Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、Netflixで現在配信中の“いまこそ観たい”オリジナル作品をピックアップ。職を失い、愛するマイホームを手放した男のサイコホラーや、社会から孤立した主人公夢と現実に苛まれる心理サスペンスなど、バラエティあふれる2作品がそろった!

【写真を見る】この恋人は現実?それとも夢?(『ホース・ガール』)

■ 職を失い、手放した自宅に執着する男がとった行動とは?『その住人たちは』(Netflix配信中)

スペイン製のスリラーミステリー映画には、ひねりの利いたプロットや洗練された映像センスが際立つ秀作がひしめいている。Netflixラインナップに新たに加わった本作は、職を失い、妻子との関係も冷えきった中年の広告クリエイターの物語。そんな公私共にどん底状態の主人公ハビエルが、ある断酒会で偶然巡り会った男の家庭に接近し、パラサイトならぬ“乗っ取り”を企てていく姿を映しだす。ハビエルがひとつまたひとつと道徳的に許されない一線を踏み越え、悪行をエスカレートさせていく展開に驚愕。登場人物に共感したいタイプの人にはオススメしないが、人間の歪んだダークサイドに興味があり、心理的なサスペンスが好みの人はぐいぐい引き込まれるはず。まさしく広告のように美しく誇張された“幸福な人生”のイメージを追い求める主人公の暴走を、おそるおそる目撃してほしい。(映画ライター・高橋諭治)

■ ある思い込みから夢と現実の区別がつかなくなっていく…『ホースガール』(Netflix配信中)

Netflix女子プロレスドラマGLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」などで知られる女優アリソン・ブリーが、盟友ジェフ・バエナ監督と共同で脚本を手掛けた、半自伝的なサイコスリラーである。普通に人生を送っている限り“半自伝的”と“サイコスリラー”はなかなか両立しないかと思うのだが、ブリーは精神疾患で妄想に固執する家族がいたために、自分の身にも同じことが起きるのではないかと怯えており、その恐怖感から本作のアイデアを思いついたという。ブリー演じるサラは、人づき合いがちょっと苦手なクラフトショップの店員だが、ある考えに取り憑かれてしまう。「自分は亡くなった祖母のクローン人間ではないか?」そして妄想では片付けられない不可解な現象が次々と起こり、映画全体がとてつもなくシュールな方向へと暴走していくのだ。サイコスリラー?SF?すべては妄想?それとも複雑怪奇でパズルのようなミステリー?いくつも散りばめられたヒントを追えば追うほどに答えが遠ざかる。奇妙で魅力的で、やたらと手強い怪作である。(映画ライター・村山章)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!(Movie Walker・構成/トライワークス)

夢遊病で外出⁉女優アリソン・ブリーの半自伝的サイコスリラー『ホース・ガール』