【J1クラブ別推定市場価格|清水編】昨季主力の多くがダウン評価、最高額はカルリーニョス・ジュニオで3億6000万円

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中断が続く今季のJリーグは、再開日程が白紙に戻されることが3日に発表された。リーグ戦はまだ1試合しか行われておらず、各チームの戦力をしっかりと確認できていないファンも多いはず。そこで今回はドイツの移籍専門サイト「transfermarkt」の情報を基に、視点を変えて各チームの戦力分析を進めたい。

 同サイトが更新している選手の“市場価格”は、その選手の価値を測るために評価を数値化したもので、“推定移籍金”に近い意味を持つ。この市場価格をチームごとにまとめて比較・分析することで、J1リーグにおける各チームの戦力が見えてくる(※登録選手リストはJリーグ公式サイトを参照)。

清水エスパルス(昨季12位)
選手市場価格総額:23億5800万円
チーム内最高額選手:カルリーニョス・ジュニオ(3億6000万円)

 昨季は最終節でJ1残留を決めた清水エスパルスは最終順位を12位としたが、ほぼ全員の選手が市場価格を下落させている。価値を上げた選手は、昨季の加入で主力となったMFヘナト・アウグスト(1億800万円/4位タイ)、ルーキーイヤーながら7得点を挙げたMF西澤健太(7200万円/13位タイ)、負傷明けの昨季にコンスタントな活躍を見せたMF六平光成(6000万円/16位タイ)、プロ2年目でリーグ出場機会を得た滝裕太(3600万円/23位タイ)の4人のみという厳しい評価となっている。

 下位に低迷した状況を打破するため、清水は今オフに積極的な補強を敢行。特にヴィッセル神戸へ移籍したFWドウグラスの抜けた穴を埋めるために、FWカルリーニョス・ジュニオ(3億6000万円/1位)とFWティーラシン・デーンダー(1億800万円/4位タイ)を獲得している。カルリーニョスはスイス1部ルガーノに3年ほど在籍し、107試合34得点を挙げている。ティーラシンは2018年にサンフレッチェ広島プレーし、2年ぶりのJリーグ復帰。どちらも市場価格は高く、ドウグラス以上の得点が期待される。さらに大分からFW後藤優介(1億800万円/4位タイ)も加入しており、FWの定位置争いは例年になく激しくなりそうだ。

守備陣にやや不安…新加入DFヴァウド、GKネト・ヴォルピらの活躍に期待

 そうした市場価格の高いFWを獲得したことで、高額選手のバランスが前線にやや偏っている。そうした意味では守備面に不安を抱えることになりそうだが、ブラジル1部セアラーから獲得したDFヴァウド(8400万円/10位タイ)とコロンビア1部アメリカ・デ・カリから加入したブラジル人GKネト・ヴォルピ(7800万円/12位タイ)に注目が集まる。

 多くの新戦力を獲得したチームを率いるのは、オーストラリア人のピーター・クラモフスキー新監督。2018年から2シーズン、横浜F・マリノスのヘッドコーチとしてアンジェ・ポステコグルー監督を支え、攻撃的なサッカーを志向する。開幕戦はFC東京に1-3で敗れたが、自分たちの時間帯を作るなど可能性の片鱗を見せた。この予期せぬ中断期間を使って新戦力の融合を加速させられれば、今季は残留争いを回避することができるはずだ。(Football ZONE web編集部)

今季新加入のFW後藤優介(左)とFWティーラシン・デーンダー【写真:小林 靖】