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新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大する暗い話題ばかりの中、イギリスから医療従事者に対して感謝の気持ちを送る人々の温かい話題が届いた。SNSで拡散された「午後8時に拍手を」の呼びかけに、街中に拍手が鳴り響いた。『Evening Standard』『Euro Weekly News』などが伝えている。

イギリスでは国営医療サービスとして「国民保健サービス(National Health Service:NHS)」があり、国民および外国人でさえも諸条件を満たしていれば医療費の自己負担はかなりの少額か無料となっている。そのためNHSは、イギリス国民から高い支持を得ているとも言われている。

そして昨今、新型コロナウイルスの感染拡大が欧州にまで進み、イギリスでも感染者が1万人を超える中で国内の各医療機関の従事者は自分の感染リスクも顧みず、患者の治療にあたる日々を送っている。

そんな中で今月26日、午後8時を合図にイギリス国内のあちこちで人々の歓声と拍手が鳴り響いた。これは新型コロナウイルスと闘うNHSや医療従事者に対して国民からの感謝の意を伝えるものだった。

拍手はしばらく鳴り止むことがなく、国内各地からSNSに投稿された写真や動画には自宅玄関前、またはマンションのベランダなどから拍手を送る人々の姿があり「ありがとう」の言葉で溢れかえっていた。中には運転中の車を路地に止めて拍手を送る人もいたようだ。

これは「#CLAPFOROURCARERS」というウェブサイトなどで拍手キャンペーンの呼びかけを行っていたところに多くの人が賛同し、SNSで「#ClapForOurCarers」のハッシュタグをつけて拡散されたことによるものだった。このハッシュタグには「医療従事者の皆さんに拍手を送ってください」という意味が込められていた。

この拍手キャンペーンの発起人は、ロンドン南部ブリクストン在住のヨガ教師でソフトウエア販売員でもあるアンマリー・プラスさん(Annemarie Plas、36)だった。彼女はイタリアフランスオランダで医療関係者に拍手を送る同様のイベントが開催されているのを知り、影響を受けたという。

今回拍手に参加したのは一般国民だけでなく、イギリス出身の俳優で映画『ミッション:インポッシブル』でベンジー・ダン役を演じたサイモン・ペッグや英ミュージシャンのロッド・スチュワートも家族総出で拍手を送り、英王室からはジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子からも拍手があった。

NHSのTwitter公式アカウントは、国民からの拍手を受けて「それは感動的だった」とツイートしており、今回の拍手キャンペーンの主催側からは「過去前例のない時代に直面している今、私達が感謝しているということを、医療従事者のみなさんに知ってもらう必要があると思った」と記されていた。

イギリスでは拍手キャンペーンの他にもエンターテインメント業界が中心となり、NHSへの感謝の意を示すためにビルなどの施設をNHSのシンボルカラーの青色の照明でライトアップし「#lightitblue」のハッシュタグをつけてキャンペーンを行っている。そのため現在、イギリスの街の至るところで美しい青のライトアップを目にすることができる。

画像は『BBC North 2020年3月27日付Twitter「From the BBC across England, thank you.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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