世界的に感染が広がる新型コロナ肺炎。欧米をはじめ多くの国では医療崩壊を発生させ、甚大な被害が出ています。

筆者の住むタイでは、本記事執筆時点の2020年4月6日時点現在の累計感染者数は2220人。日本の累計感染者数は同日で3880人(クルーズ船の感染者数を除く)ですから、両国の人口比などを考えると、感染確認者数では、およそ同程度の状況にあります。

しかし現在、新規感染確認者の増減では大きな違いが出てきています。

本記事執筆時点の2020年4月6日のタイの新規感染確認者は51名、これは前日の102人と比べても半減した数字です。

 

タイでは、新型コロナの集団感染を防止するため3月17日にはバンコクで、エンターテインメントや、夜の街のナイトクラブなどの閉鎖命令が出されました。

この命令はタイ各地で同様の命令が出され、映画館やスポーツ施設、バー、カラオケ店、ナイトクラブ、マッサージ屋など、飲食店以外は全面的に営業禁止命令が出されたのです。

閉鎖された夜の街はゴーストタウンのようになり、その様子を撮影した以下の写真や動画などには大きな反響も出ています。3月18日の段階で、ここまでの措置をタイ政府は講じていたのです。

 

 

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それでも感染の拡大が止まらなかった為、3月26日にはタイ政府は非常事態宣言を発令。飲食店も店内での飲食を禁止しテイクアウトのみとし、外国人の入国禁止、タイへのフライトも禁止する措置も講じ、タイ全土で夜10時から朝4時まで外出禁止命令も出されています。

ここまでの禁止措置をタイ政府がして、本日の4月6日の新規感染確認者は、前日比で半減にまで落ちてきているのです。

もちろん、タイでも多くの人が仕事や収入を失って大変な状況となっています。加えて外出禁止、違反すれば2年もの懲役刑にもなりかねない違法行為となっても、違反し外出する人間はタイ人にも外国人にもいます。タイ政府は現在、これを相当に厳しく取り締まっています。

 

日本と同程度の感染状況でも、日本政府よりも遥かに早く非常事態宣言も出して、ここまで取り締まって、ようやく新規感染確認者が半減し、感染スピードが鈍化してきているのです。

ここでタイ政府は新型コロナに感染した軽症者を強制隔離をするために、ホテルなどを隔離場所として使えるように各地方政府に命令、医療現場の負担を軽減しながら、感染をきちんと抑え込むための手段を講じています。

もちろん、タイもこの後に、また感染拡大をするかもしれません。しかしながら現段階では、感染スピードが落ちたことで、なんとか医療崩壊はせずに済んでいます。

 

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一方で、同程度の感染状況だった日本では、感染の急拡大が続いています。

東京都だけで4月4日に117人、5日に143人の新規感染確認者が確認され、連日100人を超える感染者が出るようになっています。4月6日東京都の新規感染確認者は83人となりましたが(日曜日の集計が出ていないという理由もある)、83人でも、タイ全土の同日の新規感染確認者の51人と比べて遥かに多いのです。

筆者は「PJA NEWS」という、タイニュースなどを日本語で出すサイトで執筆していますから、タイのニュースをはじめ海外ニュースを多く見ています。

その筆者の感覚で言うと、タイと同程度の感染状況にある日本の政府が、4月6日になって、東京だけでも新規感染確認者が143人にもなった翌日に、ようやく「緊急事態宣言」を行う意向を固めるというのは、驚くほど政府としての対応が遅いと感じます。

日本政府は、同程度の感染状況だったタイと比べても、あまりにも打つ手が遅い。しかも、東京と似て人口も密集し、電車などの公共交通網も発達した米国のNYでも、爆発的な感染をして医療崩壊が起きており、多くのNY在住の日本人からの警告も伝えられているのに、それでこの遅さは一体何なのでしょうか?

 

さらに驚かされるのは、日本政府の姿勢です。

4月4日には、日本の佐々木紀国土交通政務官(自民党)がツイッターに「感染拡大を国のせいにしないで下さい」などと書き込み、大きな問題となりました。

日本政府の政務官が、日本政府のこの対応の遅さの挙句に「日本政府の責任にするな」と日本国民に求めたのは、にわかに信じがたいほどに酷い態度です。日本政府が、同様の感染状況で東南アジアの中進国であるタイ政府と比べても、あまりにも遅くぬるいと感じさせられる対応を散々に行っている上に、挙句に政府の政務官が「政府の責任にするな」と国民に求めるとは!

筆者も日本人ですから、日本には家族も多くの友人もおり、日本には大切な人が多数います。日本政府は、その日本国民を守る気すらもないのか!? と驚かされたニュースです。

 

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この後の感染の拡大と被害状況がどうなるかは、まさに今、日本でも政府がどこまで迅速に抑え込む事ができるかにかかっているのです。

そのためには、既に感染が爆発しているNYなど欧米のケースも参考となります、NYの医療崩壊した現場などから必死に日本を助けるために状況を伝えようとしている人の声を、日本はもっと真摯に聞かなければいけません。

その上で、同レベル程度の感染状況と考えられるタイと比べても、既に本日時点で大きな新規感染確認者数の違いが出ている事を、理解して欲しいのです。

日本は現在、日本の医療現場からも医療崩壊を危惧する声が溢れています。

それなのに日本政府は、緊急事態宣言すらも出さず、一般の人に電車通勤やお花見までさせていたのです。これでは、感染者数の爆発的な増加が抑えられるわけもありません。

日本が医療崩壊に至らず、感染のスピードを抑え込めるかどうか、まさに今、瀬戸際にあります。

日本政府の全政治家と各当局の全担当者に、外国のケースと比べても現時点で大きな差が出ている事をも理解し、責任ある迅速な対応をして日本国民を感染爆発と医療崩壊の危機から助けて欲しいと強く願います。(取材・文◎福留憲治【PJA NEWS】)

 

本記事は、筆者が配信責任者を務める以下の
PJA NEWS
(タイニュース、パタヤニュースを毎日配信)
を元にしています。

https://www.pattayaja.com/

 

2020年3月18日夜 パタヤのウォーキングストリート (写真:パタヤメディアThe Pattaya News)