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992型に最強版のターボSが登場

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
自動車好きの多くの人は、ポルシェ911とターボという組み合わせに、長い間興奮してきた。ポルシェ911ファンに限らず。

初代ポルシェ911ターボが登場したのは1974年スポーツカーとしてのパフォーマンスに、新しい基準を設定した。ターボチャージャー付きのフラット6と、誰もが目を奪われる巨大なウイングをまとい、今日まで語り継がれる伝説のモデルとなっている。

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ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

それ以来、基本的な構成は現在まで変わることはない。時代とともにフィロソフィーの変化はあったとしても。

初代の登場から半世紀近くが経とうとしている2020年、7代目になる992型にも、ポルシェ911ターボが追加された。2016年に登場した、先代の991型911ターボに置き換わるモデルとなる。

電動化技術を搭載するモデルも含めて、競合モデルは少なくないが、ゲームを支配する競争力を期待せずにはいられない。ターボに「S」が付く今回の試乗車。見た目は従来どおり金属質なソリッド感をたたえつつ、筋肉質でもある。

円形のLEDヘッドライトや、ボディ幅いっぱいのテールライトなど、992型らしい新鮮なディテールをまとう。だが明らかに、ボディラインは先代からの結びつきを見て取れる。

全幅はベース911カレラより48mmも広げられ、かつてないほどにワイド。だが、992型は991型と同じプラットフォームを土台としており、ホイールベースは同じ2450mmとなる。

パワーウエイトレシオは396ps/t

アルミニウム製のボディは、中央が絞られたコークボトルのボディラインを際立たせるかのように、ホイールアーチ部分がふくよかになっている。フロントのトレッドで42mm、リアトレッドで10mm広い。

992型でもターボSには、ボディタイプはクーペかカブリオレが用意される。今回の試乗車はクーペだ。

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ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

ホイールは標準でフロントが20インチの9.0J、リアが21インチの11.5Jと、こちらもワイド。ボディサイズで比較すると、991型のターボSより28mm長く、20mm広い。全長は4535mm、全幅は1900mmとなる。

今までより4kgも軽量に仕上げられたコンポジットガラスを含めて、数多くの軽量化対策が盛り込まれているが、車重は40kg増しの1640kg。最新のデュアルクラッチATと、大径ブレーキ、それを包む大径ホイールを採用したことが主な要因だ。

空力性能も改善を受けた。991型にも採用されていた、改良版のアクティブフロントスポイラー・ダクトの採用に加え、新しいリアスポイラーを装備。

スポイラーは、スピードパフォーマンスか、設定を変えられる。パフォーマンスを選ぶと、ダウンフォースは15%増しとなる。

991型までは、2009年の996型911ターボから採用されていた、3.8Lの水平対向6気筒を搭載していたが、992型は新型へとスイッチ。排気量を14%小さくしているが、馬力もトルクも、これまで以上に大きい。

ターボSの場合、最高出力は991型から70ps増強され、650ps/6750rpmを獲得。1L当たりの馬力は236ps、パワーエイトレシオは396ps/tとなる。Sの付かないターボの最高出力はまだ公表されていない。

最大トルクに合わせて駆動系も見直し

最大トルクは5.1kg-m増しの、81.4kg-m/2250-4000rpm。これまで最も過激だったロードゴーイング911のGT2 RSと比較すると、出力は50ps低いが、トルクは5.1kg-m強い。

この最大トルクの増強に合わせて、デュアルクラッチ8速ATはアップグレード。マルチプレート・クラッチによる4輪駆動システムも新しくなっている。

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ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

車内は先代から大きくお化粧直しを受けた。ドライビングモードを選択する、コントローラー付きのステアリングホイールが採用され、シフトパドルも備わる。メーターパネルはデジタルモニター式。インフォテインメント・システムには、10.9インチモニターが充てがわれる。

美しく整えられたセンターコンソールを含めて、すべてが高品質。ボディサイズが大きくなったとしても、992型の911も以前通り2+2。リアシートは子供向け。

フロントには128Lの荷室がある。リアシートの背もたれを倒せば、264Lの荷室としても利用できる。

基本情報はこのくらいにして、ターボSを走らせてみよう。

エンジンスタートさせると、おなじみの硬質なメカニカルノイズが迎えてくれる。新ユニットとなったとしても、ノイズ正統派911。アイドリング状態では、リアに突き出たフラット6の脈動が大きく、排気音をかき消す。

シフトレバーを手前側に倒し、道を進み始めると音響は変化する。といっても、最新のターボSは、コンフォートモードを選んでいる限りマナーは悪くない。静かというわけではないものの、騒がしいとも感じないレベル

GT1やGT2 RS、GT3 RSより速い

ややザラついた音色の排気音は、991型より狙ったもののように聞こえる。試乗車にも付いていたが、オプションスポーツエグゾーストによるものだろう。それでも、まだ落ち着いた音量にある。

長い間、トップグレードのポルシェ911が備えていた強みでもあるが、992型ターボSも変わらず、充分に周囲に馴染めるほど文化的。郊外の開けた道へ向かう途中、都市部の交差点を縫って走る間は、一般的なホットハッチと同じくらい運転がしやすい。

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ポルシェ911ターボS(992型・欧州仕様)

スポーツモードに切り替え、右足に力を込めると、見事な深みのある響きを引き出すことができる。自然吸気のポルシェユニットに劣らない、魅力的なサウンドだ。

走行性能は、異次元と呼べるほどのレベル。低速ギアでの加速時には、その力強さを常に気に留めておく必要がある。0-100km/h加速に要する時間は2.6秒。991型ターボSより0.2秒縮めてきた。

現状では、これまでの量産版ポルシェ911で最速となるのが、992型ターボSとなる。つまり、これまでのGT1やGT2 RS、GT3 RSよりも速い。

中回転域でのたくましいトルクと、4輪駆動が生む凄まじいトラクションによって、加速力は爆発的と呼べるもの。0-200km/h加速も1秒縮めて、わずか8.9秒しかからない。

広い回転域で太いトルクが得られるため、高いギアでも効果的な加速を実現している。高速域でも途切れることなく線形的に速度を乗せ続け、300km/h台のスピードに到達。超高速域では、最高速度となる329km/hで170kgに達するダウンフォースが、出色の安定性を与えている。

この続きは後編にてお伝えしたい。


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