今回は「副業してみたいけど、何が向いているのか分からない」という女性のお悩みに、外資系OLコラムニストのぱぴこさんがアドバイス。

副業してみたいけど……

最近会社で副業が解禁になりました。やったほうがいいのかなと思いつつ、そもそも何を目的に副業するべきなのか、どんな副業が自分に向いているのかよく分かりません。際立った特技もない私ですが、うまく副業をしていく方法を教えてください。

近年の働き方改革でも注目されているのが「副業」です。私がこの原稿を書き、原稿料をいただくのも副業になります。

会社に副業禁止規定がなければ、会社の給与以外で収入を得られるようなプラットフォームを作っておくのは「収入が増える」「収入源を一つに依存しなくていい」という点で魅力的です。

しかし、日本で「働き方改革」と「副業解禁」がセット売りされているのは、人口減による経済活動のシュリンクにより従来モデルの成長曲線が描けず、「終身雇用」モデルが崩れているからに他なりません。

また、今更ですがインターネットの出現により、個人がメディアと販路を持てるようになりました。テクノロジーの進化も「組織」から「個」への転換を後押ししています。

……と、小難しい出だしになってしまいましたが、この構造を頭に入れた上で副業というものを捉えないと、ババを引く活動になりかねません。

■副業の目的は大きく2つである

冒頭にも述べましたが、副業をやる目的は大きく2つあります。

(1)トータルの収入を上げるため
(2)収入源を一つの場所に依存させないため

「自分の優先度はどちらが高いか?」でも、方法論は大きく変わります。それぞれの目的を詳しく見ていきましょう。

◇(1)トータルの収入を上げるため

本業意外の収入を得ることで、全体の収入を上げるための副業です。

例えば月5万円が、別の収入源として機能すれば、税金天引き前で年間60万円を得ることができます。本業にプラスして毎月5万円入ってくると、生活は随分と楽になります。

◇(2)収入源を一つの場所に依存させないため

「勤めている会社がなくなる」という最悪を想定したときに、収入を得る場所を一箇所に固定しない生活は強みになります。

会社給与と同じだけ得るのは無理でも、「定期的な収入がある」という事実は心を楽にします。

■副業=インターネットなのか問題

場所を固定されない、初期投資が少ない面から「副業=インターネットを活用した何か」を発想しがちです。

SNSを活用して収入を得るインフルエンサービジネスの認知度は「子どもが将来なりたい職業」に登場するまでになりました。

私もブログ・Twitterをきっかけにライティングの仕事をしていますが、周囲の副業パーソンを見ると、必ずしも「副業=WEB」の方程式が成り立つとは限りません。

■実録! 副業をしている人たちの本業と中身

私の周りの副業パーソンから、実例を見てみましょう。

(1)本業:ソフトウェアエンジニア/副業:テクニカルライター
(2)本業:広報/副業:メディアプランナー
(3)本業:ライター・編集者/副業:ライター・編集者
(4)本業:マーケター/副業:マーケター・ライター
(5)本業:営業職/副業:イベントオーガナイザー
(6)本業:コンサルタント/副業:データアナリスト

彼女たちの共通点は「本業と関連する業務を副業としても提供している」ことです。

例えば(1)のエンジニアの友人は、技術を基礎にしたテクニカルライター業のほか、技術に関する勉強会やイベント登壇なども請け負っています。エンジニアは技術を自発的に発信する人が多いため、趣味と実益を兼ねた活動が副業につながるケースが散見されます。

メディア業の友人たちも、本業は会社員、副業はフリーランスで同領域の仕事に就いています。「副業」を新たに模索したのではなく、本業の関係や知見を活かしたケースです。

業務内容が全く違う例では、本業は新規営業職をしていて、副業でイベントオーガナイザーをやっている(5)です。とはいえ、副業では本人が営業で鍛えたコミュ力と段取りの良さが大きく貢献していて、一切の関連性がないとは言えません。

副業は、別途アルバイトをすることでも得られます。しかし副業を得たいと考える人は「拘束されたくない」「自由に動きたい」という要望を持っているように感じます。

■結論:ちゃんと仕事をするか、趣味を深めるか

夢がない結論になりますが、最初から「お金にしよう」と手を付けて、収入につなげられる人はマレです。「手軽」と言われがちなWEBを活用した副収入も仕組みを理解して、収益化につながる形にするにはそれなりの時間と根気が必要です。

もちろん一念発起で本業とは全く別の収入源を手に入れられる人はいますが、「レア」だからこそ注目を集める存在だということを忘れないでください。

もしも「手軽に収入源を得たい」と思うならば、一番の近道は「本業で成果を出し、一人でも価値提供できるスキルを付ける」です。

POINT.

・副業をやることの目的をはっきりさせよう
・副業=インターネット、とは限らない
・本業と紐付いた形で副業をしている人がほとんど
・あれもこれもと手を出すよりも、本業を副業に転用することを考えよう

(文:ぱぴこ、イラスト:黒猫まな子)

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