―[キャバ嬢に訊け]―


コロナショック」が全世界に広がる中、タイ政府は3月26日、全土に非常事態を宣言した。日系企業や飲食店はすでにかなりの打撃を受けているという。

 そんな中、バンコクで人気の日本人キャバクラは今、どうなっているのだろうか。日本人キャバクラとは海外に赴任している日本人駐在員をターゲットにしており、キャスト日本人が勤務している。以前、筆者も働いていたことがある、バンコクで2店舗の日本人キャバクラを経営する『The Emperor Club Groupエンペラークラブ)』の統括マネージャーに話を聞いてみた。

◆突然の営業停止で大打撃……

「政府の意向により3月18日から全てのカラオケ・パブ・BARディスコなどの娯楽施設はすべて営業停止とされました。加えて、3月24日の発表により3月26日より全ての飲食店及び商業施設の営業が停止され、うちのグループである2店のキャバクラも休業状態です。

 昨年10月にトンローにオープンした新店舗は3月までは好調でしたが、突然の営業停止でかなりの打撃を受けています。女性キャストは2月、3月までは相当数の応募があったのですが、現在はコロナの非感染証明書がないとタイに入国できないという状況です。

 日本では症状がないと検査が受けられないとのことなので、労働許可証を持っている日本人以外は事実上、入国できなくなっています。そのため、現在は新規キャストの募集は一旦ストップして、2店舗合わせて総勢30名以上いたキャストは帰国の希望を聞いた上で寮費無料で残ってもらっています」

 現在、バンコクの繁華街パッポンと、多くの日本人駐在員が在住するトンローに2店のキャバクラを持つエンペラークラブ緊急事態宣言が発動される前後で街はどう変化したのだろうか。

日本人向けの飲食店が多く立ち並ぶタニヤ通り及びパッポンのシーロムエリアは、まさにゴーストタウン。トンロー界隈も3月下旬から一気に人が減り、歩いている人も少なくなっています。日本人の出張者や観光客は3月中旬で、ほぼ全員が帰国しました。駐在員の方は企業の決定次第ですが、3割以上の方が帰国したと思われます。

 私が住むアパート周辺の飲食店はデリバリーに力を入れているので食事には困っていないのですが、商店街や飲食店街はゴーストタウン状態です。うちの店及び周辺の日系飲食店やバーなど外国人経営の店に対するタイ政府からの支援は皆無で、すでに相当数の店が閉店しているという話も……。デリバリーを行っている店も普段よりは格段に売上も落ちているようなので、いつまで続けられるか分からない……と不安の声も上がっています」

◆相当数の飲食店が倒産するのでは

 日系飲食店にとってはかなり厳しい状況だが、店は今後の政策をどのように考えているのだろうか。

「この非常事態宣言がいつ収束するかは誰にも分かりません。現在発表されている予定通り、4月30日で終わるのか、または最大期間の3か月まで延長するのか……。具体的な対策や今後の店の方針は、今後の政府と世界情勢の動向次第になると思います。飲食店や同業者の方にとってはどこも状況は同じなので、今後も相当数の飲食店やバーやカラオケ店が倒産していく可能性が高いといわれています。

 でも、こんな時だからこそ助け合っていきたいし何とか乗り越えて行こうという声も。当店でもこの機会はピンチでもありますが、最大のチャンスとも捉えています。今まで出来なかった施策や、普段は時間がなくてできなかったマーケティング戦略やスキルアップを社員全員で行えるチャンスだと思っています。全世界の企業の方が苦しんでいると思いますが、何もせずに嘆いているだけでなく未来に繋がる戦略を考えて前を向いて出来る限りの努力をしていきましょう!」

 日本よりも厳しい状況に置かれているタイだが、日本人キャバクラはタイの助け合い精神で前を向いている。逆境の中だからこそ、我々も見習うべきなのではないだろうか。<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジア日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウント@ayumikawano

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エンペラークラブ周辺、シーロム・タニヤ通りの様子(2019年5月筆者撮影)