2020年3月29日コメディアン志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して死去したことが、ミャンマー社会にも大きな衝撃を与えている。志村さんらザ・ドリフターズのコントは、交流サイトや動画投稿サイトなどでミャンマー語の字幕付きで拡散しており、ファンも多かった。交流サイトのコメント欄には、「志村けんさんはいつも一緒です」などと、日本の有名コメディアンの死を悼むコメントであふれた。

 ここ数年、ザ・ドリフターズのサラリーマン模様を描くコント動画などが、ミャンマー人らの間で拡散。フェイスブックの「日本の笑い」というミャンマー人向けグループは約41万人の「いいね!」数を誇り、主に往年のドリフターズのコント動画が投稿されている。あるミャンマー人のメディア関係者は志村さんについて「志村けんの名前までは知らなくても、多くのミャンマー人が顔をみればわかるだろう」と説明する。

 日本の笑いグループには、次々と「とても悲しいニュースです」「彼は非常に頭がよかった。なんて悲しい事だろう」などとする書き込みが殺到。ミャンマーでも感染者が出始めている新型コロナウイルスの恐怖を伝えるニュースとして、市民にショックを与えている。

 ミャンマーには伝統芸能としてコメディが存在し、しばしば婉曲的に政府を批判する道具ともなる庶民の娯楽して愛されてきた。最近のミャンマー映画でもドタバタコメディが人気を博している。志村けんさんはじめとするドリフターズのわかりやすい笑いが、コメディ好きのミャンマー人の心をがっちりとつかんでいることが、志村さんの訃報で図らずも浮き彫りになった形だ。

志村けんさんらの動画はミャンマー語の字幕付きで拡散(「日本の笑い」フェイスブックグループから)