プロレスリング・ノア
『PRO WRESTLING NOAH 20th ANNIVERSARY NOAH the CHRONICLE vol.2』

▽29日 東京・後楽園ホール 観衆0人(LIVEマッチ)
 プロレスリング・ノア初の無観客試合が29日、東京・後楽園ホールで開催された。これは新型コロナウイルス感染拡大予防による東京都と会場側の興行自粛要請に応じたもの。

 第2試合では、GHCナショナル選手権試合で、チャンピオン杉浦貴に、田中稔が挑戦した。このカードは今月8日に神奈川・横浜文化体育館大会で組まれており、同大会が中止になったため、今大会にスライドされたのだ。ジュニアヘビーの稔の挑戦を受けたのは、杉浦がナショナル王座を無差別級のベルトとして、GHCヘビー級王座との違いを出して行きたいという狙いがあるのだろう。

 試合はゴツゴツとしたエルボー合戦からスタート。稔が全く引かないと思った杉浦は、コーナーに追い込んでエルボーを連発。サッカーボールキックからストンピングの嵐で、稔にダメージを与えていく。しかし、稔は杉浦の左腕を絞り上げキックを放つと、セカンドロープからのミサイルキック、コーナーポストではアームロックで左腕を一点攻撃。腕を狙ったキックで杉浦は顔をしかめた。杉浦は一瞬の隙をついてアンクホールド雪崩式ブレーンバスターで畳み掛けるも、稔はヒートクラッチであわやカウント3まで追い込みミノルスペシャルへ。これを杉浦がアンクホールドで切り返し、稔の腕十字と激しい切り返し合戦を繰り広げると、最後はアンクホールドで絞り上げ、稔は「クソーッ!」と叫びながら無念のタップアウト。杉浦が4度目の防衛に成功した。

 試合後、中嶋勝彦が現れ、「その赤くておいしいベルト、シンプルに獲りたいんですよね。挑戦表明させていただきます」と挑戦表明。杉浦は誰もいない客席に「お客さんお客さん」と呼びかけた後、カメラ目線で「お客さん。視聴者の皆さん。中嶋勝彦、YESかNOか……YESらしいぞ。おしっ、やろう!思いきりやろう!」とマイクを向けて、「OKらしいぞ」と挑戦を受諾。

 バックステージで杉浦は「やっぱ上手いというか、徹底した理詰めできつかったね」と試合を振り返ると、「なかなかヘビー級とぶつかり合って、体力奪い合う試合になるんだけど今回はちょっと違う。キツかった。もうひとつのGHC王座は、ジュニアはなかなか挑戦出来ないんでね。そういう意味では自由なスタンスで行きたいんで、違ったものが見せられて良かったなと思います。(中嶋は)まあ問題ないでしょ。常にベルトを狙える位置で頑張ってくれてるんで。出てきた時も別にお客さんのブーイングなかったし、問題ないっしょ。会場に来れなくて見てる凄く楽しみにしてるファンもいると思うんでね。それに向かっても参加して欲しいなと思ったんで、マイクを向けました。(無観客試合は)試合に集中してるんであまり。ファンがどっかで見ててくれてるなと感じてた。見られてる意識は感じました。また会場で会いましょう」と最後はファンにメッセージを送っている。

 杉浦のナショナル王座路線はしばらく続きそうな勢い。これを勝彦が止められるのか注目したい。
(どら増田)

杉浦貴 対 田中稔