元伊代表MFトンマージ氏はトップリーグのみならず、幅広く考慮することが重要と主張

 イタリアの選手会会長を務める元同代表MFダミアーノ・トンマージ氏が、新型コロナウイルスの影響により国内の全公式戦が中断されているなかで、「下部のリーグや女子サッカーが消えるリスクがある」と発言している。イタリアサッカー専門サイト「トゥットメルカートウェブ・コム」が報じた。

 現在、イタリアではトップリーグセリエAをはじめとするすべての公式戦がストップ国際サッカー連盟FIFA)と欧州サッカー連盟UEFA)やイタリアサッカー連盟(FIGC)は、再開についての議論を行っていることが報じられているが、トンマージ氏はその風潮に警鐘を鳴らす。

UEFAFIFAもFIGCも、再開の予定を発言することはできない。新型コロナウイルスがそれらを決めるので、残念ながらいつピッチに戻るかについて、予定を完全に未定にすることが求められる。現在、感染数がイタリア(12万4632人)を上回ったスペイン(12万6168人/5日13時22分現在)では、延期が4月末まで延長されることになる。この流行により、時間と再開の可能性があるかどうかを理解する必要がある」

 あくまでも感染の状況がサッカーを再開するよりも先に来るべきだという発言で、先に日程を決めようとする風潮に異議を唱えた。そのうえで、ユベントスなどクラブと選手側で給与カットについて合意や議論がされている状況について、少し別の視点から見解を述べた。

「賃金の引き下げと、経済危機を管理する必要性の組み合わせにより、話し合いは分かりやすいテーマになる。選手たちは自分たちの役割を果たし、リーグからFIGC、UEFAFIFAまで、視野を広くする事が必要だ。セリエAの選手たちはハイエンドだが、下部リーグの選手たち、アマチュアサッカー、女子サッカーもあり、この部分が消滅するリスクがある。ここで、トップリーグの選手たちほど、ピラミッドのベースについて考える必要がある」

 トップリーグの選手たちは社会的な位置づけのなかで相対的に高い給与を受け取っているが、その下には広い裾野があることをトンマージ氏は指摘。ニュースになるのは知名度の高いトップレベルの部分になるが、その下の位置づけになる層に目を配ることが必要だと話している。

 現役時代のトンマージ氏は運動量豊富なボランチとして知られ、ローマで日本代表MF中田英寿氏らとクラブの歴史のなかでも現在までの最後になるリーグ優勝を獲得した。そうした360度を見渡すような素養は、選手会の会長になってからも十分に発揮されている。(Football ZONE web編集部)

イタリアの選手会会長を務めるダミアーノ・トンマージ氏【写真:Getty Images】