーズンを締めくくることになるのだろうか。(Football ZONE web編集部)

欧州各国リーグ同様に、プレミアリーグも中断を余儀なくされた【写真:Getty Images】