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 特に理由があるわけでもないのに多くの人に信じられていること――それが迷信だ。科学や論理とは真逆のものですら、なぜか私たちはそれを無視することができない。

 例えば日本だと、霊柩車の前では親指を隠しちゃったり、茶柱が立つといいことがあると思っちゃったり、雛人形をしまうのが遅れると婚期を逃したり...

 そのような迷信は世界中の文化に浸透していて、他の国からみれば滑稽なものに感じるものもあるだろう。

 だがその逆もしかり。我々が当然のように思っている習慣だって、他から見ればただの迷信で、奇妙に映っているかもしれないのだ。

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10. 合わせ鏡は悪魔を呼ぶ(メキシコ)

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 鏡を2枚向き合わせると、そこには無限に続く不思議な世界が出現する。ずっと見つめていると、無限回廊に迷い込んでしまったかのような錯覚を覚えるこの現象は、これまでホラー映画などには格好の題材だった。

 だが、そうした映画がメキシコで撮影されたことはないはずだ。この国には、合わせ鏡が異世界とつながっており、そこから悪魔がやってくるという迷信があるからだ。

 はたして無限に並ぶ鏡のどれが異世界の扉なのだろうか?

9. 葬式からそのまま帰宅してはいけない(フィリピン)

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 フィリピンの人たちは、葬式やお通夜に参加したら、そこからいきなり自宅へ向かうことはない。レストランでもショッピングモールでもどこでもいいから、とにかく一度は自宅以外の場所に立ち寄るのだ。

 この習慣を「パグパグ」(タガログ語で「振り落とす」の意)という。

 フィリピン人によれば、葬儀場からいきなり家に帰ると、悪霊がついてきてしまう恐れがあるのだとか。だから、一度どこかに立ち寄って、そこに霊を置いてくるのだ。

 ならば、フィリピンのレストランには悪霊がウヨウヨしている――のかもしれない。

8. 室内で口笛を吹いてはいけない(リトアニア)

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 ご機嫌なとき、口笛を吹きたくなる人もいるかもしれないが、リトアニアの家庭でそれをやったら顰蹙ものだ。

 この国が、他人と目を合わせるのもマナー違反と考えるくらい、保守的な国民性であることも理由の1つだが、本当の理由は別にある。

 彼らによれば、家の中で口笛を吹くと、悪魔の注意を引いてしまうのだそうだ。ワンちゃんが大はしゃぎで飛んでくるなら大歓迎だが、悪魔の来訪は遠慮してもらいたいだろう。

7. 水で乾杯してはいけない(ギリシャ)

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 友達との飲み会でも、1人きりの宅飲みでも、乾杯の瞬間は楽しいものだ。だが、ひとつアドバイスを。グラスの中身は必ず水以外のものにしておくこと。ギリシャでそんなことをしたら、きっと怒られる。

 その迷信によると、死者は冥界を流れるレテ川の水を飲むことで、この世とのつながりを洗い流すのだという。水での乾杯はそれに似ているため、誰かを呪い殺すに等しい行為なのだそうだ。

 では、乾杯しないなら水を飲んで構わないのはなぜなのか? 乾杯をある種の祝福なのだと捉えれば、呪いと表裏一体の関係にあるのかもしれない。

6. パンを逆さまに置いてはいけない(フランス)

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 パンのバターを塗った面を下にして置いたことはあるだろうか? 迷信を抜きにしても、あまり気持ちがいい感じはしない。だが、フランスでは不快なだけでなく、死を呼び込む不吉な行為だと考えられている。

 一説によると、この迷信の由来は、かつて死刑執行人には片手で掴んだものをタダでもらえる特権があったことであるらしい。

 パン屋は、パンを逆さまに置いておくことで、買い物客にそれが売り物ではないことを伝えた。やがて、この習慣が迷信につながったのだそうだ。

5. 犬のフンを踏んだら運がいい!(フランス、ロシア)

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うっかり犬のフンを踏んで嬉しい人はいないだろう。だが、フランスでは必ずしもそうだとは限らない。

 運命の確率は2分の1だ。もしうんちを踏んだのが右足であれば、ツイてない(ツイてても)。その日は台無しだ。ところが、左足で踏んだのであれば、あなたはツイてる! その日はきっとウンがいい!!

 ロシアにも似たような迷信がある。自分の体や持ち物に鳥のフンを落とされたら、縁起がいいのだそうだ。

 なぜ、これがラッキーサインなのか、日本人ならお分かりだろう(だってウンが付くのだから)。

 念のためにもう少し説明すると、滅多にないことが起きたから運がいいということらしい。最悪のことが起きてしまった慰めとして、そのような迷信が考案されたという説もある。

4. ウッドチャックが自分の影を見つめると冬が長引く(アメリカ、カナダ)

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 北アメリカには、ウッドチャック(グラウンドホッグ)というネズミの仲間が冬の長さを決めるという迷信がある。冬眠から目覚めたウッドチャックが自分の影を見れば冬はまだ長引くと信じられているのだ。

 その由来はペンシルベニアドイツ語文化に伝わる、ウッドチャックが影を見つめると冬が長引くという伝承なのだが、これはドイツに伝わるアナグマの伝承が元になっている。さらにこのドイツの伝承は、聖燭祭の日に晴れると冬が長引くという言い伝えが起源であるらしい。

 またアイスランドには、冬に玄関前で編み物をすると、その冬が長引くという迷信があるそうだ。

3. ヨーヨーが旱魃(かんばつ)を起こす(シリア)

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 迷信は大抵は歴史的な起源を持つものだ。科学のない大昔なら、黒猫が横切ると不吉であると考えられたとしても仕方なかったのかもしれない。

 だが、意外にもあのヨーヨーが旱魃を起こすという迷信まであるのだ。

 バリア・マイナー紙によれば、かつてシリアで旱魃が起きたとき、世界ではヨーヨーが流行っていた。それは雨のように垂れ下がっては、雨乞する人々を嘲笑うかのように手元へと巻き戻る。

 こうしてヨーヨーが旱魃を起こすという迷信がシリアに広まり、その邪悪な影響を看過できなくなった当時の指導者たちは、1933年、ついにヨーヨーを禁止するに至った。警察はヨーヨーの没収まで命じられたそうだ。

2. ヤギの呪い(ルワンダ)

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 あまり馴染みのないヤギの肉だが、アフリカでは結構食べられていて、たとえばケニアにはニャマチョマというヤギ肉料理があっておいしいそうだ。

 だが同じアフリカでも、ルワンダでは女性が食べてはいけない食材とされていた。

 なぜなら、ヤギには女性にはおよそ相応しくない特徴があるからだ――それは立派なあごヒゲだ。また、ヤギは性格的に頑固なところもある。このために、ルワンダの女性はヤギ肉を食うべからずとされていた。 

 一見、女性を気遣ったかのような迷信だが、本当のところは男性諸氏が美味しいヤギ肉を独り占めしたかっただけなのかもしれない。

1. カルロス・メネムの名を口にしてはいけない(アルゼンチン)

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 カルロス・メネムとは、1989~1999年にかけてアルゼンチン大統領だった人物だ。国民はどうも彼の治世には相当懲りているらしく、これ以上禍に見舞われてはたまらないと、その名前を口にすることすら忌み嫌う。

 2001年の経済危機はメネムの政策が原因であるとされる。だから、メネムの名を口にしてはいけないのか? いいや、それは表向きの理由だ。本当は裏の、真に恐ろしい理由があるのだ。

 その発端は、メネム大統領に指名された大臣が2人も早々に死んでしまったことだ。さらに1990年、メネムがあるサッカー選手の膝を叩いたことがあった。すると間もなく、その選手は膝を故障してしまったのだ。

 メネムに祟られた被害者は、テニス選手、レーシングドライバー、ダンサー、歌手など多岐にわたる。メネムと握手を交わしたあるボートレーサーは、事故でその腕を失うという大怪我まで負った。メネムの呪いで地震が起きたという噂もある。

 他人に災をもたらすメネム本人も無事ではなく、離婚や息子の不慮の死といった不幸に襲われた。まるでウイルスのように感染する彼の呪いからは、何人たりとも逃れられないようだ。

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 とは言え迷信は、科学的根拠がないにしても、先人の経験からくる知恵が詰まった産物である場合もある。ものによっては、健康やマナーを守るためのものもあるようだ。

 ということで、迷信だとはわかっていても、みんなが信じているものってある?うっかり儀式的にやってしまう迷信とかって何?

References:The Strangest Superstitions From Around the World - Toptenz.net/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52289611.html
 

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