住む人の好みや暮らしに合った空間づくりを行うリノベーション会社「FILE」の代表・石川敬子さん。
以前は目黒通り沿いに3つの店舗と事務所を構え、自宅マンションも近いという職住近接のライフスタイルでしたが、「都会から少し距離を置いたゆったりした場所で」との思いから、物件探しをスタート。
ほどなくして見つかったのは、大田区田園調布にある築45年のRC造、2世帯住宅として使われていた一戸建てでした。その開放的な空間を自宅兼ショールームにし、仕事と暮らしの拠点を移して職住一体の暮らしが始まりました。
これ、パーフェクトなキッチンかも?リノベ会社の戸建て兼ショールームを公開「暮らしのなかに仕事がある」という自然体の日常
2階建ての建物の1階を自宅(LDKはショールームも兼ねる)、2階をショールーム兼事務所にリノベーションした石川さん。「仕事をしながら家のことができる。いつでも休めるし、いつでも仕事ができる。だから、休みが欲しいとは思わなくなりました」と話します。
自然光が差し込む開放的なLDKの床には、イタリア製の天然石調タイルをセレクト。2匹のトイプードルたちが滑らず、掃除もしやすいそう。床暖房入りなので冬も快適です。
打ち合わせスペースを兼ねたDKには大きな本棚を置き、建築やデザイン関係の本、仕事の資料などを収納しました。正面の扉が蛇腹式になった凝ったつくりのキャビネットの中には、なんとテレビが収納されています。
リビングの窓には視線や光をコントロールできるハニカムブラインドを使用していて、カーテンとの違いを実感できます。
庭に面した明るいダイニングの窓辺に置いたのは、アルネ・ヤコブセンのエッグチェアです。
美しくて機能的なキッチン
毎日フル稼働しているのにスッキリと片付いたキッチン。機能性も収納力も抜群なので、料理をしながら片付けも同時進行できます。
個性的なデザインのレンジフードはクックフードル、右手前に見えるオーブンはイタリアの調理機器メーカー・ベルタゾーニのものです。
3口コンロはハーマンのプラスドゥ。安定感のあるい五徳も、操作ツマミも使いやすいそう。
「ダブルシンクはとっても便利」と気に入っている様子の石川さん。手前側では食材を洗って水切り、向こう側では器や調理器具の洗い場として使い分けています。シンクと水栓はコーラーのもの。
シンクの右下にはスウェーデンの老舗メーカー・ASKOの大容量食洗機が備わっています。揚げ物に使ったギトギトの鍋も、換気扇のフィルターもお任せできるので、「大きなシンクはあまり必要ないですね」と石川さん。
キッチンをすっきり保てる秘密は頼もしい収納力
キッチン背面のカウンター収納にはモノトーンで揃えた調理家電やコーヒーメーカーが並びます。上下左右、どの方向にも収納をたっぷり備えていることで、このすっきりと美しい空間が保たれているよう。
カウンター上部は、あえて棚板の感覚を狭くしている食器棚になっています。見やすく、取り出しやすいようにと食器の重なりを少なくしました。
L字型キッチンの角の部分には、スライド式のマジックコーナーを。奥にあるものが簡単に取り出せて、石川さんもお気に入り。
シンク下のダイニング側には、ワイングラスや来客用のカップなどを収納。スペースを有効活用できる木製のパーツはオリジナルです。
コンロ下はスライド収納になっていて、鍋類を収めています。愛用しているタークの鉄のフライパンもこちらに。
浅い引き出しを開けてみると、オクソーの保存容器が整然と並びます。中にはよく使うだし、調味料、乾物などが入っています。
カトラリー類はインターデザインのアクリルケースを使って収納しています。浅い引き出しなので取りだしやすく、しまいやすいそう。
日々の居場所にもなる、ホテルライクな寝室
夫と一緒に仕事をしているため、「お互いの居場所はたくさんあった方がいいと思い、寝室は寝るとき以外にも使えるようにしました」と石川さん。ゆったりとした寝室はまるでラグジュアリーな高級ホテルの一室のよう。
中央にベッドを置き、ヘッドボードを兼ねた造作家具の裏側は収納になっています。奥に見える天井まである引き戸の中は、収納力十分のクローゼット。
ヘッドボードの裏側を覗いてみると、スライド式のオープン棚になっていました。ニットやカットソーなどを畳んで収納しています。
そして壁際にはデスク兼ドレッサー、さらには本棚を連続させた造作家具を配置。デスクの前を鏡面にして、明るさと広がりを演出し、さらに小さな手洗いボウルも組み込みました。
水回りまでこだわりを詰め込んで
モノトーンでまとめたシックなトイレ。便器はコーラー、床はポルトガルの大理石タイルをセレクトしました。
セラトレーディングの手洗いボウルと水栓金具を備えたサニタリー。FILEオリジナルの洗面台にASKOのドラム式洗濯機を組み込み、壁の一部には大理石モザイクタイルを使用してさりげないアクセントに。
リアルなショールームとして訪れたお客さんにたくさんのヒントを与えている石川さんの自宅兼ショールーム。理想の生活空間をつくり、そこでの暮らしを日々体験することが、石川さんの仕事のエネルギー源になっているようでした。
デザイン FILE
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラス vol.33」掲載時のものです。
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