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シボレー・コルベットC3

photo:Olgun Kordal(オルガンコーダル)/Max Edleston(マックス・エドレストン)/James Mannジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

大量生産されたFRPボディのスポーツカー

Julian Balme(ジュリアン・バルメ)

個人的に大好きな、1963年から1967年までのスティングレイだが、近年は価格が高騰。それでも、後期のクロームメッキ・バンパーの付かないC3は、手に入るグラスファイバー製スポーツカーの中でも、ベストバリューといえるだろう。

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シボレー・コルベットC3

価格帯には幅があり、少々だらしないクルマなら5000ポンド(71万円)位から見つかる。だが、フィル・オトリーのコルベットのように状態が良いと、2万ポンド(286万円)はする。

一般的にアメリカ製の自動車は、グラスファイバーでは有名ではない。それでも、C3コルベットセントルイスの工場を旅立つ頃には、シボレーはFRPボディの経験を25年も積んでいた。大量生産で。

誕生25周年に生産された台数は4万6000台。おそらく、この工場で作られたほかのモデルを合わせた台数より多いだろう。

北米のユーザーは欧州以上に要求が厳しく、クルマはサイの攻撃にも耐えられるように強固に作られた。そのかわり車重が増え、パフォーマンスを削っている。多少ぶつかったくらいでも平気、というプラスもある。

ドアを締めるだけで発見がある。塊感のある閉じた時の音は、1960年代の高級な英国サルーンのようだ、と感じるのは筆者だけだろうか。

技術的には、シボレーの最先端とはいえないコルベット。だがセントルイスからニューヨークまで一晩で走るには、マルチバルブ・エンジンを受け止められる、軽快なシャシーが必要となってくる。

フレーム左右の大きなレールは、前後端と中ほど、4本のクロスメンバーで接合されている。前世代のコルベットと同様に、サスペンションはフロントコイルプリングにダブルイッシュボーン式。リアは横置きのリーフプリングを採用する。

毎日乗れるクラシックカー

FRP製のボディは、フレームに埋め込まれることなく、乗っかっている。下から見ると、英国製のボンド・エクイップに似ている、といったら失礼だろうか。ブレーキは4輪ともにディスクだ。

C3と呼ばれるコルベットハンドリングは、充分に妥当なもの。ステアリングを握るドライバーに、NASAの宇宙飛行士並みの勇気は求められなかった。

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シボレー・コルベットC3

コルベット史上最も大きなエンジンを搭載していたが、排気ガス対策の装備と軽くない車重のおかげで、モンスターマシンではない。エンジンは47年に渡ってシボレーが製造してきた、L82型と呼ばれるユニット。堅牢だからリビルトすれば長く使える。

1978年では最もパワフルなエンジンで、最高出力は223ps。だが、チューニング次第で倍の馬力を引き出すことも可能だ。

フィル・オトリーのコルベットは、レストアする際に馬力を絞っていた装備を大胆に外してある。その結果、排気量が示す通りのパフォーマンスを獲得している。

悪天候時は、Tバールーフ・トップの防水が完璧ではないと認めるオトリー。長いボンネットは、車高の高いSUVの視線に入りにくいことも、気を使うポイントだそうだ。

そんな些細な欠点があっても、信頼性は悪くない。毎日乗れるクラシックカーとして、悪ふざけを楽しむこともできる。

今回ラインナップしているFRP製スポーツカーの中で、長距離ドライブを頼まれたとしよう。コルベットほど、暖かく快適で、独りよがりなクルマがないことは、簡単に想像がつくだろう。

シボレー・コルベットC3

最高速度:207km/h
0-96km/h加速:8.5秒
燃費:4.6km/L
乾燥重量:1644kg
パワートレインV型8気筒5736cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:223ps/5200rpm
最大トルク:35.8kg-m/3600rpm
ギアボックス:3速オートマティック

ジネッタG15

普通の女性なら我慢できない

Lizzie Pope(リジー・ポープ)

「普通の女性なら、こんなクルマに我慢できない」 1969年モータースポーツ誌の試乗記には、ジネッタG15についてこう書かれていた。「エンスージァストのためのクルマ」 だと。

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ジネッタG15

確かにそうかもしれない。でも、FRPボディのスポーツカーを選ぶなら、まっ先に上げるのがジネッタだ。西ヨークシャーを拠点に成長した自動車メーカーで、マイルズ・ヒューイットの手によるG15は、ジネッタ社としては初めてまとまった数が作られたモデル

といっても、せいぜい800台程度だが、完成度は高い。今も残っているのは100台程度だろう。そのオーナーはとても幸運だ。モータースポーツを楽しむピュアリストにとって、G15はベストと呼べるクルマの1つだと思う。

初期型のMkIIIが発売されたのは、1971年1月15日。キットカーだった。快適性や実用性は期待しないで欲しい。レースに荷室は不要だ。

必要なものがあるなら、柔らかいカバンに詰めて、シートの後ろに押し込めば良い。それでも肌寒い撮影の日は、シャシー番号0154に付いているオプションのヒーターがありがたかった。

身体を丸めて車内に入れば、運転にフォーカスされたコンパクトキャビンを見下ろせる。長距離ドライブをするなら、助手席の人とは仲良くした方が良い。ドアは大きく開くから、女性的な仕草は難しいものの、折り紙のように身体を曲げなくても降りれる。

筆者にとっての不満はシートだけ。標準のものは前後に動くが、背もたれは倒れない。運転姿勢は自分の理想とは異なる体制が強いられ、シート背後の荷物は取りにくい。だからといって、運転の楽しさを打ち消すものではない。

飾り気のないピュア・スポーツカー

むしろ、ダッシュボードに刺したイグニッションキーを回した瞬間から、楽しい。キャビンの後ろに納まるのは、わずか875ccのエンジンだが、車重はドライバー抜きで501kgしかないから必要充分。

狭い足元のペダルは、左側にオフセットしている。適度に小さく、握りやすいステアリングホイールの位置は完璧だから、十分に快適。走り初めてすぐ、G15は驚くほど小回りが効くことに気付く。唯一の実用性、ともいえる。

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ジネッタG15

スタートさせると、ジネッタとして生まれ変わったヒルマン・インプの基礎骨格が、活発に走ることがわかる。エンジンは回りたがりで、荒削りなサウンドトラックが気持ちを高め、クルマの能力を引き出したいと思わせる。

軽量でダイレクト。反応にも優れ、ステアリングフィールは喜びそのもの。サスペンションは硬めの設定で、路面の剥がれた箇所が良くわかる。だが地面すれすれに座るスポーツカーだから、柔らかさを期待する方が野暮だ。

ブレーキを効かせるには、それだけの力が必要。小さなG15のグリップ力は高く、かなりのスピードコーナーに突っ込まなければ、神経質にはならない。まさに飾り気のない、ピュアスポーツカーシンプルさが、ステアリングを握る誰しもを虜にする。

タンジェリン色のボディに、コスミック・アルミホイールを履いたG15には、これで必要なすべてが詰まっている。今回並んだ、どのFRPボディのクルマより、大きな笑顔になれると信じている。

ジネッタG15

最高速度:157km/h
0-96km/h加速:13.0秒
燃費:12.0km/L
乾燥重量:501kg
パワートレイン:直列4気筒875cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:50ps/5800rpm
最大トルク:6.7kg-m/4500rpm
ギアボックス:4速マニュアル


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