現在発売中のJC『キン肉マン』43巻で、シリーズ通巻100巻を達成したゆでたまご先生を緊急直撃!

100 冊の『キン肉マン』を生み出すまでの苦悩と栄光、そしてカバー絵に隠された感涙エピソードを初披露!?

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――まずは通巻100巻達成、おめでとうございます

嶋田 ようこんだけ続けてこれたなって思うんですよ。ジャンプで描いてた若手の頃はただガムシャラにやってて、その後に苦労した時期も挟んで……。時間はかかりましたけど、それで気づいたら100冊。ホンマによう、やってきたなって。

中井 まさか『キン肉マン』で100冊も出せるなんて思いもしませんでしたから。ほかの作品、例えばジャンプだと『こち亀』が先駆けですが、自分たちとは縁のない世界のことのように見ていた。まぁ僕らは『キン肉マンⅡ世』も含めた“シリーズ”ですけど、それでもここまでやれるとはね。

嶋田 ああいうのはごく一部の、特別な作家だけができることやと思ってた。山あり谷ありの僕らみたいなんでもそれができたというのは、自分で言うのもどうかと思いますけど、それでもちょっとだけ、誇らしくも思うんです。

――これまで100冊作ってこられたなかで、特に思い出深い巻は?

中井 やっぱり最初の1巻ですよね。自分たちのマンガコミックスになるっていうのが、本当に信じられないほどうれしかったし、この1巻に収録されてる一話一話って、今とは違う意味でどれも全力なんですよ。夢や思いを毎週ありったけ詰め込んで描いた話ばかりですから。まさに僕らの思いの結晶で、特別ですよね。

嶋田 やっと本当のプロになれた気がして。今から見たら拙(つたな)いかもしれないけれど、あのカバーの絵もすごくインパクトあって、よかったと思う。確か中井君が本の表紙として描いたカラー原稿は、あれが初めてと違う?

中井 そうやね。連載始まってからも僕らはなかなか、1年くらいジャンプの表紙を描かせてもらえへんかったんですよ。別の人がキン肉マンの絵を描いて、顔も勝手に緑色に着色されて……。

嶋田 なんで緑色なんよ?(笑)

中井 さぁ? でも初代の担当の中野さんが、僕に対してそこは厳しかったんですよ。「キミはまだカラーで表紙を描いていいレベルじゃない!」って。

嶋田 そういえば中野さん、扉絵に関してもうるさかったよなー。

中井 あの人ね、打ち合わせのときにまず自分で扉のラフを描くんですよ。僕がそれと違う絵を描こうとすると、怒りだす(笑)

嶋田 中野さんの持論があって、な? 扉を見ただけでその回がどういう内容かわかるようなものがいいって。それでその回に登場するキャラクターごちゃごちゃ並べるのがすごい好きで。

中井 3巻に「悪魔のテリーマンの巻」という回があって、この扉絵は僕がなんとか自分の案を押し通したんですけど、あれだって最後まで反対してたもんな。「こんな絵は10年早い!」って。

嶋田 そのくせ、女のコがビリヤードしてる絵の扉あったやん?(JC2巻収録「キン をもとめて…の巻」)。あれ、確か中野さんの案やろ? あれこそ全然、話と関係ないやん(笑)

中井 たまにそういうようわからんとこもあるねんけど(笑)。中野さん、コミックスカバーに関しても同じように、「絵を見ただけでその巻の内容がわかるほうがいい」っていう持論があって、それは確かに言うとおりかなぁと思うんで、ずっと守ってるよね。

嶋田 そやから今回の43巻もどんな表紙がいいかって、ふたりでいろいろ話し合ったんですけど、最終的にはこの巻で活躍する四次元殺法コンビにしたんです。

中井 迷いましたね。100巻目の記念の巻にキン肉マンがいないのは変かと思って一応、キン肉マンが中心にいるラフも作ったんですよ。でも相棒と話して「これはまた今度、50巻とか出せるまで頑張れたらそのときに使えるやん?」ってね。巻の中身もわかりやすいし、じゃあ四次元殺法コンビにしようかと。そこは中野さんの教えが染みついてて、いまだに踏襲し続けているところですね。

嶋田 だから今回の復刻版のカバーも「構図は変えずに絵だけ今のクオリティで描き直そう」っていう案、これは中井君の発案なんですが、いいなと思ったんですよ。

中井 正直、4巻や5巻あたりは、構図から完全にやり直したほうがいいかなと迷いましたけどねぇ。せっかく当時、中野さんにアドバイスを受けながら悩んでひねり出したものなんで愛着もあるし、そこはなんとか背景を足したりしてちょっとずつ工夫しながらね、ベストを尽くしましたよ。

――復刻版36巻分の背表紙をすべて異なる超人が飾るというこだわりもスゴいじゃないですか。これだけ多彩な超人が並ぶと壮観ですよ。

中井 注目してほしいのは3巻のカレクック。もう描く機会はないと思っていた超人をこうしてあらためて描けるのは楽しいですね!

――そういう意味では「超人総選挙2013」で29位にランクインした超人を主人公にした読み切りを描くという約束もされてますが……?

中井 僕はカレクックの読み切りが描きたいんですけどねぇ(笑)

嶋田 どんな読み切りを描くことになるのか、僕らが一番楽しみにしてるかもしれないですね。

――では最後に、読者へのメッセージをお願いします!

中井 今回せっかく36巻分描き直しましたので、全巻手に取って旧カバーと比べて楽しんでもらえれば、描いたかいがありますね。

嶋田 そもそもジャンプコミックスの棚に並ぶ以上、現役のジャンプの連載作品とも勝負していかなあかんからね。「なんや古いマンガか?」と思われないよう、中井君に絵もしっかり描き直してもらったし、今の子供にも興味持ってどんどん手に取ってもらいたいね。

中井 そうやね、そこ目指してやってるし。そういう意味では僕ら自身も『キン肉マン』もまだまだ現役で闘っている作品なんだということをあらためて今回の一連の企画で多くの人に知ってもらえたらうれしいですね。

嶋田 あと中野さんにズラッと並べて見せて言いたいわ。「こんな立派にカラー原稿描けるようになりました」ってな!(笑)

(取材・文/山下貴弘、撮影/高橋定敬)

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カバー絵を描き終えた直後のゆでたまご先生(左・嶋田隆司先生、右・中井義則先生)