【J1クラブ別推定市場価格|仙台編】新戦力のクエンカ、西村も1億円超え 守護神スウォビィクも増額

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中断が続く今季のJリーグだが、5月下旬からの段階的な再開を目指した日程を白紙に戻すことが3日に発表された。J1は現時点でまだ1試合しか行われていないため、各チームの戦力を把握できていないファンも多いはずだ。そこで今回は視点を変えて、各チームの戦力分析を進めたい。

 ドイツの移籍専門サイト「transfermarkt」が更新している選手の“市場価格”は、その選手の価値を測るために評価を数値化したものであり、“推定移籍金”に近い意味を持っている。この市場価格をチームごとにまとめて比較・分析することで、J1リーグにおける各チームの戦力が見えてくるはずだ(※登録選手リストはJリーグ公式サイトを参照)。

ベガルタ仙台(昨季11位)
選手市場価格総額:19億5900万円
チーム内最高額選手:アレクサンドレ・ゲデス(1億8000万円)

 10年連続でJ1に残留しているベガルタ仙台は、常に紙一重の状態が続いている。主力の多くを残留させることに成功したが、そのほとんどが市場価格をダウン。金額を上げた選手を数えるほうが容易で、仙台一筋9年目のDF蜂須賀孝治(1億3200万円/2位)、昨季にJ1自己最多得点を更新したMF関口訓充(3600万円/22位タイ)のベテラン勢に加えて、昨季新加入選手のFW長沢駿(9600万円/6位)、MF松下佳貴(7200万円/10位タイ)、MF道渕諒平(6000万円/15位タイ)、GKヤクブ・スウォビィク(6000万円/15位タイ)、DF照山颯人(1200万円/28位)のみとなっている。

 その他の昨季メンバーは軒並み市場価格を下げており、DFシマオ・マテが2400万円ダウンで1億2000万円(3位タイ)となるなど、チームとして下降線を辿ることが危惧された。

 こうした流れを打破すべく、今季は積極的な補強に出ている。なかでもポルトガル1部のヴィトーリアから移籍してきたFWアレクサンドレ・ゲデスは、1億8000万円の評価でチーム1位となっており期待が高まる。

パラ、吉野とも8400万円で即戦力の評価

 また、サガン鳥栖から移籍してきたMFイサッククエンカも1億2000万円でチーム内3位タイ。その他にもCSKAモスクワからポルティモネンセレンタルされていたFW西村拓真(1億800万円/5位)、鹿島アントラーズへ移籍したDF永戸勝也の穴を埋めるために獲得したDFパラ(8400万円/7位タイ)、サンフレッチェ広島から移籍してきた地元出身のDF吉野恭平(8400万円/7位タイ)らもチーム内の評価は高く、即戦力と見られている。

 新戦力への期待は高まるが、ゲデスとクエンカが揃って負傷。加えて長沢も負傷して攻撃の軸となる選手が不在のまま開幕戦を迎えていた。そういった意味では、現在の予期せぬ中断期間は仙台にとって立て直しを図る時間となる。クエンカの早期復帰は難しそうだが、ゲデスと長沢は中断期間中に復帰できる見込みで、その間に新たに加わった西村を交えて攻撃陣を構築する時間ができた。

 順位を一つでも上げるためには、昨季同様に新戦力が市場価格を上げるような活躍を見せることが絶対条件と言える。それでもチーム総額が示すとおり、今季も下位争いを強いられることは必至。今季の降格がなくなったことも、木山隆之新監督の下で新戦力を融合させたい仙台にとっては好材料となりそうだ。(Football ZONE web編集部)

ベガルタ仙台DFシマオ・マテとGKヤクブ・スウォビィク【写真:高橋学 Images】