「肺炎」でどれくらい死ぬのか? 飲んではいけない薬は? 今だから知っておきたい10の疑問と答え から続く

 新型コロナウイルスあらためて気をつけるべきこととは何なのか? 潜伏期間、飲んでいい薬とダメな薬、本当に子どもはかからないのか……必ず覚えておきたい7つのリスクを解説する。(『文春ムック 新型コロナウイルス完全防御ガイド』より全文転載)

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1. 潜伏期間は本当に14日?

 中国の衛生当局は1月に潜伏期間を「10日前後だが、最も短くて一日、長くて14日」と発表。日本感染症学会では「潜伏期間は1〜14日で平均5.8日」としている。しかし、潜伏期間が27日の例が2月22日に報告されるなど、疫学的に不明な点もある。また回復後に発症した報告もあるので、完治したと思っても外出など注意を要するかもしれない。

2. 密閉空間は要警戒

 中国や韓国の感染事例でもわかるように多人数が密閉された空間は要警戒だ。日本ではスポーツジムやライブハウスで集団感染が出ている。

 日本感染症学会は「標準予防策に加えて、飛沫予防策、接触予防策を行う。結膜を介した感染も懸念されることからアイシールドも使用が推奨される。

 エアロゾル発生手技(喀痰吸引や気管挿管など)では空気予防策が必要」と注意喚起している。

3. 現状の投与薬品は?

 厚労省新型コロナウイルス対策としてインフルエンザ治療薬「アビガン」を患者に投与する療法を明らかにしている。「アビガン」は、新型コロナウイルスインフルエンザウイルスのような「RNAウイルス」の増殖を抑える効果が期待されている治療薬で、新型のインフルエンザが流行した場合に備えて国内に備蓄されていた。

「中国では、新型肺炎の治療に米バイオ医薬品会社の開発した抗エイズウイルスHIV)薬『カレトラ』を試験的に使用し始めたとロイター通信などが報じました。有効な新しい治療法が見つかるまでの措置ということですが、既存薬での迅速な治療が可能かもしれないと期待が高まっています」(医療担当記者)

4. 世代別で感染者が多いのは?

 WHO(世界保健機関)によると、1月22日までに中国から提出された約290人のデータでは、患者の72%は40歳を超えていた。日本内科学会によれば、「症例の年齢は50歳代から60歳代が多い」「重症例において有意に年齢が高く、基礎疾患を有する割合が高い」としている。2月17日、中国伝染病予防・管理センター(CCDC)が発表した調査では10歳未満の死亡者はゼロのため致死率は表記なし。10代・20代・30代の致死率は0.2%、40代の致死率は0.4%、50代は1.3%、60代は3.6%、70代の致死率は8%、80歳以上は14.8%と報告されている。なぜ高齢者の致死率が高いのか。

 医療関係者によれば、歳を取れば免疫力が低下する。加えて糖尿病やがん、血液疾患などの疾病歴があれば、体力も落ちるため重症化リスクは高まるのだという。

5. 子どもはかかりにくいのか?

 WHO1月27日に発表した調査結果では、中国以外の患者の年齢は2歳から74歳までと幅がある。当初は若年層、特に子ども感染者は少なく、症状が軽いとされてきた。

 だが、2月21日北海道小学生2人が罹患。中国の研究チームは医学誌「ランセット」に肺炎などを発症しない感染者が見つかったと発表したが、それが10歳の子どもだった。昨年12月に武漢市に家族旅行して感染。大人5人は発熱や咳、下痢などの症状があったが、子どもには症状がなかったという。

子どもが罹りにくいのは確かだが、理由は不明。02年から03年にかけてのSARSの時も子どもにはほとんど感染せず、感染しても軽症でした」(山野美容芸術短大客員教授・中原英臣氏)

 こんな懸念もある。

「現地中国人医師の報告では、肺炎があるものの自覚症状のない『ウォーキングニューモニア(歩く肺炎)』と呼ぶべき子どもがいて、感染を広げる原因となった可能性が指摘されています」(前出・高山医師)

6. 妊婦・肥満・高齢者のリスク

 妊娠中の女性はレントゲン、CTなどの検査を避けている立場であり、風邪症状の投薬も慎重にならざるを得ない。婦人科の医療関係者からは特別な対応をとの声が上がっている。また、糖尿病や循環器病、脳血管障害を持つ免疫機能が低下している高齢者が感染しやすいと厚労省アナウンス中だ。高山医師が解説する。

糖尿病肝硬変では免疫機能が低下することが分かっています。ウイルスに感染しやすく、悪化させやすい慢性疾患です。また脳梗塞は、痰の排出を困難にするなど二次肺炎を引き起こす可能性が高い」

 実は肥満も免疫機能が低下するリスクだという。

「高度の肥満になると、肺の換気機能を物理的に低下させるため、肺炎を発症しやすく、治癒しにくいと言われています。09年の新型インフルエンザ時の研究では、BMI40以上の高度肥満の人は普通の人に比べ36.3倍の死亡リスクがあることが判明しました」(同前)

 高齢者には別のリスクもある。たかせクリニックの髙瀬義昌理事長が指摘する。

「高齢者、特に認知症患者は、普段から偏った食事をしてしまいがち。栄養バランスが崩れると免疫力も落ち、感染症にかかりやすくなる。かかりつけ医と相談して、万遍なく栄養を摂取できるドリンク剤を飲むなどの対策をするといいでしょう」

 高齢者施設の問題点も。

「持病のある方が集住し、認知症患者など感染対策が困難な人も多い。流行期に入ったら面会訪問を制限し、入居者の外来通院を一時的に訪問診療にするなど、感染者との接点を制限する方法を施設側が考える必要がある。

 また、高齢者施設を狙って効果が不明確な感染対策商品を売りつける悪質セールスも予想されます。施設側が正しい情報を元に、適切な対応をとることが求められるでしょう」(前出・高山医師)

7. 飲んでいい薬、ダメな薬とは?

 発症すると、殆どの患者に発熱が認められる。軽症者は自宅療養を求められているが、自己判断で解熱剤に手を出すのは望ましくないそうだ。

新型コロナウイルスの疑いがあるなら、非ステロイド性消炎鎮痛薬NSAIDs)を飲むのは避けておいたほうがよい。主なNSAIDsには、ロキソプロフェンやジクロフェナク(共に一般名)などがあります。インフルエンザなど感染症にかかった際にNSAIDsを使用するとサイトカインストームが起こり、肺炎などを引き起こす可能性がある」(元近畿大学薬学部教授・松山賢治氏)

 このサイトカインストームとは、免疫が過剰に働いてしまい血管や肺の組織などを攻撃してしまう事象。最悪の場合、死に至ることもあるという。

「1918年、スペイン風邪で多くの死者が出た。NSAIDsアスピリンを乱用し、サイトカインストームを引き起こしたからだと言われています。新型コロナで亡くなった方がNSAIDsを服用していたかは判明していませんが、同じ感染症である以上、安易に解熱剤として使用するのは避けるべきでしょう。熱を下げたいのなら、まずアセトアミノフェンを使って下さい」(同前)

 今やNSAIDsも気軽に手に入るだけに要注意だ。自己判断で薬を飲む前に、薬剤師・医師の判断を仰ぎたい。

※初出 「週刊文春2020年2月6日号から2月27日号の記事を再編集しました。

『文春ムック 新型コロナウイルス完全防御ガイド』(文春ムック)に掲載されています。

(「週刊文春ムック」編集部/文春ムック 週刊文春 新型コロナウイルス完全防御ガイド)

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