資源エネルギー庁は各地の取り組みを紹介する特設サイトを2020年3月よりオープンいたしました。
 2019年11月より、10年間とされていた住宅用太陽光発電の固定価格による買取が満了し、満了を迎える(卒FIT)方の余剰電力の活用の選択肢として、地域で発電した電力を地域で消費する「電力の地産地消」という一つの選択肢が注目されています。
 特設サイトでは、各自治体はどんな取り組みをしているのか、電力の地産地消による地域貢献とは何があるのか等を紹介する他、卒FITを迎えた対象者の様々な選択肢から選ぶきっかけや理由等を紹介しています。
特設サイトURL:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/regional.html

  • 「電力の地産地消」という新しい地域貢献のカタチ
 東日本大震災や昨今の大型台風の激甚災害を契機にエネルギー供給の制約や集中型エネルギーシステムの脆弱性が顕在化され、こうした状況に対して、地域の特徴も踏まえた多様な供給力(再生可能エネルギー、コージェネレーション等)を組み合わせて最適に活用することで、エネルギー供給のリスク分散やCO2の排出削減を図ろうとする機運が高まっています。
 このような「分散型エネルギー社会の実現」は、災害時のライフラインの安定的な確保という視点だけでなく、エネルギーの効率的活用や、地域活性化等の意義があり、その実現に向けた推進の一つとして自治体とエネルギー会社等の共同出資による「自治体新電力」が各地で設立されています。
 卒FIT電力の買取に名乗りを上げている自治体新電力もあり、これまでエネルギーの利用主体でしかなかった需要家が、再生可能エネルギーから生まれた電力の供給に参加できるようになることは、エネルギー需給構造に柔軟性を与えることにもつながると考えられているだけでなく、これまでFIT制度を利用していた方々が買取期間満了後の売電先の選択肢として自治体新電力を選ぶことで、自分の住む地域の活性化に参加・貢献していく「電力の地産地消」という新たな視点で注目をされています。
  • 特設サイト 概要
 特設サイトでは自治体新電力に力を入れている、浜松新電力・秩父新電力・ふかやeパワー・おおすみスマートエネルギー・新電力大分・とっとり市民電力の取り組みを紹介しています。
名称   :知ってる?電力の地産地消
特設サイト: https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/regional.html

◆”スマートシティ”を目指す「浜松新電力株式会社」
 静岡県浜松市では、東日本大震災直後から地域におけるエネルギーの在り方を見直し、積極的に取り組んできました。地域内で生んだエネルギーを平均約80%の比率で地産地消するという大きな成果を生み出しています。
 浜松市では太陽光発電バイオマス発電を駆使し、エネルギー不安のない強靭で低炭素な社会「浜松版スマートシティ」の実現を目指しています。

地産地消を広くとらえ、環境立市の実現を目指す「秩父新電力株式会社」
 埼玉県の北西部に位置するちちぶ地域(秩父市横瀬町皆野町長瀞町小鹿野町を含めた地域の総称)は、地域全体の約85%が森林という山と森に囲まれ、歴史的にも独立性が高く、最近では秩父夜祭など年間約960万人が訪れる観光地としても知られています。
 一方で、日本の多くの地方都市が抱える問題と同じく少子高齢化や人口減少が起こり、特に産業の衰退による雇用鈍化、18歳を境にした若年層の流出などの問題も抱えています。
 秩父新電力は、ちちぶに関連した地域であれば、電力の地産地消になるのだと解釈を広げ、東京都荒川区と荒川の上下流で結ばれる自治体として姉妹都市協定を結んでいます。2020年度から荒川区幼稚園等にちちぶの再生可能エネルギーで生んだ電力の供給を予定しています。

◆電力の地産地消で新たな魅力の創出「ふかやeパワー株式会社」
 ふかやeパワー株式会社は、電力サービスだけでなく、そこから派生して生み出される利益を地域内で循環させる仕組みづくりをはじめています。地元ゆかりの渋沢栄一の座右の銘である『順理則裕(じゅんりそくゆう)』【意味:道理に生きることが、すなわち繁栄につながる】を理念に掲げる同社は、官民が一体となって設立されました。
 地元自治体である深谷市資本金の55%を出資、商工会議所や商工会などからも出資を受けています。将来は、同市が保有する再生可能エネルギー設備などから電力を買い取り、地元で作られた電力を地元に供給する電力の地産地消を進めようとしています。




◆“オール大分“の新電力が臨む地方創生「新電力おおいた株式会社」
 2015年8月に、電力の地産地消の促進を目指して新電力おおいたは設立されました。親会社は半導体検査装置の製造や電子応用機器の研究・開発を手がける株式会社デンケン。事業の多角化の一つとして太陽光発電所の企画・建設・運営を始め、電力の全面自由化をきっかけに電力事業に本格的に乗り出しました。
 「地元の電力会社」として、信用を得るためにも、新電力おおいたは地域が抱える課題の解決に積極的に関わっていく方針で2018年11月からは、由布市や杵築市が結んでいる包括連携協定に沿って、「少子化・人口減少対策」「防災・災害対策」「人材開発・人的交流」「エネルギー教育・啓発」「電力調達」「市の活性化・市民サービスの向上」などに取り組んでいます。


◆“電源の見える化“で目指す地産地消「株式会社とっとり市民電力」
 雄大な土地を生かした日本最大級のメガソーラー風力発電、豪雪地方ならではの雪氷熱利用など、「再生可能エネルギーの宝庫」である鳥取県では、土地が生み出す資源を最大限に生かすべく、再生可能エネルギーを積極的に導入しています。
 こうした取り組みの先陣を切るべく、2015年に鳥取市と地元企業である鳥取ガス株式会社(以下、鳥取ガス)の共同出資のもと、とっとり市民電力は設立されました。
 とっとり市民電力の事業は、電気の小売だけではありません。とっとり市民電力が、現在最も力を入れているのが「電源の見える化」システムの構築です。また、「電力の地産地消」の実現に向けて鳥取ガスと共に自社の電源開発にも取り組んでいます。

◆“スマート半島“実現のために「おおすみ半島スマートエネルギー株式会社」
 鹿児島県肝付町には水力発電風力発電に向いている土地柄を活かた、多くの再生可能エネルギーの発電所が立地しています。2017年1月、肝付町は再エネを活用した電力の地産地消で注目されている福岡県のみやまスマートエネルギー株式会社と共同で「おおすみ半島スマートエネルギー株式会社」を設立しました。
 おおすみ半島スマートエネルギーは数ある課題の中、解決に向けて取り込んでいるのが防災です。現在、太陽光発電を自社で建設し、蓄電池(EV)と組み合わせるプロジェクトを構想しています。
また、「地元の電力事業者が存在することの意義」について住民に理解してもらうために、住民向けのセミナーの開催、パンフレットの作成などをすることで理解促進に努めています。

 電力の地産地消とは、農産物の地域生産・地域消費とおなじく、地域で生産された電気をその地域で消費することです。
 電力の地産地消では、地元で作った電気を使用するため送電距離が短く、送電ロスは大幅に軽減することが可能です。また、地元の企業が電気の小売り事業を行うので、地域経済の活性化に期待できるのも大きく期待されています。
 卒FITとは、太陽光発電自家発電をしていた際に、残った余剰電力の固定価格買取制度(FIT)を利用して売電していた家庭が、2019年より固定価格での買取期間が順次満了することです。
 これまでは電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束しておりましたが、その期間は10年間と定められており、2019年11月より固定価格での買取期間が満了となる家庭が2019年時点で53万件ともいわれ、卒FITの今後の展開が注目されています。

配信元企業:知ってる?電力の地産地消 PR事務局

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