ニューヨーク市マンハッタンにある病院の男性看護師が今月24日、新型コロナウイルスに感染して死亡した。『New York Post』によると、同病院では感染者の治療にあたるためのマスクや防護服などが不足しており、同僚らは「防護服などの不足が悲劇につながった」と訴えている。

亡くなったのは、マウント・サイナイ・ウエスト病院(Mount Sinai West)の副看護師長だったカイオス・ケリーさん(Kious Kelly、48)で、約2週間前に新型コロナウイルスに感染していることが判明し、17日にマンハッタンのアッパー・イーストサイドにあるマウント・サイナイ病院に入院したものの、24日午後11時に死亡が確認された。

実はカイオスさんが死亡する前、同僚の看護師3人はSNSに黒のゴミ袋を纏って仕事をしている写真とともに「病院に防護服がない」「マスクもなく、使い捨てのものを再利用するしかない」という衝撃的な投稿をしていた。カイオスさんが担当していたユニットには感染者9人が、病棟全体では40人が入院しており、カイオスさんと一緒に働いていた同僚のうち少なくとも4人がウイルスに感染して治療を受けていた。

この投稿後、カイオスさんが死亡したことを受けて看護師らは「彼の死は病院に責任がある」「新型コロナに感染した患者のケアをカイオスは率先して行っていた」「カイオスがこんなことになるなんて…。病院が彼を殺したんだ」と病院を非難し、メディアの取材に応じて次のように明かした。

「病院ではここ1年ほど、スタッフが使用する医療用品が足りない状態が続いていたわ。補充しようにも、備品室にほとんど何もないということが何度もあった。それが新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れるようになってさらに酷くなり、スタッフは感染者も非感染者も同じ防護服で対応するようになったの。病院には替えがなかったから。それで私たちは感染予防のためにゴミ袋を纏うようになったのよ。」
「マスクも防護服も、フェイスシールドも再利用しなければならなかったの。『収束するまで同じものを使え』と言われてね。そのうちマスクやハンドワイプ、ハンドサニタイザーなどが夜のうちに無くなってしまうようになったわ。」

この訴えに対し、マウント・サイナイ系列病院のスポークスマンは「マスクや防護服が不足しているということはない。最前線で働くスタッフの安全は確保されている」と否定、カイオスさんについては「ヒーローを失って遺憾である」と述べた。

しかしながらインディアナポリス在住のカイオスさんの妹マーヤ・シェロンさんは、病院側への不信感を拭いきれない様子で「私は兄が病院でウイルスに感染したと確信している」と語っている。

そしてこのニュースには「マウント・サイナイ系列病院はかなり大規模で有名だ。それなのにスタッフがこんな形で危険に晒されているとは驚きだ」「病院の責任なのか、新型コロナの感染拡大が問題なのか。いずれにしてもゴミ袋での感染予防というのはあり得ない」「ニューヨーク感染者が急増している。ピークが来たらどうなってしまうのか」「医師、看護師が守れなかったら、患者は守れない」「トランプの対策が遅すぎたんだよ」といったコメントがあがっている。

ちなみに米ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームによると、新型コロナウイルスのアメリカでの感染者は日本時間27日19時過ぎの時点で8万5千人超、ニューヨーク州だけで3万9千人以上という。同州のクオモ知事は「このままでは医療機器や人員、病床が不足する」と懸念を表明しており、州内の大学寮やホテルを活用して病床を確保するほか、マスクなどの寄付、退職した医師や看護師に協力を呼びかけるなどの対策を進めている。またニューヨーク大学は医学生の卒業を早めて現場に送り出す予定とのことだ。

画像は『New York Post 2020年3月25日付「Worker at NYC hospital where nurses wear trash bags as protection dies from coronavirus」(Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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