彼氏から「少し距離を置きたい」と言われたというご質問をたくさんいただきますが、「距離を置きたい=別れたい」と思って頂いてまったく問題ございません。
「少し距離を置きたい」でも「しばらく距離を置きたい」でも「冷静になるために距離を置きたい」でも、それらはすべて「別れたい」という言葉の婉曲表現といえるでしょう。
残念ながら「距離を置きたい」と言われてしまったら、その恋はほぼ終わっているのです。
とはいえ、振られる側からすれば「距離を置きたい」なんていう曖昧な表現ではなく、明確に「別れたい」と言ってもらった方がありがたいことでしょう。
曖昧な表現では「もしかしたらまだ!」と思ってその恋を諦めることができませんが、「別れたい」と言ってもらえればスパッと恋を諦められる気がするのではないでしょうか。
それでは男性は一体なぜ「別れたい」ではなく「距離を置きたい」という言葉を使うのでしょうか?
■“彼の視点”を持とう。「スパッと諦めたい」は自分の都合
どうせ振るならスパッと「別れたい」と言ってほしい。
「距離を置きたい」と言われた方の多くはこのように感じることでしょう。
しかし大変失礼ながら、そのように考えてしまうことこそが皆さまの恋が終わってしまった原因のひとつかもしれません。
確かに振られる側からすれば、スパッと言い切ってもらったほうがありがたいことでしょう。
ですがそれは残念ながら「振られる側の事情」でしかありません。仮に皆さまが「スパッと言ってほしい」と思っていたとしても、相手の男性がその事情を汲んでそのように対応する理由にはならないのです。
ですのでもしも皆さまの中に「スパッと言い切ってもらったほうがありがたいのに、どうしてそうしてくれないんだろう……」とお悩みの方がいたら、それは思考の出発点からして間違っていると言わざるを得ません。
その思考には“彼の視点”という要素が完全に抜け落ちているのです。相手の立場であればどう考えるかということを考えておらず、自分の立場でどちらの方が都合が良いと考えているといえるでしょう。
彼がどのように行動するのかを考えるためには“彼の視点”でどのように見えるかということを最優先で考えなければなりません。最優先事項が抜け落ちているのですから、いつまで経っても答えに辿り着けないのは当然のことでしょう。
そして大変失礼では御座いますが、おそらくこのように考えてしまった方は、付き合っている最中も“彼の視点”が抜け落ちている可能性が高いのです。それでは恋が終わってしまうのも仕方がないでしょう。
もちろん私はそんな方が「ワガママだ」と言いたいわけではありません。ただ「思考のスタート地点が間違っている」と言いたいだけで御座います。
ですので今回の恋は諦めるにしても、次回の恋のためにも“彼の視点”で一体どのような景色が見えているのかということを学ぶことは重要でしょう。
■別れを切り出すのは圧倒的に女性である理由
恋愛でも結婚でも、別れを切り出すのは圧倒的に女性が多くなっております。
これはさまざまな事情が御座いますが、女性から別れを切り出すことが多い原因のひとつとして「男性は別れを切り出すメリットがあまりない」ということがあるでしょう。
女性は嫌いになった男性のことを「生ゴミ」のように感じてしまう傾向が御座いますが、男性は嫌いな女性のことを「興味がない本」くらいにしか感じません。
生ゴミは家にあると不快なので急いで捨てる必要が御座いますが、興味がない本は家にあってもそこまで不快ではないので急いで捨てる必要はないでしょう。
興味がない本を捨てるのは本棚がいっぱいになり、新しい本が入らなくなったとき。つまり男性は今の恋人の存在が新しい彼女の邪魔にならない限り、わざわざ振ったりはしないのです。
しかし、男性に振る理由がなくとも興味を失われ放置された女性としてはたまったものでは御座いません。ですので男性が今の恋人の存在を邪魔に感じるよりも先に、女性が自分から自分のことを放置する彼氏を振ってしまうのです。
ですので男性は自分から女性を振ることが少ないのです。
■人を振るのは疲れる。男性が「距離を置きたい」と言う理由
◇相手が悲しむ言葉など言いたくない
南波兄弟が宇宙を目指す漫画『宇宙兄弟』には、男性が自分から別れを切り出さない理由を理解するためにぴったりなシーンがございます。
そのシーンというのはJAXAのスタッフが宇宙飛行士試験を受けている受験生に合否の電話をするシーン。
このシーンで最初は鶴見というスタッフが1人で合否を電話していたのですが、星加というスタッフが「俺も合格ですと言いたい」と言って、合格を告げる仕事を分けてもらうようにお願いします。
そのときの鶴見の返事が
「じゃあ半分分けてやろう。ただし……不合格を伝える辛さも味わってもらうぞ」
というもの。
この言葉こそ男性が「ちょっと距離を置きたい」なんていう面倒な言い回しをする理由を的確に表したものでしょう。
誰だって、相手が悲しむ言葉など言いたくないのです。
それは相手が誰であっても変わりません。よほど特殊な状況を除けば、人は相手にいい言葉や優しい言葉を言いたいのです。
これは何も「人間は本質的に優しい」などという綺麗事からでは御座いません。
相手につらい言葉をかければ相手からの好感度は間違いなく下がります。相手に恨まれたり、自分が悪者になってしまうことも少なくないでしょう。
ですので人間は優しさだけではなく、自己保身のためにも相手に優しい言葉をかけたい生き物なのです。厳しい通告などできることなら誰もしたくありません。
それではこのことを踏まえて彼女と別れたい男性の心理を考えてみましょう。
◇男性が自分から別れを切り出さない最大の理由
先ほど申し上げた通り、男性は別れたいと思っている女性であっても、早急に自分のテリトリーから追放したいとは思っておりません。
興味もないし新たに何かをすることもないけれど、わざわざ自分から捨てるほどではない。かなり冷たい言い方になりましたが、これこそが男性の心理でございます。
つまり自分から別れを告げなくとも、今の時点では実害がほぼ0。そんな状況でわざわざ別れを告げるなんていうつらい行動を選択する理由がございません。
例えば皆さまの家にまったく使っていない家具があったとしましょう。
今の時点でまったく使っていないし、今後も使うことはない。その上、捨てるには処分費用がかかる。
もしもこの家具が大きくて、実生活を大きく邪魔しているのであれば処分費用を支払ってでも捨てることでしょう。しかしこの家具が小さくて、実害がほぼなければわざわざ捨てたりはしないのではないでしょうか?
使わないとはいえ、別にあっても困っていない。そんなものをわざわざ面倒な手間とお金を払ってまで人は捨てたり致しません。
これこそが男性が自分から別れを切り出さない最大の理由でしょう。
しかしすでに使っていない家具なので、自分からどっかに行ってくれるのであれば止める理由は御座いません。
ですので男性は「少し距離を置きたい」と言って、家具が自分からどっかに行ってくれることを望んでいるのです。
◇「別れよう」と言ってくれる男性は稀
振られる立場の女性からすれば、スパッと「別れよう」と言ってもらえたほうがありがたいのは間違いありません。
しかし男性の視点に立って考えれば、わざわざ「別れよう」と言うのはあまりにもメリットがないことなのです。
ですのでもしも男性がスパッと「別れよう」と言ってくれたのであれば、その男性は「これから別れる女性の今後のこと」も考えている非常に優しい人物の可能性が高いでしょう。
逆に言えば「ちょっと距離を置こう」と言う男性は、良い意味でも悪い意味でも「女性のその後」がどうなろうと知ったことではないと思っていると言えるのです。
もちろんこれから別れようとしている相手であるのは間違いないので、その後のことを考えないことがそこまで悪いことだとは思いません。
しかし、曲がりなりにも一時は付き合っていた相手の今後をまったく考えない男性が、そこまで魅力的な男性かと言えばかなり疑問が残ります。
■別れたくない! 「距離を置こう」と言われたときの対処法
さて、それでは最後に「距離を置こう」と言われて、それでもなお諦められない女性の方のために対処法をお教え致します。
先にお断りさせていただきますが、私はこの方法をオススメしません。
すでに終わっている恋の運命を捻じ曲げて、なんとか関係を継続しようとしているのです。そんな方法が真っ当なはずもありません。
もちろん違法な行為では御座いませんが、構造的には「お金が欲しい」と悩んでいる方に対して「強盗をしよう!」と提案するようなもの。目的のためにほかのすべてを犠牲にする超ハイリスクな方法で御座います。
そもそも成功率が低い上に、成功しても得られるものはごくわずか。その上、失敗した場合のリスクは非常に高く、彼だけではなくすべてを失ってしまう可能性もあるでしょう。
「彼と付き合いを継続できるなら、ほかのすべてを失ってもいい」というレベルの覚悟がなければオススメ致しません。そしてこの「ほかのすべて」には「彼の好感度」すら含まれております。
それでもなお彼との交際を継続して「彼女」という立場を固持したいのであれば、この方法を使うのもやぶさかではありませんが、そんなことをしてまで彼女という立場を固持することに意味があるとは思えません。
とはいえ、もしもそれでもなお「彼女」という立場に執着するのであれば、彼が困ることをすれば良いのです。
そもそも「距離を置きたい」と言って別れようとする男性は、穏便な自然消滅を狙っているのです。できる限り自然かつ穏便に関係を終わらせることこそが彼の最大の望みといえるでしょう。
それならば「このままでは絶対に穏便にならない」と彼に伝えれば、彼は少なくとも自然消滅のルートは諦めるでしょう。もちろんその結果「別れよう」と素直に言われて終わる可能性も御座いますが、彼が極度のものぐさであればなあなあのうちに関係を継続できる可能性はございます。
つまり徹底的にゴネるのです。
「距離を置こう」という彼の願いを完全に無視して連絡をしまくる。彼の知人に「ラブラブなの!」と言いふらし、彼との写真を共有しまくる。
もちろん彼の好意は暴落しますが、ここまでされると男性はそれはそれで別れを告げにくくなるのです。そこに愛などというものは御座いませんが、彼女という立場を固持することはできなくもありません。
ただこんな方法で彼との関係を継続しても、それに意味があるかといえば甚だ疑問ですが、すでに終わっている運命をねじ曲げるためにはこれくらいの代償が必要になるのです。
(ラブホの上野さん)
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