喫煙者にとってショッキングな出来事が続いている。まずは、新型コロナによる感染拡大だ。専門家によると喫煙者は感染後に症状が重篤化する傾向にあり、4月6日には国際結核肺疾患連合が「喫煙者に禁煙」「タバコ会社に製造・販売停止」を呼びかけた。次に4月1日に施行された「改正健康増進法」および「受動喫煙防止条例」。屋内施設を原則禁煙とする法令で、その対象には居酒屋やパチンコ店など従来は喫煙可が当たり前だった施設も含まれている。

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 コロナと法改正が重なったことは思わぬ事態を引き起こしている。それが屋内にある公衆喫煙所の閉鎖だ。法改正を見据えて拡大した受動喫煙防止対策助成金によって公衆喫煙所が増え始めている矢先だった。記者も2月に設置された公衆喫煙所を憩いの場としていたが、感染拡大以降は行き場を失った。

 ここで「本当に危険」と訴えておきたいのが、屋外の公衆喫煙所の利用だ。屋外ということで閉鎖していないところが多いが、実際はかなり危険なエリアと化している。理由はいくつかある。屋内喫煙所を利用していた喫煙者が流れてきて普段以上に混雑している、タバコを吸うためにマスクを外す必要がある、外に煙が流れにくい構造になっているので空気が滞留しがち、など。実は「三密(密閉・密集・密接)」になりやすい。

 今後、閉鎖の流れになるとは思うが、喫煙者にはできるだけ避けることを薦めたい。最後に少しだけ喫煙者側に立つことを許してほしい。状況が改善するまでタバコを我慢すればよいとお叱りを受けるのは承知の上で、喫煙者のいる家庭は自宅における一服について話し合いをしてほしい。常態化するのはよくないが、1日1本などのルールを決めてベランダで吸う、ニオイの少ない低温加熱式のタバコに切り替えるなど対処策はあるはずだ。

 住居のルール確認なども欠かせないが、喫煙のために外に出て感染してしまっては元も子もない。実際、そうした感染経路も確認されている。平時から喫煙者と非喫煙者の間には分かり合えない深い溝があり、お互いを敵視しがちだ。しかし、外出自粛でストレスが溜まりがちの今だからこそ、お互いを気遣い、ウイルス感染という共通の脅威から命を守ってほしいと思う。(BCN・大蔵大輔)

コロナと法改正のダブルショックで行き場を失った喫煙者。唯一の逃げ場である公衆喫煙所も閉鎖に