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新型コロナウイルスの感染拡大が問題視され始めてから、日本では“咳エチケット”という言葉をさらに耳にするようになった。説明するまでもないが、マスクをするかティッシュなどで口を覆ってから咳をする他人への配慮を込めたエチケットである。このほどアメリカでバスドライバーの男性が口を押さえずに咳を連発した乗客の女性に苦言を呈していたのだが、その11日後に新型コロナウイルスによって亡くなってしまった。『ABC News』『New York Post』などが伝えている。

今月1日、米ミシガン州デトロイト市交通局の職員でバスドライバーだったジェイソン・ハーグローヴさん(Jason Hargrove、50)が新型コロナウイルスに感染したことにより亡くなった。日本時間6日20時現在で33万7,933人の感染者が確認されているアメリカでは、公共の乗り物を運営する人達にとって常に危険と隣り合わせの状態と言える。

ジェイソンさんは亡くなる前の先月21日、Facebookのライブ動画にてバス車内で口を覆いもせずに咳を連発していた女性について、少し過激な言葉を使って苦言を呈していた。8分もの動画で、ジェイソンさんは次のように語っている。

「私達はここで公務員として働き、家族を養うために真面目にやっていこうとしている。だけど、あんたはバスに乗って口を覆いもせず咳を何度もした。これに関して何とも思わない人がいるんだってことが分かったよ。全く! そんなもの吐きかけるな! みんな、口が悪くて申し訳ない。」

またジェイソンさんは、咳をした女性は他の乗客を感染の危険に晒したと話している。そして残念なことに、この動画を投稿した11日後にジェイソンさん新型コロナウイルスの感染によって亡くなってしまったのだ。ジェイソンさんの死を知ったデトロイト市長のマイク・ダガン氏(Mike Duggan)は、アメリカ国民にジェイソンさんの怒りの動画を見て欲しいとして、次のように訴えた。

「あなたがこの事実を知って何も感じないというのなら、それは私には理解できません。彼は毎日の仕事の中で自分が命の危険にさらされていることを感じていました。毎日デトロイト市民のために働いていた彼のことを、何とも思わない人がいたということです。今、彼はここにはいません。」

デトロイトでは先月17日、バスドライバーが感染に対して身の安全が確保されていないことを理由にストライキを行っていた。これを受けて乗客はバスの後方にある乗降口から乗り降りすること、料金は徴収しないなどの新しい措置が取られた。

ジェイソンさんのFacebookには哀悼の言葉が寄せられているとともに、「車内のカメラで女性を特定し警察に突き出したほうがいい」「咳をした女性は、恥知らずな咳をしてまた誰かを殺しているだろう」と多くの人が怒りをあらわにしている。

画像は『Jason Djinfiniti Hargrove 2020年3月21日付Facebook』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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