楽天といえば、英語公用語化など先進的な取り組みが注目を集めているが、また、ユニークな取り組みを始めた。

次のターゲットは女性社員。同社では5月から、社内のカフェテリアとコラボし、毎月最終水曜日を「キレイ℃ランチの日」に設定。体温管理に関するチラシが付いた女性に嬉しいオリジナルメニューの提供をスタートしたのだ。

なぜ、体温管理なのか?

実は今、日本では働く女性の低体温化が進行中。運動不足やストレス、オフィス環境などが原因で起こる低体温は、肩こりや頭痛、生理痛のほか、やせにくい、妊娠しにくいなど、さまざまな不調を引き起こすといわれている。

そこで、カフェテリアという身近な場所の食事をきっかけに、女性の体温管理の大切さを伝え、自分の体への意識を高めてもらおうと始まったのが、今回のコラボ企画「キレイ℃ランチ」。仕掛け人は、同社が3月に始めた新サービス「楽天キレイ℃ナビ」の開発チームだ。

「楽天キレイ℃ナビ」とは、基礎体温からわかる体のリズムに合わせて、体温周期と体のリズムに適した美容法などを届けてくれるスマホアプリ。共同企画した東芝のオリジナル基礎体温計付きで、ボタン1つで体温がスマホに転送できる手軽さがうけている。

「サービスを立ち上げたとき、真っ先に使って欲しいと思ったのは、当社の女性社員のように、忙しくてなかなか自分の体と向き合う機会がつくれていない女性でした」
というのはサービス開発担当の鈴木さん。ちなみに楽天の女性社員平均年齢は約30歳だ。

基礎体温というと、妊娠や生理のためのものと思われがちだが、美容と健康に対するさまざまなタイミングを知るにも有効。
「女性ホルモンのリズムによって、乾燥肌になりやすい時期・皮脂がでやすい時期・シミ、ソバカスができやすい時期などがあるので、基礎体温を付けてカラダのリズムがわかれば、日頃のケアもぐっと効率的になります」

「キレイ℃ランチ」も、美肌・美白・皮脂など毎回テーマを更新。取材時の第2回目は「美肌と基礎体温の関係」と題し、ビタミンAビタミンCたんぱく質が豊富な食材をたっぷり詰め込んだオリジナルメニューが用意されていた。入り口の目立つところにポップも飾られ、女性社員を中心にかなり関心を集めていた様子。実際、用意した分は早々に品切れとなり、追加で作り足すほどの人気だったとか。

カフェテリアの管理栄養士である西洋フード・コンパスグループの山下さんいわく、
「これまでカロリーをおさえたヘルシーメニューを提供したことはありますが、食材の効能に着目し、女性目線のキレイを謳うメニューを手がけたのは今回が初めてです」
女性社員からは、「普段食生活が乱れがちなので助かる」「食事をちょっと意識するようになった」といった声が届いているという。

家庭での食事のコツは?
「いろいろな食材をバランスよく食べることが大切です。今日のメニューに使ったトマトは美肌への効果が期待されるリコピンが豊富。そのまま食べられるので夏は常備しておくと便利です」
ほかにオクラ、長芋、納豆などのネバネバ系もオススメとのこと。

また、手軽な美肌メニューとして紹介してくれたのが、「ブロッコリーニンジンオリーブオイル炒め」。ニンニクトウガラシを炒めて香りをつけたオリーブオイルに、ブロッコリーと人参の千切りを加えて炒めるだけのシンプルレシピだが、アンチョビで風味を加えたり、ナッツを入れたり、アレンジも楽しめる。

同社ではこのほかにも、女性社員を対象にした講演会「働く女性のライフサイクルと産めるカラダづくり」を社内にて開催。こちらもかなりの盛況だったという。

忙しく働きながらも美容や健康意識が高い女性が増えている昨今。働く女性には嬉しい取り組みといえそうだ。
(古屋江美子)

「キレイ℃ランチ」の一例。この日のメインは良質なたんぱく質たっぷりの蒸し鶏と、リコピン豊富なトマトが主役の「たっぷりトマトと蒸し鶏のピリ辛冷麺」