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盗まれやすい車種、それぞれのワケ

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

大切な愛車がある日忽然と姿を消してしまう車両盗難。

【画像】2018年もっとも盗まれたクルマ14〜1位【ランキング】 全84枚

金銭面や移動の手段が突如として失われるといった実質的な被害はもちろんだが、愛情を持って接してきた愛車が失われることは、クルマを愛するものとして耐え難い苦痛とも言えるだろう。

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「盗まれやすいブランド」ワースト1位はレクサス

そんな車両盗難であるが、盗まれたクルマはその後どのようなルートを辿るのだろうか?

今回は車両盗難ランキングに名前の挙がった車種を中心に盗まれる理由を考察してみたいと思う。

一般社団法人日本損害保険協会が毎年発表している「自動車盗難事故実態調査結果」では、全国で発生した自動車本体盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)事故で、調査期間内に車両保険金の支払いを行った件数でカウントを行っている。

1位:レクサス

なぜか輸入車とレクサスに関しては車種別ではなく、メーカーで一括りにされてしまっているので、レクサスのどんな車種が狙われているのかわからないが、高級ブランドのレクサスだけに海外へ不正な手段で転売されるケースが多いようだ。

高級車ブランドは数あれど、特に信頼性の高いトヨタ製ということもあり、海外での需要も高いようだ。

特に日本のユーザーが所有していた個体はメンテナンスもマメにされているということで日本から輸入された個体という点も評価が高くなる傾向がある(これは正規輸出された中古車の話だが)。

狙いは車体ばかりではないことも?

4位:トヨタ・ハイエース

盗難されやすいイメージが強いハイエース。

本当はハイエースが欲しかったけど、盗難が心配でライバルの日産キャラバンにした、という笑えない話を聞いたこともあるほどだ。

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ハイエースについては車体そのものはもちろんだが、部品単体でも高い需要がある。

実際、圧倒的な耐久性を誇るハイエースは海外でも高い人気を維持しており、現行型となる200系はもちろん先代型の100系も第一線で活躍中なのである。

ということで、ハイエースについては車体そのものはもちろんだが、部品単体でも高い需要があるため、盗難車を部品単位に解体して何食わぬ顔で輸出するという方法も珍しくないようだ。

特に車両丸ごとで輸出するよりも、部品単体での輸出の方がチェック機能も甘いということもあって、盗難車を一旦国内のヤードに集め、解体してから輸出する方法が取られているという。

これはハイエースだけでなく、高性能エンジンを搭載する一部スポーツモデルも同様とのことだ。

また、ハイエースは仕事の相棒として愛用している人も多いと思うが、車内に積まれた仕事道具もターゲットの1つ。

職人さんの工具類やバンドマンの楽器、バイクや自転車のトランポとして使われている個体であれば、窃盗団からしてみると一粒で二度おいしい状態というワケである。

犯罪の移動手段としても狙われている

2位:トヨタ・プリウス 5位:トヨタ・アクア

ハイブリッド専用車であるプリウスアクアも上位にランクインしている。

以前は搭載されているリチウムイオンバッテリーを狙った盗難もあったハイブリッドカーだが、以前に比べてリチウムイオンバッテリーも安価になってきたことで、バッテリー狙いの盗難は減っているようだ。

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トヨタ・プリウス

ではなぜ未だに高い盗難率を誇っているのかというと、それはハイブリッドカーならではの静かさである。

その静かさと、路上に溢れんばかりに走り回っている凡庸性を逆手にとって、犯罪の下見や移動手段に使われているのである。

14位:スズキ・エブリイ

14位にランクインしているエブリイプリウスアクアと同様に、移動の手段として使われることが多い車種だ。

仕事の相棒として使われることが多いエブリイなどの軽ワンボックスバンは、コンビニなどで一瞬離れるときに施錠せずに(ときにはキーを付けたままエンジンもかけっぱなしで)離れることも少なくない。

その隙を見て車両を盗み出し、用が済んだらポイとなる。

そのまま乗り捨てられていれば運がいい方で、証拠を隠滅するために火をつけられたり、一目の付かない崖下へ捨てられたりとやりたい放題となってしまう。

そのため、「ウチのクルマは古いしボロいからだれも盗まないだろう」と考えるのは非常に危険なのである。

もちろん一番悪いのは盗難を行う犯人だが、われわれもできる限り自衛をしなければならないのだ。


【盗まれやすいクルマ】それぞれにワケ 狙いは車体ばかりではない 犯罪の移動手段としても