韓国紙がJリーグを称賛 「競争力の高い助っ人を連れてきて競技力と興行を維持」

 J1ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタは今季で在籍3シーズン目を迎えるなか、「イニエスタ効果」を享受する日本のJリーグに羨望の眼差しを向けているのが韓国のKリーグだ。今季、母国スターの帰還が期待されたなか、「みんなが歓迎するスターの復帰が一部球団のワガママで失敗に終わった」と韓国紙「東亜日報」が報じている。

「水原三星のシーズン初戦で多くのファンがホームスタジアムに訪れたが、最大の理由は相手チームである神戸にアンドレス・イニエスタがいたからだ」と伝えたのは韓国紙「東亜日報」だ。新型コロナウイルスの影響により、水原三星は2月19日AFCチャンピオンズリーグ第2戦・神戸戦(0-1)で今季初戦を迎え、本拠地に1万7372人の観客が足を運んでいた。

「観衆はイニエスタプレーを目の前で直接見たということに満足した様子だった。決勝ゴールの起点となる決定的パスも出すなど、健在ぶりを誇示している。水原はACL景気で“イニエスタ効果”を体感した。彼と2シーズンをともにしているJリーグは、これを凌駕する途方もない効果を享受している」

 イニエスタが与える影響の大きさに触れ、「Jリーグは多くの自国選手がヨーロッパの舞台へ出て行くのを推奨している一方、競争力の高い海外助っ人を連れてきて競技力と興行を維持している」と称賛。その一方で、「イニエスタを通じて、Kリーグは示唆を得た。ファンがスーパースターを渇望しているという事実だ。Kリーグには、イニエスタ級の選手を迎え入れる野望もなければ、実行する資金力もない」と、自国リーグのスター不在を嘆いている。

「日本に向かったイニエスタ、中国に向かったフッキ、カルロス・テベスのような世界的な選手を連れてくる資金がないならば、Kリーグは現実的代案を探さなければならない。 ヨーロッパ舞台から帰ってくる自国選手だ。しかし、それも容易ではない」

母国クラブとの交渉で…「キ・ソンヨンソウルが見せた態度に大きく失望」

 そんな折、2月に元韓国代表MFキ・ソンヨンKリーグ復帰話が持ち上がった。セルティックスウォンジーサンダーランドニューカッスルと長年欧州でプレーする31歳は母国クラブと交渉。ところがスター帰還は霧消してしまうのだ。

キ・ソンヨンKリーグ復帰を考慮した地元チーム、FCソウルは早目に交渉を諦めた。キ・ソンヨンは全北現代と接触して最高待遇を約束されたが、ソウルが復帰条項に基づいた違約金問題を持ち出し、失敗に終わった。 結局キ・ソンヨンスペインのマジョルカに向かった」

 キ・ソンヨンは最終的にスペインへ向かい、日本代表MF久保建英が所属するマジョルカへ移籍。キ・ソンヨンはFCソウルが交渉を邪魔したと明かしているなか、記事では「違約金問題を無視することもできた」という。しかし、韓国人MFの心情は違った。

「だが、キ・ソンヨンは交渉前後でソウルが見せた態度に大きく失望したうえ、訴訟問題での飛び火は願っているものではなく、Kリーグ復帰を放棄する結論を出した。違約金条項だけ前面に出し、Kリーグ全体の興行機会をなくしたソウルに批判が集中した」

 イニエスタらの“スター効果”で注目度を高めているJリーグに対して、自国スターの帰還が実現しなかったKリーグ。「みんなが歓迎するスターの復帰が一部球団のワガママで失敗に終わった」と、韓国メディアの悲しみは深いようだ。(Football ZONE web編集部)

昨季引退したFWビジャを含め多くのスターが在籍するヴィッセル神戸【写真:Getty Images】