新型コロナウイルス感染拡大で世界中のモータースポーツ競技が中止もしくは延期を決断。F1は6月に予定していた第8戦カナダGPが延期となり、開幕から計8戦の開催スケジュールが吹き飛んでしまった。

そんな緊急事態にレーシングドライバーたちが活路を見いだしたのがeスポーツの世界だ。F1も公式バーチャルGPを開催。F1公式ビデオゲーム「F1 2019」を使って、ここまでバーレーンGP、オーストラリアGPがバーチャルの世界で実施された。

バーチャルGPの画面。バーチャルの第2戦オーストラリアGPでフェラーリルクレールが優勝(F1公式ツイッターから)

現役F1ドライバーも参加


 3月22日に開催された「バーチャル・バーレーンGP」ではマクラーレンランド・ノリスウィリアムズニコラス・ラティフィら現役F1ドライバーも参加。4月5日の「バーチャル・オーストラリアGP」ではフェラーリシャルル・ルクレールが初参加し、いきなり優勝を飾った。

 「バーチャルGP」以外にもレース系のeスポーツは続々と企画され、4月に入ってからはルクレールら現役F1ドライバー6人がチャリティー選手権の「Race for the World」を立ち上げた。目標額10万ドル(約1080万円)を募って世界保健機関(WHO)の「COVID-19新型コロナウイルス)連帯対応基金」に寄付する計画だ。

 モータースポーツの世界ではレーシングシミュレーター(疑似運転体験装置)技術が発達し、F1チームでも、レギュラーを目指す若手選手をシミュレーター担当の開発ドライバーとして起用。シーズン中は開発予定パーツを仮想現実の世界で試し、実戦に投入している。かつては実際のサーキットを使って開発テストを年中行ってきたが、開発コストの高騰や排ガスなど環境問題にも配慮して回数が大幅に制限された。その結果、シミュレーターに依存するようになった。

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メリットとデメリット

ルクレールeスポーツチャリティー選手権も立ち上げた(フェラーリ提供)

 F1でデジタル関連の責任者を務めるジュリアン・タン氏は「通常のレースを見ることがかなわないファンを楽しませたいと思っている。世界中のあらゆる主要なスポーツリーグが開催できない状況だけに、eスポーツの利点と驚くべきスキルを示す絶好の機会」としている。
 
実際のレースに近いリアルさは非常に評価できる。が、さすがに臨場感に欠ける点は否めない。接触すれすれのバトルは実際のマシンであれば、スリリングに感じる。実際に当たれば、マシンにダメージを負うだけでなく、選手の生命も危うくなるからだ。
 
不謹慎かもしれないが、これはサーカスの綱渡りを見ている感覚に似ているかもしれない。バーチャルの世界で綱渡りをしても、バランスを崩したらどうなるのだろうというハラハラ感に乏しい。だから見ている側は響かないのではないか。もちろん、その捉え方は嗜好(しこう)や年齢によっても異なるだろう。
 
eスポーツはどちらかというと参加型のスポーツ。現役ドライバーがファンサービスの一環としてバーチャルレースに参加することは理解するが、物足りなさを感じるのは自分だけではないはずだ。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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開催中止・延期のF1 eスポーツ「バーチャルGP」が開催され現役F1ドライバーが優勝!