鉄道車両のなかには、当初の役割を終えたのち大改造され、見違えるほど“変身”したものがあります。そのひとつが、京王電鉄のデワ600形電車です。もともと通勤形の6000系電車でしたが、貨車などを挟む「事業用車両」になりました。

元は京王の通勤電車だった6000系が事業用車両デワ600形に

全国各地を走る私鉄の車両のうち、改造で大きく姿を変えたものを紹介します。

京王電鉄の事業用車両(営業用ではなく線路や架線などの維持管理に使われる車両)デワ600形は、もともと旅客用の6000系電車として製造されたものです。6000系は、8000系電車などの登場にともなって徐々に引退が進みました。

一方で当時、京王でレール運搬用貨車を牽引していた車両は6000系よりさらに古い5000系電車だったことから、6000系を改造して置き換えることになりました。こうして生まれたのがデワ600形です。

デワ600形は、6000系時代と車体はほぼ同じながら、前面や側面に「警戒色」と呼ばれる赤色の斜めストライプが入り、事業用車両であることが一目瞭然でした。中間に貨車や検測車両を挟み込み京王線を裏方として支えましたが、2015(平成27)年に後継となるデヤ900形にバトンタッチし、引退しています。

なお、京王6000系は一部の車両がラッシュ時の混雑緩和対策として片側5扉で登場し、後に一般的な片側4扉に改造されました。その際には、両端の扉から中央寄りにあたる側板をいったん切り取り、扉や窓部分の一部を再利用するという、プラモデルのような改造が行われました。

6000系電車を改造した京王電鉄の事業用車両デワ600形(画像:photolibrary)。