新型コロナウイルスの影響が、成田空港にも広がっています。実際に行ってみたところ、影響を強く受けているエリアと、そうではないエリアがありました。どういった理由なのでしょうか。

航空会社ごとに3つのターミナルを使い分ける成田空港

世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響で、飛行機の減便や運休が相次いでおり、渦中にいる空港も当然、利用者が減少しています。日本を代表する空港のひとつ、成田空港もそれは同様であるようです。

3月中旬、どのような状況なのか実際に見てきたところ、大部分が静まりかえるなか、まだそうではない部分もありました。

成田空港は3つのターミナルに分かれており、ターミナルごとにどの航空会社が使用するかが決まっています。第1ターミナルはANA(全日空)などが、第2ターミナルはJAL日本航空)などが、そして第3ターミナルはジェットスター・ジャパンピーチなどの新進のLCC格安航空会社)が発着します。

第1ターミナル中央ビルは展望デッキやレストランがあり、平時であれば出発を待つ人や待ち合わせの人などで賑わい、お昼時にはレストランなどの前に行列が見られることもしばしばですが、新型コロナ禍のさなかにあるこの日は大多数が空席です。四六時中、各国の旅客で行列が絶えない「マクドナルド」も並ぶ列は無く、軒先には営業時間を短縮する旨が書かれた紙が貼られています。

第2ターミナルもほぼ第1ターミナルと同じような閑散具合で、出発階送迎エリアには送迎用のクルマがほぼいない状況です。そして館内は、いつもであれば頻繁に見かける「地面に座って荷物をまとめる海外の人」の姿が見られません。

一方で第3ターミナルはほかとは違った 考えられる要因とは

ところが、第3ターミナルに行くと様子が少し違いました。平時と比べると若干、人の往来は控えめなのかもしれませんが、建物入口のソファには、それ以上座れないほど多くの人が腰かけているほか、保安検査場前のフードコートも空席はありますが、平日の夕方という時間帯を考えても人の姿が目立ちます。ほかのターミナルではほぼ並ぶことがなかったコンビニも、この第3ターミナルでは頻繁にレジを待つ列が見られます。

このようなターミナル間の差は、なぜ生じているのでしょうか。

同空港を運営するNAA成田国際空港)は「具体的な理由は不明」としたうえで、第3ターミナルの大きさ自体が第1、第2よりコンパクトなつくりとなっているほか、第1、第2ターミナルは大多数が国際線で、出国制限などの影響で減便、運休が相次いでいるのに対し、第3ターミナルはLCCの運航する国内線が多くの比率を占めていることが、要因として挙げられるのでは、といいます。

なお、NAA3月26日(木)に発表した空港運用状況によると、2020年2月時点の旅客者数は、前年2月と比べて国際線は19%減となったのに対し、国内線は前年より7%増、2月の実績としては過去最高を記録しています。

成田の国内線需要をけん引 3月のLCC利用率はどんな状況?

そして3月ですが、成田発着のLCCのなかで、最多便数、路線数を持つジェットスター・ジャパンは、この時期における国内線の状況を次のように話します。

「3月の時点では、引き続きお客様には底堅くご利用いただいており、2月末に緊急事態宣言をした北海道新千歳線など一部路線を除き、搭乗率は約7割となっています。この時期は外出自粛要請が出たことから、搭乗率が平年より減少気味ではありますが、春休み需要もあり、とくに沖縄や九州方面の路線は多くの方に利用いただけました。ただ、昨今の事情から、4月27日までは便数を減らして運航する方針です」(ジェットスター・ジャパン広報部)。

なおジェットスター・ジャパンによると、飛行機の機内空調は2分から3分で全て入れ替わるよう設計されており、同社のエアバスA320型機には、医療機関などで用いられる高性能空気フィルターを搭載、循環される空気は高い清浄性を維持しているとしています。このほか、夜間駐機の際に座席周り、トイレのドアノブや蛇口ハンドルなど、利用者の手が触れる部分も専用の消毒液で消毒するなど、新型コロナウイルスの感染対策をしているとのことです。

成田空港を出発するジェットスター機(2020年3月、乗りものニュース編集部撮影)。