米調査会社のNPDグループによると、米国では3月に入ってパソコンと周辺機器の販売が急激に伸びたという。

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PC用モニターの販売2倍、法人向けノート50%増

 同国では新型コロナウイルス感染者数が20万人を超え、自宅待機を義務付ける州がほぼ7割の34州になった。こうした中、在宅勤務や自宅学習に必要なパソコンとその関連製品の需要が高まっているという。

 NPDのレポートによると、3月1~2週におけるパソコン用モニターの販売は、1年前の同じ時期からほぼ2倍の8万台になった。より大きなディスプレーを求める消費者や、マルチディスプレー環境でパソコンを使う人が増えたことが要因だとしている。

 また、3月1~2週のノートパソコンの販売は1年前の同じ時期から10%増え、マウスキーボードもそれぞれ10%増加したという。

 一方で、企業や教育機関などのIT(情報技術)部門は、いち早く自宅待機措置の準備を始めた。これら法人が購入したノートパソコンは2月の最終週で約30%増となり、3月1~2週では50%以上増加した。

 さらに、2月初旬時点で1年前と同じ水準だった法人向けパソコンモニターの販売台数は、2月の最終週では同10%増に、3月1~2週では同40%増になった。

マイクロソフト、新型コロナの影響で業績予想未達の見通し

 米国では新型コロナウイルスの感染拡大への対応措置として、人々の移動を制限したり、企業活動を禁じる動きが広がっている。こうした中、パソコンなどのコンピューター関連機器の需要が低下すると懸念されている。

 米マイクロソフトは2月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、パソコン部門の売上高予想を達成できない見通しだと明らかにした。先の決算発表の電話会見で、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」やパソコン「サーフェス」などの「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の今年1~3月期の売上高予想を107億5000万~111億5000万ドルとしていたが、これが未達となる見通しだ。

アップルも業績予想未達の見通し

 米アップルも2月中旬、今年1~3月期の売上高予想を達成できない見通しだと明らかにした。中国で直営店を一時閉鎖、短縮営業したことで、来店客数が減少し、製品需要に影響が及んだという。

 また、アップルは3月中旬、感染拡大を防ぐため中華圏を除く全世界の約460店の直営店を一時閉鎖すると発表した。

 これらの店舗は今も閉鎖中だ。米ブルームバーグは先ごろ、アップルのリテールおよび人事担当の上級副社長を務めるディアドラオブライエン氏の話として、同社が4月前半の営業再開を目指していると、報じた

「パソコン業界に明るい材料」

 米CNBCは、今回のNPDのレポートは長らく低迷が続いていたパソコン業界にとって明るい材料だと伝えている。

 米調査会社のガートナーによると、昨年(2019年)の世界パソコン出荷台数は2億6120万台。7年ぶりのプラス成長だったが、伸び率はわずか0.6%にとどまっている。

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