詳細画像はこちら

役者が揃ってきた白内装SUV

textKazuhiro Nanyo(南陽一浩)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

日本の輸入車市場でドイツ車は手堅いとはいえ、非ドイツ勢が伸長していることは確かだ。

その先鋒はボルボで、昨年は国内で1万9000台弱、グローバルで70万5500台と、国内外とも前年比で約1割ほど伸びている。路上でよくすれ違うのには、やはり理由があるのだ。

詳細画像はこちら
2020年モデルで改良新型になったボルボXC90。試乗車はグロッシーブラックを各部のアクセントにしたRデザイン

今回、新世代ボルボを先駆けたフラッグシップモデル、XC90マイナーチェンジフェイスリフトを迎えた。売れているモデルの常らしくデザインの変更は最小限で、フロントグリルと前後バンパーのインサートが少し変わったが、ほぼ間違い探しレベル

しかも昨年より導入されたディーゼルユニット「D5」Rデザイン仕様に、レザーの白内装が選べるようになった。これまでRデザインは黒レザーで、明るいベージュ内装はインスクリプションで用意されていたのみ。Rデザインのスポーティな走り味と、明るく甘いインテリアによる、新境地という訳だ。

国産車ではマツダSUVが頑張っている通り、明色インテリアにトレンドの気配が漂っているが、もう1つ注目の白内装グルマが追加された。

それがDS 7クロスバックの「リヴォリ」だ。こちらもプラットフォームを同じくするプジョー5008らと並んでここ数年、日本で大きくシェアを伸ばしたグループPSAのDSブランド、そのフラッグシップモデルだ。

同系色トーンか、コントラストか

全長5m弱のフルサイズSUVであるXC90と、4.6m弱でDセグとCセグの中間を狙うDS 7クロスバック。車格が異なって直接比較は無理があるが、前者はアメリカ市場にも重きがあるのに対し、後者は欧州オリエテッドモデルで、それぞれのお国柄を代表する白内装のフラッグシップモデルという点では比べ甲斐はある。

ちなみに両社とも2Lディーゼルに組み合わせるトランスミッションは、アイシンAW製の8速ATだ。

詳細画像はこちら
オフホワイト調のシートカラーブロンド」が、ボルボXC90 Rデザインで選べるようになった。

まずXC90 D5 AWD Rデザインの内装だが、植物鞣しのファインナッパレザーとパーフォレーション穴が施された専用スポーツシート。インスクリプションのベージュがかったニュアンスとは異なる、わずかに青味がかったオフホワイトだ。

だからこそ、そこに組み合わされたダッシュボードからドアパネル、センターコンソールにかけての、カーボンアルミの冷んやりした色合いや質感とよく馴染む。いわば同系色トーンの白内装なのだ。

リヴォリ通りの名 内装に

ここ数年、ボルボが好評を得ているのは、この「内装力」によるところが大きい。「カーボン風」「アルミ風パネル」といった見た目だけのなんちゃって質感パーツがないのだ。

今回試乗したのはオプション110万円分を加えた、ベース価格で959万円の特別仕様車だが、シート素材以外はデフォルトで価格に含まれる内装だ。

詳細画像はこちら
DS 7クロスバックは内外装をコーディネートできる「オートチュール」サービスを用意。試乗車の内装は、リヴォリというテーマに追加されたパールグレー・レザー。

対するDS 7クロスバックグランシックの「リヴォリ」のナッパレザーは、新たに追加された「パールグレー」。真珠に想を得たこの「グレージュ(グレー+ベージュ)」には少し暖色のニュアンスがある。

艶消しチャコールグレーダッシュボードやステッチラインと相まって、地味ハデ・コントラストの白内装だ。

ベース価格は589万7000円にパノラミックサンルーフとナイトビジョンなど約60万円弱のオプションが載っている。

アイコンとなるか 反転時計

XC90と同じ2Lディーゼルとはいえ、DS 7クロスバックは車格的にXC60とXC40の中間。

イグニッションONで反転する時計からセンターコンソールにかけ、クルー・ド・パリと呼ばれる打ち目模様のインサートが目を引くものの、アルミプラスチックなので素材感という点では見劣りする。

詳細画像はこちら
DS 7クロスバックグランシックのインパネ中央に陣取る反転時計。

とはいえ近年、ポルシェカイエンランボルギーニも採用するフォルシア社製のシートは、アタリは柔らかいが横方向のサポートに優れ、ドイツ車よりはソフトだがあくまでスポ―ティなRデザインシートに座り心地で引けをとらない。

ただしボルボの方は、事故時の着地ショックを和らげるランオフロードプロテクションという、独自のパッシブ・セーフティ装置を備えるなど、安全面では独走感すらある。

“寛ぎ”の白 首尾一貫がキー

いずれも前半分が開くパノラミックルーフを備えた白内装ながら、インテリア全体の印象は180度異なる。

採光性の高い大きなグラスエリアから、明るく開放的な3列シートを実現したXC90は大家族歓迎のピープルムーバー的な、健康で朗らかな空間。

詳細画像はこちら
3列目まで安全性は一緒と明言するボルボ。カーテンエアバックもしっかりカバーする。それだけに、導入当初から3列シート車を標準としている。

一方のDS 7クロスバックは、濃いグレー内張りのマットな艶消し効果と、下半分だけレザーシートの明るさによる間接照明ライクな効果で、プライバシー性の高いラウンジ風の空間だ。

こうした首尾一貫したテイストのある内装は、加飾パーツだけで世界観を造りがちな国産車やドイツ車にはない魅力といえる。

今回は箱根の別荘地から湖尻峠の短いワインディングという条件での試乗だったが、まずXC90のD5、48.9kg-mの強大なパンチ力に面食らった。

【試乗】改良新型XC90/DS 7 ディーゼル比較

XC90 D5 AWDのピークトルク発生回転域が1750rpm~というのはディーゼルでは今や標準的だが、1500rpm辺りでも十分にトルクのツキが感じられ盛り上がりが早い。

7名乗車とトランクをも考慮してか、ゼロ発進でローギアードの唸りをやや感じるが、約2.1tのマスを感じさせない転がり出しは、お見事だ。ちなみに足元は22インチの巨大ホイールに、ボルボ専用チューンの35扁平のピレリという超カリフォルニアン・スペック

詳細画像はこちら
エアサスを搭載しているため、ドライブモードに応じて-20mm〜+40mmの範囲で車高調整が可能。エントリー時は-40mm、荷積み時は-50mmに調節できる。

エアサスを通常モードコンフォート)で走り出したが、地面を舐めるように軽快で、乗り心地にゴツンとかドシンといった角がない。あまつさえ、このままワインディングに入っても、正確なハンドリングと回頭感のよさで、2.1tもの巨体が向こうから手のひらに自然に収まってくるような、心地よさがある。

走行モードスポーツに変えれば、操作類のレスポンスと足の動きが一段、引き締められるが、ライド感の固さを感じる局面はついぞなかった。唯一難癖つけるとすれば、エコ・モードレスポンスワインディングで眠い程度だ。

熟成されたしなやかな脚といい、人によく慣れた大型動物、そんな印象が残った。

動的質感も、瑞・仏で異なる世界

対するDS 7クロスバックの方は、既存モデルにはオプションでしか選べなかった19インチホイール履きで、期待は高まる。

さすが体躯がふた回りも小さいだけあり、1.7tほどのDS 7クロスバックハンドリングの軽快感で優る。コンフォートモードでONになるアクティブスキャン・サスも、効能は確かにあって、フラットな乗り心地はクラスレスでさえある。

詳細画像はこちら
古典的なフランス車を想わせる足と、トルク豊かなパワートレインマッチした走りは独特な味わい。

加えて粘っこいロードホールディングと、しっとりしたステアリングの感触は、フランス車の古典を巧みに解釈している。ただし40.8kg-mのFFパワートレインゆえ、トルク感の分厚さや加速に移るレスポンスでは、怪力AWDであるXC90に1.5歩ほど譲らざるを得ない。

そこと素材感はやはり、車格と価格の差が反映されているところなのだ。

ただDS 7クロスバックが意地を見せたのは高速道路上。ステアリングコラム脇の物理的スイッチを押し、レーンキープアシストON。この状態でACCを効かせると車線に対して自車位置を記憶するので、ピンボール現象のないレベル2の「怖くない」使いやすさで際立っていた。

白内装 上品に見える理由とは?

瑞・仏で異なる2台を今回はレポートしたが、白内装は色移りを防ぐためにブルージーンズは避けるなど、レザーのウレタン保護コーティングが向上したとはいえ服を選ぶ仕様ではある。

それを面倒だと思うか、外出時のお洒落に気合いが入ってよしとするかは、乗る人次第だが、クルマを大事に扱う要因になることは間違いない。

詳細画像はこちら
改良新型ボルボXC90 D5 AWD Rデザインの白内装(2列目)。

登録済みの即納可な新古車を、コスパで選ぶヤカラっぽい乗り方より、結果的に上品に仕上がるであろう、そんなトータル・オーナーシップの質が上がる効果の方が大きいはずだ。

試乗車 スペック

ボルボXC90 D5 AWD Rデザイン

価格:959万円
全長:4950mm
全幅:1960mm
全高:1760mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:13.6km/L(WLTCモード
CO2排出量:-
車両重量:2110kg(電動サンルーフ車)
パワートレイン:直列4気筒1968ccディーゼル・ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:235ps/4000rpm
最大トルク:48.9kg-m/1750-2250rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:7名

DS 7クロスバック・グランシック・ブルーHDi

価格:589万7000円
全長:4590mm
全幅:1895mm
全高:1635mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:18.8km/L(JC08モード
CO2排出量:-
車両重量:1720kg(電動サンルーフ車)
パワートレイン:直列4気筒1997ccディーゼル・ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:177ps/3750rpm
最大トルク:40.8kg-m/2000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:5名

詳細画像はこちら
DS 7クロスバックグランシックの「リヴォリ」インスピレーションの白内装。

■DSの記事
ボルボXC90 D5 AWD Rデザイン/DS 7クロスバック・グランシック・ブルーHDi
【オペル買収の効果も】グループPSA、記録的な利益を計上 SUV投入とコスト削減が勝因 2019年
【仏DS 将来はこの顔?】DSエアロスポーツ・ラウンジ フォーミュラE由来、680psの電動SUV
【フランスから新型サルーン】DS 9、PHEV/ガソリン車が登場 サイズ/内装は? ジュネーブショー2020

ボルボの記事
ボルボXC90 D5 AWD Rデザイン/DS 7クロスバック・グランシック・ブルーHDi
ボルボXC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5
【独自のデザインを目指す】ポールスター・プリセプト 電動4ドア・グランドツアラー
ボルボXC60 B5ガソリン AWD Rデザイン(英国仕様)

■比較テストの記事
ボルボXC90 D5 AWD Rデザイン/DS 7クロスバック・グランシック・ブルーHDi
アルピーヌA110 S
マクラーレンF1/P1/セナ
BMW 320d/アルファ・ロメオ・ステルヴィオ/レンジローバー・イヴォーク

【上品なSUV 内装はなぜ白?】ボルボXC90のマイチェン版と、DS 7クロスバックの追加モデルで判明