TGVでパリ・リヨン駅に到着すると、574.8km/hの世界最速記録を持つTGV車両が、一般営業列車として止まっていました。またその後、世界一の豪華さともされるヴェルサイユ宮殿に向かうと、その駅は名前負けしないものでした。

TGVの「世界記録保持車」 パリ・リヨン駅に止まっていた

ヨーロッパ33カ国で使える鉄道の乗り放題パス「Eurail Pass(ユーレイルパス)」。これを用いたヨーロッパの鉄道&世界遺産の旅へ、2019年8月から9月に出かけました(1等車用「ユーレイル グローバルパス」を使用。大人用〈28歳以上〉605米ドル〈約6万6000円〉、シニア用〈60歳以上〉546米ドル〈約5万9600円〉。列車によって予約料金が別途必要なことなどあり)。

そこでスイスの首都ベルンから、高速列車「TGV Lyria」でフランスの首都パリのリヨン駅へ到着したときのこと。「鉄道の世界一」との出会いがありました。

都心のターミナルらしい、線路が行き止まりになった頭端式のホーム。そこへ、車体に「574.8km/h World's Fastest Railway Speed」と書かれたTGV車両(TGV POS)が止まっていたのです。

フランス高速鉄道TGV」は2007(平成19)年4月3日、鉄のレールと車輪を使った「鉄輪式の鉄道」として、世界最高速度である「574.8km/h」を記録しました。鉄道全体では、磁気浮上式であるJR東海超電導リニアモーターカーL0系」が2015年4月21日に出した603km/hが世界一ですが、鉄輪式では、いまなおTGVが世界一です。

パリ・リヨン駅に着いたら、その574.8km/hを記録した世界一の車両が止まっていました。お客さんを乗せる通常のTGV営業列車として。

「特設環境」だったTGV最高速度試験 そして名前負けしないヴェルサイユの駅

日本の高速鉄道新幹線」では、試験用車両で高速度記録を作ることが多いですが(営業用車両で実施することもある)、574.8km/hを達成した世界最速のTGV車両はその後、営業運転に用いられています。

とはいえこのTGV車両、営業運転に使う仕様そのままで記録を出したわけではなく、このときはモーターなど車両側、電圧や架線など線路設備側それぞれに特別な対応をして、速度記録に挑みました。また、その走行試験はテレビ中継もされています。

さて「鉄道の世界一」に出会ったパリから、「Eurail Pass」を使って、別の「世界一」に向かいました。

パリ・モンパルナス駅より普通列車に乗って15分ほどで到着したのは、フランス国鉄(SNCF)のヴェルサイユ・シャンティエ駅。ここから、その豪華さが「世界一」ともされる世界遺産ヴェルサイユ宮殿へ歩きます。駅も、名前負けしない風格があります。

その宮殿は世界的な大観光地で、にぎわいや壮大さは言うまでもないのですが、あわせて印象的だったのは、ヴェルサイユの街です。

市場や飲食店、教会といったスポットや「歴史」が一定の範囲にひと通りそろっていつつ、郊外らしいのどかさもあり、大都市パリとはまた違う、フランスの街の魅力がありました。荘厳雄大なヴェルサイユ宮殿と、そんな街の対比も印象的です。

なお現地ガイドによると、ヴェルサイユの治安は良く、宿泊施設も飲食店も多くあるそうです。

協力:ユーレイル・グループGIE、フランス観光開発機構

パリ・リヨン駅に停車する世界一の速度記録を持つTGV車両(2019年9月、恵 知仁撮影)。