ダンスに青春をかけた男たちを描く『KING OF DANCE』が、4月11日(土)から読売テレビ4月16日中京テレビ5月7日BS日テレ、他)でドラマ放送され、その舞台が7月16日(木)よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールを皮切りに上演される。
ダンスを得意とする俳優たちがキャスティングされた本作は、過去のとある事故をきっかけにダンスの表舞台から姿を消していた高山空と、世界的なダンサーである父の死をきっかけにダンスをやめた三浦海斗が再びダンスへの情熱を燃やし、“KING OF DANCE”の頂点を目指すストーリー。
ドラマ版には主演を務める高野洸のほか、和田雅成、荒木宏文、丘山晴己、蒼木陣、丞威、福澤侑、本田礼生、眞嶋秀斗、滝澤諒、野島良太、RYUICHI、和田琢磨、バッファロー吾郎Aが出演。ドラマの脚本は吉谷光太郎、監督は松永洋一、土屋隆俊、林雅貴が担当する。舞台版の脚本・演出は吉谷光太郎が務め、主演の高野洸をはじめ、和田雅成、荒木宏文、丘山晴己、蒼木陣、丞威、福澤侑が続投。
そこで、三浦海斗を演じる和田雅成と、彼を真摯に支える真城博一を演じる丘山晴己に話を聞いた。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶

◆テレビと舞台どちらも同じ役を演じることができるので嬉しかった

ーー ドラマ×舞台連動プロジェクト『KING OF DANCE』。テレビドラマと舞台が連動する新しい試みで話題にもなっていますが、本作に出演が決まったお気持ちを聞かせてください。

【 和田雅成 】 僕は舞台を中心に活動しているので、テレビドラマに出演できるだけでなく、テレビと舞台、どちらも同じ役を演じることができるので嬉しかったです。

【 丘山晴己 】 テレビと舞台で同じ役を演じるといってもおそらく違う雰囲気になるだろうし、異なったテンションで演じることになると思います。お客様だけでなく、僕らもどうなるのかが楽しみな試みなので、出演のチャンスをいただくことができて、とても光栄です。

ーー 和田さんが演じる三浦海斗、丘山さんが演じる真城博一は、どのような役だと思っていますか。

【 和田 】 僕は“世界のMIURA”という伝説的なダンサーの息子なので、撮影に入る前からハードルが上がってしまって(笑)。

【 丘山 】 わかる(笑)。日本のマイケル・ジャクソン的な立場の息子だからね。

【 和田 】 そうなんです。しかも物語の設定として、(三浦)海斗は父の死をきっかけにダンスを諦めて、ふてくされている時期なんです。そこから這い上がって、いかに世界的ダンサーの息子であることを証明するのか。海斗は不器用で、僕はそんな人物にたまらなく魅力を感じるので難しい役でしたが(ドラマでは)楽しみながら演じました。

【 丘山 】 真城(博一)は“世界のMIURA”のつくった“KOD(KING OF DANCE)”というダンスの大会に命をかけながら、亡きMIURAの息子として、さらにはダンサーとして、海斗を成長させたいと思っているプロデューサーです。彼は“KOD”が人生のすべてなので、他人に対して愛嬌があるわけでもなく、目的を達成するためなら手段を選ばない。冷酷でありながら、“KOD”に対しては尋常でないパッションを抱いている人物です。

ーー ドラマでのおふたりの関係性を聞かせてください。

【 和田 】 海斗は真城と共に“KOD”で優勝したいと思っていますが、同時に、真城の思惑に利用されたくないとも思っている。一匹狼で誰にも指図をされたくないタイプですが、真城に言葉巧みに乗せられてしまうので、結果的にはバランスのいいコンビになっていると思います。

【 丘山 】 見方によっては真城に甘えているように見えるよね?

【 和田 】 そうですね。

【 丘山 】 というのも、真城も海斗がどうすれば成長するのかわかっているんです。突き放しているように見せて、海斗の負けず嫌いな性格をうまくつついて、彼の奮起を待っている。海斗も真城に「うるさい」と言って抵抗はするけれど、真城に甘えているところがあるから本気で反抗できない、独特な絆で結ばれたふたりだと思います。

◆青春といえば、吉谷光太郎

ーー 吉谷光太郎さんの脚本は、まさにダンスに青春をかける若者のお話で、主人公たちの成長物語を丁寧に描いていますね。まずはドラマ版の脚本を読んでいかがでしたか。

【 和田 】 吉谷さんの舞台には何度か出演していますが、ストレートに感動できる作品や登場人物たちに観客が熱くなれる物語を丁寧に描いているからこそ、多くの人に愛される方だと思います。今回僕は海斗を背負ったうえで脚本を読まさせていただいたので、彼に感情移入してしまいました。おそらくほかのキャストもそうだろうし、人物の描き方が丁寧なので、実際に映像になってもわかりやすくて観やすいと思います。

【 丘山 】 青春といえば、吉谷(光太郎)さんだよね。いわば“KOD=青春ダンス白書”みたいな感じ?(笑)

【 和田 】 なんですかそれは!?(笑)

【 丘山 】 まさに吉谷さんにしか描けない“ザ・青春もの”だと思う。あそこまで気持ちよく青春を描くのが吉谷さんというか。キャラクターの方向性もわかりやすいし、視聴者の皆さんも感情移入しやすいと思います。

ーー ダンスシーンで大変だったところはありますか。

【 丘山 】 主にNew jack swing(ニュー・ジャック・スウィング)という80年代の終わりから90年代の初頭に流行った音楽に合わせて踊るのですが、ダンスシーンが終わったら和田くんの表情がとても明るくなっていて(笑)。それぐらい気を抜けないダンスで大変だったと思います。

【 和田 】 僕はニュー・ジャック・スウィングに関わるのは初めてでしたけど、自分に納得できないダンスを作品にするのは嫌だったので、レッスンでもかなりハードに練習しました。それでも自分の許せる場所までたどり着けたという自信を持てなくて(苦笑)。“KOD”とタイトルが付く以上、ダンスにプレッシャーを感じていたから、ダンスシーンが終わるたびにホッとして、振付師の先生に「ありがとうございます」と思わず言ってしまうほど苦労の連続で(笑)。でも、そこから発想の転換をしてあれこれ考えるのはやめて、とにかくダンスを楽しもうと思うようにしました。

【 丘山 】 僕もいろいろな種類のダンスを踊ってきましたが、ニュー・ジャック(ニュー・ジャック・スウィングの略称)は触れたことがありませんでした。ただ、やっていくうちに“踊っている”と感じることがあって。このダンスで大切なことはふたつ、“バイブス&フィーリング”なんです。音楽を感じる“バイブス”。そして“勢い=フィーリング”で踊る。ダンスは音楽を感じるのか、リズムを感じるのかで踊り方が違いますが、リズムを意識して踊った初めてのジャンルになりました。

ーー ドラマの撮影で大変だったところはありますか。

【 和田 】 ダンスバトルのシーンです。映像だから細かくカットを入れて映像を切り取っていくのかなと思っていたのですが、ワンテイクでの撮影で。全員ミスなく終わったら次のカットに進むことができるので、少しでもミスをするとやり直しになるという緊張感がありました。

【 丘山 】 そうだね。僕も慣れていなかったからプレッシャーがたくさんあったし、間違えないように必死で、つねに全力で踊っていました。

【 和田 】 ニュー・ジャックは無呼吸の状態になることが、ほかのダンスよりも目立つ気がします。そんななかで飛んだり跳ねたりすることが多いので、呼吸がしっかりできないのがきつかったです。

【 丘山 】 ダンスというよりも持久力と体力を求められる“運動”に近いですよね。

ダンスバトルは目の前にいるダンサーが相手

ーー 実際にダンスバトルのシーンを経験してみていかがでしたか。

【 和田 】 ダンスバトルは初めての経験で楽しかったです。舞台でお客様に向かってダンスを踊ることはありましたが、ダンスバトルはお客様でなく、目の前にいるダンサーが相手になります。彼らがどんなダンスをするのか、相手の表情で僕のテンションが変わり、そこからリアルなダンスが生まれたと思います。

【 丘山 】 リズムを感じることの大切さ、ダンスに点数を付けられることの面白さをあらためて教えてもらいました。表現力や表情といった評価ポイントがいくつかあるのですが、ひとつの競技として、ビートを感じながらダンスを踊って対戦相手とのフィーリングを観客に見せるのは、これまでにない新しい感覚で新鮮でした。

ーー では、お芝居のパートで気をつけていたことはありますか。

【 丘山 】 屋外でダンスの稽古をするシーンがつらかったです(笑)。撮影が真冬だったので、寒い中で踊って汗をかいているように見せないといけなかったから。

【 和田 】 そうですね(笑)。ダンスもですけど、そこはつらかったかも。僕は大きなお芝居にしないように気をつけながら、ダンスパートと違ってナチュラルに演じるようにしていました。海斗は人を信用しないタイプで、他人の目をしっかりと見てお芝居をしてしまうとその人を信用しているように見えてしまいます。なので、相手の目を見過ぎないように、海斗の心情を理解しながら演じることを心がけました。

【 丘山 】 真城は徹底的に冷静な役で、まさに“大人のクールさ”を持った人物です。そういった役を演じることはこれまでになかった挑戦で楽しかったです。

◆役がブレないことに最大限の注意を払って

ーー 監督から言われたことで印象に残っていることはありますか。

【 和田 】 ドラマでは監督が3人いらっしゃって、それぞれに印象的な言葉をおっしゃっていただきました。皆さん個性のある監督だったので、それぞれの意見にただ合わせているだけだと、“三浦海斗”というキャラクターがブレて違う人物に見えてしまうと思ったので、自分の役がブレないように最大限、意識をしていました。監督から「こうして欲しい」と言われたことを自分で解釈して、自分なりの道筋を見据えて演じました。

【 丘山 】 舞台だと始まりから終わりまで一本線なので、役の心情をつなげることができます。ですが、映像の場合はストーリーの順を追って撮影をしないので、脚本を読んで理解していても気持ちをどう保つのかが難しかったですね。そのぶん、監督とのコミュニケーションを大切にしました。しかも監督が3人いらっしゃったので、和田くんが言ったように、自分の中に“真城博一”という芯を一本持ってお芝居に臨みました。

ーー テレビドラマだけでは終わらず、舞台にもつながりますが、気をつけていたことはありましたか。

【 和田 】 映像はカメラの引き、寄りがありますが、舞台では全身を見せるので、ダンスの技術を本番までにさらに向上させないといけないと思いました。ただ、ダンスやキャラクターの人間性、実際の会話のリアリティーは舞台の稽古に入らないと生まれないので、今はそれほど難しく考えていないです。

【 丘山 】 僕も和田くんと同じで、ダンスに関していえば、あくまで稽古に入ってからドラマで撮ったダンスにプラスアルファしていく作業をしたいと思っています。ダンスは寝かしていると上手になることがあるので、稽古までに熟成させて、みんなが集まったらどうなるのか楽しみにしています。

ーー おふたりは舞台でダンスをすることもありますが、ダンスをしていて思い出に残っていることはありますか。

【 丘山 】 数人で構成されるダンスチームのひとりとして、“スウィング”というダンスをした舞台があったのですが、急遽ダンサーのひとりがいない状態で踊らないといけなくなってしまったんです。ダンスキャプテンがお客様に見つからないように舞台に入って、インカム(無線機)で僕らに導線の指示を出すことになった舞台はかなり覚えていますね。

【 和田 】 怖っ! 夢に見ますよ(笑)。

【 丘山 】 (笑)。これまで出演した舞台でも忘れられない経験になりました。

【 和田 】 つい先日、舞台「おそ松さん on STAGE」から派生したF6の2nd LIVEツアー『Fantastic Ecstasy』の千秋楽を、残念なことに無観客ライブとしてYouTubeで配信したのですが、誰もいない客席に向かってダンスをすると表現の仕方が変わることに気づきました。やっぱりお客様の大切さを感じたし、こういった経験は二度とできないと思います。

◆どのキャラクターにも感情移入できる

ーー それでは、最後に見どころをお願いいたします。

【 丘山 】 “KOD=青春ダンス白書”だと思いつつ観てください。なぜ、僕が“青春ダンス白書”と言っているのか、その理由がわかります(笑)。

【 和田 】 みなさーん、“KOD=青春ダンス白書”というタイトルではないですからね(笑)。

【 丘山 】 いやー、青春だよ!(笑)そして、舞台版ではテレビとはまた違った臨場感のあるダンスをご覧になっていただけると思います。ぜひ、ドラマと舞台両方を観てください。

【 和田 】 吉谷さんの物語はわかりやすく、どのキャラクターにも感情移入できるので、テレビだけでなく、舞台にも足を運んでくだされば嬉しいです。

(c)2020「KING OF DANCE」製作委員会

和田雅成&丘山晴己がダンスで魅せる“青春”。ドラマ×舞台連動プロジェクト『KING OF DANCE』で繰り広げられる濃密な人間模様は、WHAT's IN? tokyoへ。
(WHAT's IN? tokyo)

掲載:M-ON! Press