多くの日本人を欧州に送り込んだドイツの敏腕代理人クロート氏、コロナ騒動に言及

 これまで多くの日本人を欧州リーグへ送り込んだ敏腕代理人の元ドイツ代表MFトーマスクロート氏は、日本の文化と日本人の特長をよく知る1人だ。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、日本と欧州で感染率が違う点に触れ、「ライフスタイルや文化と関係がある」とドイツ誌「キッカー」に語っている。

 クロート氏といえば、FW高原直泰(沖縄SV)をはじめ、MF小野伸二FC琉球)やMF香川真司(サラゴサ)、FW宇佐美貴史ガンバ大阪)など、日本人ドイツ移籍に多く携わった代理人だ。記事では「クロートは、代理人業界でアジアサッカーエキスパートと見なされており、特に日本に優れたネットワークを持っている。日本からヨーロッパ、およびヨーロッパから日本と、50を超える選手とコーチ陣の移籍で重要な役割を果たした」と紹介されている。

 そんなクロート氏にとっても、今回の新型コロナウイルス騒動による影響は大きい。選手やスタッフの減給を決めた海外クラブがあり、クロート氏も「選手たちは一時解雇に直面することがある」と今後の動向に危機感を強めている。

 記事では、新型コロナウイルス感染拡大による欧州と日本の違いに言及。そのなかでクロート氏は「人口密度の高い日本では、感染者数が近隣の中国やヨーロッパに比べて著しく少ない。これは日本人ライフスタイルや文化と関係がある」と指摘している。

 実際、ドイツイタリアに比べると日本の感染率は低い。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(29日17時30分時点)によれば、世界で66万6211人が感染。イタリアは世界2位の9万2472人、ドイツは5位の5万7695人であるのに対して、日本は29位の1693人となっている。

「日本に滞在し、一つのことを学んだ」と語るクロート氏 「それは敬意の問題だ」

 各国の人口と照らし合わせれば、イタリア約6000万人で感染率0.1533%、ドイツ約8200万人で同0.0707%、日本約1億2600万人で同0.0013%。10万人単位で見ると、イタリア153人、ドイツ約70人、日本約1.3人と感染割合の差は小さくない。

 クロート氏は「私は何度も日本に滞在し、会話や交渉、イベントなどで一つのことを学んだ。一定の距離を保つこと。それは敬意の問題だ」と言及。握手やハグなどが一般的な欧州の文化と異なり、日本にはお辞儀文化が根付いていると強調する。

「挨拶や別れの握手は、この5~6年で多少変わったかもしれないが、それでもまだ習慣にはなっていない。相手から適度な距離を取り、お辞儀をするのが礼儀だ。また、バス停や駅では押し合ったり、突き飛ばしたりせず、列にしっかり並ぶ」

 3月下旬に入り日本でも感染者が増えているが、それでも欧州に比べると低い数字で食い止めている。Jリーグ4月25日にJ3、5月2日にJ2、同9日にJ1と段階的に再始動する予定だが、スムーズに再開の日を迎えられるか。今後の動向に注目が集まる。(Football ZONE web編集部)

敏腕代理人の元ドイツ代表MFトーマス・クロート氏【写真:Getty Images】