ラーメン、つけ麺に続き、今や定番となった「油そば」。昭和30年代、東京の国立市発祥説と武蔵野市発祥説とありますが、独自の変化を遂げ、今ではすっかりおなじみのメニューに。

 油そばの醍醐味といえば、やはりカスタマイズの楽しさでしょう。ラーメンやつけ麺は、スープやつけ汁によってある程度味が決まっているものですが、油そばはトッピングや卓上にある調味料ダイナミックな味変が可能。中にはお酢が好き過ぎてびしょびしょになるほどかけていたり、激辛好きが一味で真っ赤に染めていたり、といった強烈なカスタマイズを楽しむ人も見られます。

 今回向かったのは、JR神田駅前エリア、ランチせんべろも激戦区な場所にある『油そば専門店春日亭 神田店』。春日亭といったら、神田の他に秋葉原、新宿、渋谷、池袋など都内13店舗もある、油そばといったらあそこね~。って言われるほどの有名店。

席はL字型カウンター。壁にはいろんな人の書いたメッセージやイラストが。愛されているなぁこの店
席はL字型カウンター。壁にはいろんな人の書いたメッセージやイラストが。愛されているなぁこの店

 店に入り店内を見渡すと、壁に「麺のg表示」と書かれた表が貼られています。並盛は150g1玉。中盛、大盛、特盛、爆盛とあって、一番多いのが「最強盛」3.5玉、麺を茹でる前で525g、茹で上がりが945gになるとのこと。もちろんコレ!

 ボタンの下には「トッピング人気ランキング」なるものも。1位は生卵、秘伝のタレ、ゴハンの「生卵かけご飯セット」、2位は半熟味付煮卵、3位は海老辛ジャントッピングなどなど。うわ~、生卵かけご飯セット、シメのために買っておくべきか悩む~。でも今回は最強盛で勝負、トッピングなどの追加なしでいきます!

 店一番人気の「鳥豚油そば」を選び、さらに麺の量を「最強盛」でセレクト。券を渡して出来上がるのを待ちます。

「鳥豚油そば(最強盛)」990円。3.5玉分の麺が山状態。ショウガ入りの食前スープ付き
「鳥豚油そば(最強盛)」990円。3.5玉分の麺が山状態。ショウガ入りの食前スープ付き

 待つこと数分、出てきたのは黒い器に輝く麺の山! 白く散っている背脂がキラキラ輝いて見えます。うわ~パンチ効いてそう!

「鶏ガラと豚骨を2日間煮込んで旨みが凝縮した「鳥豚スープ」に醤油ダレです。麺は中太縮れ麺、具材はモヤシ、キャベツ、メンマ、豚バラチャーシューですね。背脂もたっぷりかかっています。上にかかっている赤い粉はパプリカの粉末ですよ」と店長の室井勇児さん。

 早速計測。直径26cm、高さ9.5cmの器で、重さは1355g(器の重さを除く)。麺が公式で945gだから、具やスープが約400gということですね。これは食べ応えがありそう。

高さは器の縁を少し超える程度の約10cm。スープのあるラーメンと違って密度が濃い!そしてズッシリ。
高さは器の縁を少し超える程度の約10cm。スープのあるラーメンと違って密度が濃い!そしてズッシリ。

 1日5食以上注文が入る最強盛。生まれたきっかけを聞くと「5年前ぐらいの、大盛ブームの影響ですね。特盛をペロリと食べちゃう人がいるので、もっと量を増やしたんですよ」と店長。神田という土地柄、見た感じは普通のサラリーマンの方が、さらっと最強盛を食べていくそうです。やはり真の大喰いはさりげなく街に潜んでいるんですね。

 まずはそのままを一口! 背脂たっぷりでツルツル。麺に鳥豚スープがしっかり絡んで、旨みがダイレクトにやってきます。麺はブリッブリ。弾ける感じがたまりません。メンマはちょっと甘め? さらにモヤシやキャベツのシャキシャキ食感、チャーシューのムチムチ感など口の中で様々なハーモニーが奏でられます。たまらん。

 ちなみに店内にはお勧め油そばの食べ方、という張り紙があり「その1・素早く混ぜてそのまま食すべし。その2・お酢(2周)+ラー油(2種)、その3・お酢+ニンニク」などなど、その6まで「お勧め」が紹介されています。味変を楽しむなら、やっぱり並じゃ足りないよね。最強盛にしてよかった~。

油そばだけあって、スープがしっかり麺に絡みつく。麺は北海道産小麦100%の「究極麺」!
油そばだけあって、スープがしっかり麺に絡みつく。麺は北海道産小麦100%の「究極麺」!

 ちなみに醤油ダレは、九州地方の秘伝の醤油をいくつかブレンドして作る極上秘伝醤油とのこと。これが鳥豚スープと掛け合わされることで、春日亭独自の旨みが強い味わいが生まれます。

 ほぼ半分まで夢中になって食べ進めたところで、いよいよ油そばのお楽しみ、味変! 卓上にはお酢、ラー油マヨネーズ、特性麺ダレのボトルがあるほか、お店の人にお願いすればニンニクコショウももらえます。

 まずは定番のお酢&ラー油をささっと。さっきまでの濃厚な味わいが、お酢とラー油スッキリする後味に。ラー油は少量だと、辛さよりコクを深くする感じへと変わります。

 続いてマヨ。今度はサラダ感覚? まろやか&軽やかさが出てくる。本当はハイカロリー&ハイカロリーの出会いなのに、なぜか食べやすく感じるのが不思議。しかしマヨ、合うわ~。じわじわきていた腹8分目を、あっさり忘れさせてくれる味わいです。食欲復活、まだいける!

「毎年8月に大喰いイベントをやっています。詳しくはYouTubeをみてくださいね」店長の室井勇児さん
「毎年8月に大喰いイベントをやっています。詳しくはYouTubeをみてくださいね」店長の室井勇児さん

「最後まで美味しく食べるなら、オススメは『生卵かけご飯セット』180円を追加ですね。締めのスープと合わせて雑炊風に味わうのがいいですよ」と店長。確かに麺を堪能しまくった後、雑炊でサラサラってできたら美味しいだろうな~。でも、最強盛で、さらにゴハンで雑炊にしたら1.5kg超えちゃう! 生卵かけご飯セットは次回の楽しみに取っておきます。

 もし、春日亭の美味しさにハマったら、スマホでの「油王スタンプラリー」に挑戦するのがおすすめ。ポイントを貯めるとTシャツや特製丼のプレゼントのほか、最終的にはトッピングが永久に無料になる春日亭ブラックカードがゲットできる、という特典と栄誉が得られます。

 ちなみに店長のイチオシは「とん黒油そば」。焦がしニンニク、焦がしタマネギに、8時間かけて作る秘伝のマー油が入っているので、香ばしくてお勧めだそう。ニンニクマー油って、もぉ絶対スゴイでしょ。エネルギーチャージしたくなったら速攻「とん黒油そば」で気合い注入、キマリです!

(取材・文◎石澤理香子

●SHOP INFO

油そば専門店春日亭 神田店 外観

店名:油そば専門店春日亭 神田店

住所:東京都千代田区内神田3-9-6
TEL:03-6206-0837
営:11:00~22:45(L.O.)
休:なし

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