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 オーストラリア西部の深海で、恐ろしいほど長い紐(ひも)状の生物が撮影された。その長さは外側1周だけでも47メートルもあったそうで、全長は推定120メートルにもおよび、世界最長の生物である可能性もあるという。

 地域によっては「ロング・ストリンギー・スティンギー・シンギー(長いひも状のとげとげしたやつ)」と呼ばれるそれは、器官と動物の境界を曖昧にしてしまう生物なのだそうだ。

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 この映像は、ニンガルー・キャニオンズの研究チームがニンガルー海岸沖のインド洋深海で撮影したものだ。

 研究チームは水中ドローン(ROV無人潜水機)とソナーを使って、生物の宝庫でありながら、あまり研究が進んでいない西オーストラリアの深海を調査していたところ、この激長ひも状物体を発見した。


地球で最長の生物となるか?


 ブラウン大学(アメリカ)の海洋生物学者ステファン・シーベルト氏によるとこれはクダクラゲ目ケムシクラゲ科の一種で、1つの動物のようで、じつは数千もの個体が高度な1つの実体を形成しているのだという。

 調査されていた地域ではわりと普通にいるらしいが、ここまで大きく奇妙な姿をしているものは珍しいそうだ。

 「水中ドローンの操縦士がざっと見積もっただけで、きちんと計測されたわけではありませんが、地球上に存在するいかなる動物よりも長いようです」と、西オーストラリア博物館のリサ・カーケンダール氏は話す。

 一番外側のリングは、推定およそ47メートルという巨大さで、そこから全長を推測すると120メートルに及ぶという。

 だがこれは「個虫」という小さな個体が集まって形成されたものだ。

 個虫は、数千もの自らのクローンを作り出し、1つの「群体」を作り出す。だが、それは単純な集合体ではない。その巨大な体の中で、トゲのある触手、エサをおびき寄せる赤いルアー、あるいは生殖や移動に特化した部分といった具合に、さまざまな器官が形成されている。

クローンの一部は捕食に特化する。ほっそりとした体にぶら下がる長い触手は、釣り針が並んだ釣り糸のよう。こちらの別のクダクラゲフリル付きの触手もそうだ。

地球上に存在する異世界

 カーケンダール氏によると、撮影されたスーパーロングな螺旋状のケムシクラゲは、エサを食べる姿勢を取っていたと思われるらしい。

 これほど巨大な群体にもなると、少なくとも数百万の個虫が協力しながら、エサを食べていると考えられるそうだ。エサの栄養は、全員がつながっている幹の部分(神経シグナルの通路でもある)を通して共有される。


 撮影された映像の中には、ケムシクラゲにしがみついてそれを食べるササノハウミウシ(学名 Cephalopyge trematoides)の姿も映っている。

クダクラゲクローンにしがみつくササノハウミウシは、まるで飾りのように群体にぶら下がっては、ゆっくりとそれを食べている。

 ニンガルー・キャニオンズが撮影した深海の映像には、いくつもの奇妙な生物が映し出されている。


Illuminating Biodiversity of the Ningaloo Canyons - Week 3 ROV Highlights HD - FK200308

 これだけ不思議な連中が揃っているのだ。あえて、宇宙の果てまで地球外生命を探しに行かなくてもいいのではないだろうか?

References:techtimes. / sciencealert./ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52289713.html
 

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