「今1000円をもらう」か「1年後に1100円をもらう」という選択肢があったとしたら、みなさんはどちらを選びますか?

この質問に対して合理的でより良いとされている回答は、後者の「1年後に1100円をもらう」という選択肢です。しかし、みなさんの中には「今1000円をもらう」という選択をした人もいるのではないでしょうか。

冷静に考えると「1年後に1100円もらう」というのは1000円が1年間で10%増えているので、預金や一般的な投資よりもお得な話なのですが、「1年後にいくら得するか」よりも「今1000円が欲しい」という感情のほうが上回ることが少なくないのです。

このように、心理学行動経済学では「将来よりも今を重視してしまう人間の性質」を明らかにしており、この性質を「現在バイアス」といいます。この現在バイアスは、「貯金をする」という目標を達成する上ではとても重要な知識ですので、「貯金ができる人」と「できない人」の違いを意識しながら解説していきましょう。

人は「1年後の幸せ」よりも「今の幸せ」を好む本能がある

まず結論として、人は「1年後の幸せ」よりも「今の幸せ」を好む本能があるため、「今の幸せ」ばかりを基準にお金を使っている人は、いくら貯金をしたいという気持ちを持っていたとしても目標を達成するのは困難です。

東京国際大学の盛本晶子氏の論文「時間選好率および現在バイアス性がオンラインゲームコンテンツへの課金行動に与える影響」では、(1)現在バイアスが強い人、(2)「自分は現在バイアスがある」ということを意識できない度合いが強い人ほど、ゲームに課金してしまう傾向を明らかにしています。

つまり、現在バイアスは計画外の出費を増やし、またその事実を認識できていなければ、さらに衝動的な出費をしてしまう危険性が潜んでいるのです。この研究では、現在バイアスがゲームの課金行動へ及ぼす影響について検証していますが、日常生活でも同じことが言えます。

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現在バイアスによる出費の例

①頻繁に外食に行ってしまう

みなさんは友人や会社の同僚と、頻繁に外食や飲み会に行っていませんか? もしあなたが貯金をしたいのであれば、外食や飲み会に行く回数や使う金額をあらかじめ設定しておきましょう。

というのも、親しい友人や同僚との外食は非常に楽しいものなので、具体的な目標額を設定していない限り「今の幸せ」を選ぶ現在バイアスによって、ついつい衝動的な出費につながりやすいので注意が必要です。

②携帯プランの見直し

日常にはみなさんの盲点になるような現在バイアスも潜んでいます。携帯電話プランの料金設定もその一つです。

携帯電話プランは、自分に合ったプランに定期的に見直しすることにより携帯料金が安くなったり、格安SIMに変更すると今までよりも大幅に料金が抑えられることもあります。しかし、多くの人は携帯料金が今よりも安くなる可能性を知りつつも、実際に手続きをする人はごく少数です。

これも現在バイアスが関係しており、プランの変更が面倒であることや現状維持を好む傾向から、プラン変更を行わない人が多くなっていると言えるでしょう。

「貯金できる人」になるための方法

現在バイアスがあることは人間の性質であるため、それ自体は問題ではありません。貯金をする上で着目すべきポイントは「現在バイアスがあることを意識していない」ということなのです。

そこで、現在バイアスと上手に付き合いながら貯金をしていくためには「あらかじめ、できるだけ具体的に貯金の計画を立てておく」ということが大切になってきます。

たとえば、上記の例でもあったように、外食や飲み会は楽しく、ついつい出費が増えてしまいがちです。しかし、月に使う外食費の上限をあらかじめ設けておけば、「今月は使いすぎているな」ということもすぐに気がつけます。

また、目標を立てた時点での最適な計画と今の自分にギャップが生じていることを意識できるので、衝動的な出費を防ぐことに役立つでしょう。

まとめ

貯金ができるようになるためには、今回紹介したように行動経済学における現在バイアスを意識することが効果的です。まずは具体的な貯金の計画を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。

【参考】「時間選好率および現在バイアス性がオンラインゲーム内コンテンツへの課金行動に与える影響」(盛本晶子)