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それだけの価値

なぜなら、i8にはそれだけの価値があったからだ。

BMWには2020年代を迎えてもまだi8の時代が来ないなどとは想像すら出来なかっただろう。

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このクルマパワートレインとシャシーは見事なマッチングを見せる。

もし、より高い持続可能性を備えた現代に相応しいグランドアラーというものを考えた時、i8のようなクルマを思い浮かべることが出来ないとすれば、その理由は単にわたしの見識不足でしかない。

BMWはi8をディスコンにする一方、同じような価格帯の2+2クーペでありながら、2t近くの車重にV8ツインターボエンジンを組み合わせたM8コンペティションをデビューさせている。

だが、i8をディスコンにしたからといってBMWを責めることなど出来ないだろう。

実に6年もの間i8は販売されてきたのであり、このクルマが体現していた時代の変化を受け入れなかったのはわれわれの方なのだ。

それでも、個人的には後継モデルの不在こそがこの喪失感の本当の理由であり、もし新型i8が登場していれば、今度こそは十分な成功が期待出来ただろうと思っている。

失われたチャンス

いまの世界はi8が想定していたものとはまったく異なるものだが、あと数十年もすれば、V8エンジンを積んだ車重2tのモデルなど目にすることは出来なくなるだろう。

その代わり、急激に進むだろう時代の変化に対応出来る唯一の選択肢として、バッテリー式EVとともに、ダウンサイズハイブリッドパワートレインを積んだ軽量なクーペが数多く登場するはずだ。

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1.5Lエンジンと電気モーターがこのクルマを見事なグランドアラーにしている。

もちろん、ラゲッジスペースやクーペに相応しい特別なインテリアなども重要だが、こうしたことはそれほど大きな問題ではない。

数年の開発期間で、新型i8はさらなるパワーアップとEV航続距離の延長、そして燃費性能の向上が可能だっただろう。

そうすればさらに時代に即したモデルとなり、ついに世界もこのクルマの偉大さに気付いたに違いない。

だが、もはやそうしたチャンスは失われてしまった。

ここからわれわれが学ぶべきは、もっとも先進的で魅力に溢れ、燃費性能に優れた興味深いモデルを創り出したとしても、成功が保証されているわけではないという事実であり、i8が残した教訓とは、ほどほどで満足しておくべきだということなのだ。

何よりもそれが残念でならない。

番外編1:ユーズドi8 購入のポイント

電気関係の不具合がいくつか報告されているものの、i8は驚くほど高い信頼性を誇っている。

登録1年で大きく価値を落とすことは本編でご紹介したとおりだが、その後、価格は急激に安定を取り戻しており、他のモデルに比べても新車に近い車両はお買い得だと言えるだろう。

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2015年モデルi8クーペ

それでも、ロードスターは本当にエクストラの金額を支払うに値するかどうか検討すべきであり、わたしならクーペを選ぶが、このクルマの欠点も知っておいた方が良いだろう。

最小限のスペースしかもたない後席と狭いトランクスペース、そしてその長大なドアはつねに隣のクルマとの間隔を考えて駐車場を選ぶことを求める。

2015年モデルi8クーペ:4万2000ポンド(560万円)、 走行距離6万1000km

いまや年式の古いi8あれば、4万ポンド(534万円)以下に値切ることも可能であり、驚くほどお買い得だと言えるが、より新しいモデルにこそこのクルマの価値はある。

2019年モデルi8クーペ:7万3000ポンド(974万円)、走行距離161km

この価格帯であれば、納車されただけと言えるようなi8を大量に見つけ出すことが出来る。

その高い信頼性にもかかわらず、ほぼ新車と言える車両が5万ポンド(667万円)オフで手に入るのだ。

2019年i8ロードスター:7万6000ポンド(1014万円)、走行距離8km

1年目の価格下落は比較的ロードスターの方が大きい。

見事な開閉動作を見せるルーフだが、このクルマの見事なラインをややスポイルしている。

番外編2:i3はどうなる?

i8はディスコンとなるが、幸いにもBMW「i」の冒険がこれで終わるわけではない。

それでも、その将来はバッテリー式EVのみとなるようだ。

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BMW i3

まず初めに登場するのがiX3であり、このジャガーIペイスとアウディeトロンライバルは今年デビュー予定となっている。

さらに来年にはテスラモデル3に対抗するモデルであるi4の登場が控えている。

だが現時点ではi8よりも先にデビューした高い信頼性を誇るi3のみであり、ディスコンが近いという噂もあるが、少なくともいま直ぐこのクルマに対して大ナタがふるわれることはなさそうだ。

決して大ヒットしたわけではないが、2013年の登場以来、毎年販売台数を伸ばしており、それは社会の変化と拡充される優遇税制、正しいタイミングでの改良とともに、入念な販売価格の見直しのお陰と言えるだろう。

もしこのクルマがあなたのライフスタイルマッチするとともに、その独特なルックスも気にならないのであれば、依然としてi3は強くお勧めすることの出来るモデルだ。

速いだけでなく運転しても楽しく、そのインテリアは依然として新鮮でモダンな印象を与えてくれる。

ただ、レンジエクステンダーモデルはすでにディスコンとなっており、新車のバッテリー式EVモデルを購入するか、ユーズド市場でレンジエクステンダーを探し出すしかないことには注意が必要だろう。


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