新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、各国の株式市場が乱高下を続けている。米連邦準備理事会(FRB)は3月20日、日銀や欧州中央銀行(ECB)など5中銀を対象に、米ドルの資金供給策を拡大すると発表した。

ニューヨーク 証券取引所
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 そうした状況下において、我々が取れる手段はあるのだろか。学生時代から投資を始め、 投資研究会サークルKISHU」を創立、20代投資家YouTuberとして活躍を続けるKENさんに話を聞いた。

世界的な景気後退で何が起こるのか?

――今回の市場の下落は「コロナショック」とも呼ばれています。

KEN統計学的には、間違いなく歴史的瞬間にいると思っています。今回の大暴落にはアルゴリズムやAIによる高速取引の影響も間違いなくあるでしょう。私も、今回のショックを目の当たりにして大きな衝撃を受けていますが、投資家としては、この瞬間に立ち会えたことは人生の中で非常に大きな経験だと思っています。

――世界的なリセッション(景気後退)に入ると何が起こるのでしょうか?

KENセッションとはいっても、業種・セクターによって影響はバラバラです。投資家としては、リセッションに入るから悲観的になるのではなく、景気が低迷している中でも、強い銘柄を見つけていく必要があるでしょう。そのためにも日頃からの銘柄分析がとても大切だと考えています。

リーマンショックよりも深刻な状況?

チャート

――リーマンショックと比べて、より深刻な状況といえますか。

KENリーマンショックは、金融危機でしたが、今回は実体経済に直接的な影響を及ぼしています。今回の新型コロナウイルスは、日常の生活を送る上ではリーマンショックよりも深刻だと考えています。

 しかし、金融市場を考えた場合、リーマンショック時のように元の株価に回復するまで4年も掛かるような展開になるとは考えていません。

 なぜなら、今回の新型コロナウイルスは、過去のウイルスと同じでいずれピークが来て、落ち着くと考えているからです。また、医療技術が発達している現代では、早い段階でワクチンや効果的な新薬が現れるとも言われているからです。

日本銀行の施策は正しいのか?

――日本企業は乗り切れるのでしょうか?

KEN乗り切れると思います。日本企業は、リーマンショック以降、内部留保の拡大を続けてきました。そのため、このような危機が発生した場合、アメリカなどの財務レバレッジを効かせて経営してきた企業よりも、体力はあると考えています。

 その証拠に、この危機に際してアメリカでは自社株買いの中止や停止が相次いでいるが、三井物産やソフトバンクグループなど日本企業は数千億、数兆円規模の自社株買いを次々と発表しています。

――マーケットを安定させるために、各国の中央銀行が施策を出しています。

KEN金融市場を安定させるため、一定の効果はあるとは思いますが、今回の危機は実体経済から及ぼされる影響が大きいため、金融政策では根本的な解決にはつながらないですし、各国中銀もそれは認識していると思います。

「ヘリコプター・マネー」は効果があるか?

給与

――金融政策以外に、財政政策として「ヘリコプター・マネー」「ベーシックインカム」を実施すべきといった声もあります。

KEN実施すべきだと思うし、そのような意見が出るのは当然のことだと思います。先程お話ししたように、今回は通常の金融危機と違い、実体経済に直接、影響を及ぼしています。ヘリコプター・マネーは端的に言えば、政府・日銀が国民にお金をばらまく施策ですが、こうした国民に直接渡るような現金の給付は、一部の層には効果的だと思っています。

――財政政策は効果が出ると思いますか?

KEN出ると思います。政府は4月2日大企業向けに4000億円規模の財政支援検討を発表していますが、今回は、実体経済による影響が大きいですので、金融政策だけでなく財政政策による支援が必要だと考えています。

最も効果的な施策は「現金給付」

KEN
インタビューに答えるKENさん
――ではKENさんが考える最も効果がある施策とは。

KEN家計・個人に対しての現金給付。特にこれは、アメリカなどで大きな効果があると思います。アメリカは、終身雇用がある日本と違い、企業に属さずに働いている人の割合が非常に大きいので、月給というよりは働いた分だけの収入を得る人が多い。実体経済が停滞すると収入が途絶えてしまう。

 また、飲食店従業員などは、チップの文化による依存も大きい。おまけに、日本とは違い、アメリカ人は貯蓄をあまりしないことでも有名で、「その日暮らし」が多い。現金給付を行わないと、クレジットカードや家賃などの支払いができない層が多くいます。

 日本でも、休業補償や所得補償を行うことが効果的だと思います。政府は4月3日、一定水準まで所得減少した世帯を対象に、1世帯30万円の現金給付で調整していると発表しましたが、アメリカと比べて少ないものの、日本でも非正規の雇用者の割合が増加しており、所得に不安を覚える人々が非常に多いです。

 感染拡大している状態では、余り効果が見えない可能性もありますが、新型コロナショックから立ち直るには、雇用を安定させることが大切だと考えています。慢性的な人手不足は今後も継続しますし、今の日本には労働者一人ひとりが大切ですからね。

<取材・文/栗林篤>

KEN
大学2年に投資サークルを立ち上げ、その後、参加した全ての投資コンテストで優勝。FX歴5年目、株式投資歴4年目。FXはテクニカルを重視した短期トレードがメイン。株式はファンメンタルズを重視した中長期トレードがメインYouTubeチャンネルZeppy投資ちゃんねる」メンバー

【栗林篤】

元IT企業のサラリーマン株主優待と家賃収入で細々と暮らすフリーライター。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』がある