イアンライト氏が就任当時を振り返る 「なんだか大学の教授みたいだった」

 1996年から2018年までの約22年間にわたって、アーセナルで長期政権を築いたアーセン・ベンゲル氏のキャリアの中でも、同クラブ90年代末から2000年代前半にかけて見せた圧倒的な輝きには、今も称賛の声が絶えない。ベンゲル氏はどのようにして、あの黄金期を築いたのか。それは大いに興味をそそる話題だが、どうやらその秘訣は前例に囚われない同氏のチームマネジメントにあったようだ。

 ベンゲル氏がアーセナルの監督に就任したのは、今から24年前の1996年。英公共放送BBC」の番組で、当時の同氏の様子を聞かれたアーセナルOBで元イングランド代表FWのイアンライト氏は、「分厚い眼鏡をかけて大きめのサイズスーツを着ていて、なんだか大学の教授みたいだったよ」と振り返る。

 他の指導者とは、だいぶ違ういで立ちで強烈なインパクトを残したベンゲル氏だったが、それに構うことなく同氏はチーム改革のためのプランを矢継ぎ早に実行に移した。新たなトレーニングメソッドの導入だけでなく、水を多めに摂ることによる代謝の向上や食事の際に噛む回数を増やすことを要求するなど、それまで誰も全くやったことも意識したこともないものを次々に取り入れて、選手たちをさらに驚かせたという。

 ベンゲル氏は選手の栄養バランスには特に注意を払っていたようで、当時のアーセナルの選手たちはビタミンCビタミンB12オメガ3といった成分が入った注射を定期的に打っていたという。現在では選手のコンディションを保つためにサプリメントを摂取するのは一般的になっているが、栄養学まで取り入れるのは当時としてはかなり斬新な発想であり、そのチームマネジメントは「時代のかなり先を行っていた」(ライト氏)という。

 こうした選手の生活面での改善以外にも、それまでウイングとしてプレーしていた元フランス代表FWティエリ・アンリセンターフォワードにコンバートしてその才能を開花させたり、無名の若手選手を積極的にスタメン起用するなど、ベンゲル氏はピッチ内外で新たなチャレンジを続け、シーズン無敗でのプレミアリーグ制覇(2003-04)やFAカップ3連覇(01-02、02-03、03-04)などの輝かしい実績を残した。その理論に裏打ちされた失敗を恐れないチャレンジ精神こそが、ベンゲル氏とアーセナルに大きな成功をもたらしたのかもしれない。(Football ZONE web編集部)

アーセナル監督就任当初のベンゲル氏【写真:Getty Images】