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7日に緊急事態宣言を発令する予定の安倍首相(写真;アフロ

電話取材中も、渡辺一誠さん(40)は、苦しそうに咳きこみ続けていた。それでも証言をやめないのは、“新型コロナウイルス肺炎の真実”を、人々に伝えたいという強い思いからだろうか。

「でも、いまの症状は咳くらいで、熱も37度台か平熱と、かなり落ち着いてきています。来週の月曜日には、退院に向けたPCR検査も受けられる予定です」

本誌が取材をした4月3日、渡辺さんは東京都内で入院中。彼が入院した3月27日からすでに1週間が経過していた。この日の夕刊で各紙は次のような見出しの記事を掲載している。《軽症者 自宅・ホテル療養 厚労省通知 重症者の病床確保》(読売新聞)、《新型コロナ 軽症、病院外施設で療養》(日本経済新聞)……。新型コロナウイルス感染が拡大するなか、重症者の病床を確保するために、厚生労働省が軽症者や無症状の人について、ホテルや公的施設での療養を容認したのだ。だが渡辺さんは言う。

「一般の人々には、“軽症者”という言葉が、間違って伝わっているように思います。それを知ってほしいということも私が自分のことを書き始めた理由の一つです」

彼が病室のなかにいるうちにも、『Forbes JAPAN』のWEBサイトに掲載されている彼の闘病手記は反響を広げ続けている。コンサルティング会社『Globality』CEOの渡辺さんが、発症したのは3月22日だったという。

「熱っぽさとだるさが出てきたので、『風邪をひいたな』と。ただいつものときのように鼻水が出たり鼻が詰まったりするわけでもなく、汗もそれほどかかない、のども痛くない。熱は38度だったのでインフルエンザかも、とは思いました」

その後は熱も39.5度を記録するようになり、渡辺さんはコロナ感染を疑い始めたという。

「発症から5日目の3月26日に保健所に連絡をして、近くの病院を紹介されたのですが、その病院では何時間待っても検査をしてもらえず、あきらめました。ようやく検査を受けることができたのは、その翌日の27日。保健所にどうしても検査をしてほしいと懸命に訴えたことが功を奏したようでした。ただ病院にはタクシーで向かったのですが、後で『タクシーには乗らないでほしかった』と、医療スタッフに注意を受けたときはハッとしました」

検査の結果、“陽性”であることを告げられた渡辺さん。隔離のために個室に1人きりで入院することになった。実は発症日の前日、渡辺さんは神奈川県で数人の友人たちと、食事を伴う打ち合わせをしていたという。“濃厚接触”はしていないはずだったが、入院中には、その友人たちが陽性反応を示したという知らせも次々と届いたのだ。入院3日目の29日、彼は症状について次のように書いている。

《事態は辛くなる一方です。昨晩、2度の投薬後も39.8℃。もう、がくがく震えるわ、頭は熱いわ、なんのこっちゃかわからず、「もういい加減してくれよ」と、声に出てしまいました。(中略)咳ですが、昨日は咳で眠れないほどになってきました》(『Forbes JAPAN』掲載の手記より)

結局、渡辺さんは《40度近くなると、震えたり、熱くなったり》といった状態が8日間も続き、熱と頭痛と咳で、ほぼ水しか受け付けない状態になったという。

インフルエンザのほうが30倍マシだと思いました。ピークの40度を超えていたころは、夕食後に解熱剤を飲んでも全然下がらず、また飲んでも下がらず、『アイスノンをもっとください』と、お願いして、かろうじて寝つけたこともありました。それで眠れても2時間くらい……。そんな状態でも病院からは『軽症』と表現されてしまうのです。皆さんには風邪の軽いような状態ではないことを理解してほしいです」

確かに「コロナウイルスは感染しても8割は無症状か軽症」といった表現もしばしば使用されており、「軽症で済むのなら」と考えている人も多いかもしれない。日本感染症学会は症状のレベルを4つに分けているが、現場ではそこまで厳密に区別はできていないようだ。

「女性自身」2020年4月21日号 掲載