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 現在、4種に1種が絶滅の危機に瀕していると言われている。この悲しむべき状況を作り出している大きな要因は気候変動、地球温暖化だ。

 気温の上昇、海水面の上昇、変わりやすい環境や極端な天気といった、温暖化に起因して生じる諸々の現象が、生物に好ましくない影響を与えている。

 だが鳥も黙ってそれに甘んじているわけではない。オーストラリアの一部の鳥は、温暖化に適応すべく、体の大きさを変化させているという。

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温暖化に動物はどのように反応するのか?

 温暖化に対する動物の反応は、「移住」「適応」「死」のいずれかになる。

 多くの種が、気温の上昇から逃れるためにより高いところや、緯度の高いところ(すなわち南極や北極より)へと移住している。それでもなお、温暖化の進行は生物が逃亡するペースよりもずっと速いかもしれない。

 となると、生物の生存の鍵を握るのは、彼らの適応する力ということになる。オーストラリア国立大学の研究グループが調べているのは、鳥や哺乳類が温暖化にどのように対応しているのかということだ。

温暖化が動物に与える影響について言えば、鳥はまさに”炭鉱のカナリア”です。鳥は空を飛ぶために制約があるので、そのボディリザーブ(体の備蓄)は非常に限られています。そのために哺乳類より温暖化に対して脆弱なのです。(ジャネット・ガードナー博士)

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houani/iStock

飢餓抵抗仮説と熱交換仮説

 今回、研究グループが特に注目したのは、体の大きさである。温暖化が体の大きさに与える影響については、「飢餓抵抗仮説」と「熱交換仮説」の2説がある。

 飢餓抵抗仮説では、温暖化が進むと体が大きくなると考える。熱波になるべく長期間耐えられるようにするためだ。

 一方、熱交換仮説では、体が小さくなると考える。そのほうが排熱の効率がいいからだ。

体が大きいほど、ボディリザーブの容量が増えて、熱波などの極端な事態に遭遇しても長く耐えられるようになります。しかし大きくなることには、代償もあります。大きくなりすぎれば、うまく排熱できなくなるのです。

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Vicky Gosselin/iStock

大きさの変化は状況に応じて起こる

 一体どちらの説が正しいのか確かめるために、研究グループは、オーストラリアに生息する鳥類82種の、過去50年間の体の大きさのデータを調査し、これを同時期の温度の変化と比較してみた。

 ここから明らかになったのは、鳥の体の大きさの変化は、地理や気候に応じて方向性が変わるということだ。

 たとえば、暑く乾燥した地域では、冬の気温が平均0.012度上昇すると、体は小さくなっていた。その反対に、夏の気温が34度を超えるような地域では、気温が平均0.0116度上昇すると大きくなっていた。

 こうした結果は、おそらく気候の選択圧の相対的な強さを反映したものであるそうだ。

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Andrew Haysom/iStock

動物は地球温暖化の世界を生き残れるか?


 なお、いくら動物に多少の適応能力が備わっているのだとしても、実際に彼らが温暖化の進行ペースについていけるかどうかは、まだ分からないとのことだ。

 種の生存能力や生殖能力に影響を与えずに変化させられる体の大きさには限度がある、とガードナー博士は語っている。

 この研究は『The Royal Society』(2019年11月27日付)に掲載された。

References:zmescience/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52289057.html
 

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