木造船に乗って脱北しようとしていた北朝鮮に住む男性が、杜撰極まりない計画で、あっという間にお縄になってしまったと、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

逮捕されたのは新義州在住の50代男性。この男性は昨年12月、突如として借金をして材料を買い集め、自分で木造船を作った。別の船を所有しているわけでもなければ、船に乗務した経験も水産業に従事した経験もないため、海や船に関する知識は全く持ち合わせていなかったと思われる。

海に漕ぎ出したが、あっという間に警備艇に見つかってしまった。北朝鮮で船を所有するには登録番号の発行を受けねばならず、出港するにあたっても許可が必要だ。登録番号も出港許可証も持っていないことから、男性は逮捕され、身柄が保衛部(秘密警察)に引き渡された。

取り調べに対して男性は「生活が苦しく丹東に行って骨董品を売ろうとした」と述べていた。実際、密輸業者が中国に持ち出す品物の中に、骨董品が含まれていることが多い。

しかし、彼が所持していた骨董品には何の価値もないことが判明した。計画の杜撰さや、船が中国のある北東ではなく、韓国のある南に向かっていたことから、保衛部は男性が脱北を企てたものと断定し、2ヶ月に渡って厳しい取り調べを行った。もちろん、拷問を受けたことは言うまでもない。

そして先月、裁判で無期懲役刑が宣告され、平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)教化所(刑務所)に収監された。脱北に適用される刑法63条(祖国反逆罪)の最高系は死刑だが、情状酌量の余地があると考えられたのだろうか。

ちなみに、昨年11月、咸鏡南道の港から木造船に乗って韓国に逃げようとした一家4人は逮捕され、政治犯収容所送りになっている。

この男性がなぜ脱北しようとしたのか、情報筋は触れておらず、謎に包まれている。

2014年8月31日、北朝鮮の清津(チョンジン)港を出発してイカ漁を行い、9月2日に機関故障を起こし、5日間にわたり漂流していた0.8t級の北朝鮮漁船。同7日午前、韓国慶尚北道地方警察庁所属の独島警備隊に発見され曳航された(写真:独島管理事務所提供/ニューシスKOREA)