時として『2001年宇宙の旅(1968)』や『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望(1977)』、『アバター(2009)』など映画の歴史を劇的に変える作品が出現することがある。まるで生きているかのような恐竜を見せてくれた『ジュラシック・パーク(1993)』(4月28日(火)朝10:30、WOWOWシネマほか)もそんな1本。

【写真を見る】生きているかのような恐竜を描き映画の歴史を変えた1作『ジュラシック・パーク』 (シリーズ作品写真計6枚)

それまでの映画に出てきた恐竜はミニチュアストップ・モーション・アニメか着ぐるみ、最悪の場合はトカゲに角や背ビレをつけただけのモノだった。大画面に映し出された躍動感あるCGによる恐竜の姿はそれだけでエモかった。だがそれ以外にもエモい要素いっぱいなのが「ジュラシック・パーク」シリーズだ。

■ 第1作『ジュラシック・パーク(1993)』

ジュラシック・パーク』では、数千万年前に恐竜の血を吸った蚊が樹液に閉じ込められ化石化した琥珀から、大富豪ハモンド(リチャード・アッテンボロー)が恐竜のDNAを採取し、クローン技術によって恐竜を現代に甦らせた。

この虫入り琥珀は数千万年前の生物をそのまま見られる貴重な物だが、博物館や専門店で実際に売られていて、小さいものなら数千円程度で買えたりする。人類の夢を実現するはずのジュラシック・パークだが、暴風雨と金に目のくらんだ裏切り者によって恐竜が暴走、多くの犠牲を出して開園前に中止となってしまった。

さまざまな恐竜が登場したが、人々の記憶に残ったのがティラノサウルス・レックス(通称Tレックス)とヴェロキラプトル(通称ラプトル)。体長11~13mと巨大で凶暴なTレックスも怖いが、厄介だったのが知能も高く屋内まで追ってくる体長2mのラプトル。この2種はシリーズを通して重要な役割を担うことになる。

■ 第2作『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク(1997)』

ジュラシック・パーク』のその後が描かれたのが『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク(1997)』(4月28日(火)昼0:45、WOWOWシネマほか)。舞台となったのはサイトBと呼ばれる恐竜の飼育・研究所。恐竜を軍事目的などで商売しようとした男たちによってTレックスの親子がアメリカに連れてこられてしまう。

大都市に巨大生物が現れるのはスティーヴン・スピルバーグ監督が大好きだった『キング・コング(1933)』や『ゴジラ(1954)』へのオマージュで、ラストに登場する翼竜プテラノドンはタイトルの由来ともなった恐竜映画『ロスト・ワールド(1925)』の最初に出てくる恐竜で、あえてラストに出すというオマージュ(当初は最後の敵の予定だった)。

■ 第3作『ジュラシック・パーク3(2001)』

続く第3作『ジュラシック・パーク3(2001)』(4月28日(火)昼3:00、WOWOWシネマほか)は番外編的作品で、少年が事故でサイトBに漂着し、遭難してしまう。Tレックスとスピノサウルスの巨大恐竜同士の戦いやプテラノドンの襲来などアクション要素が高い1作だ。

※『ジュラシック・パーク3(2001)』の「3」はローマ数字が正式表記

■ 第4作『ジュラシック・ワールド(2015)』

そして第1作から22年を経てつくられた直接的な続編『ジュラシック・ワールド(2015)』(4月18日(土)昼5:45、WOWOWシネマほか)。ジュラシック・パークを受け継いだマスラニ社は新たにジュラシック・ワールドとして開園。ジュラシック・パークが建設されていたのは南米コスタリカ沖200kmにあるイスラ・ヌブラル島の北側、ジュラシック・ワールドが作られたのは南側で、22年ぶりに舞台がイスラ・ヌブラル島に戻ったことになる。

本作のメインとなる恐竜は飼育員オーウェン(クリス・プラット)が生まれた時から育てているラプトルと、Tレックスやラプトルなど複数の生物の遺伝子を操作してつくられたハイブリッド恐竜インドミナス・レックス。知性の高いインドミナス・レックスが飼育場から脱走し、ワールドは大混乱となる。これまで人間の敵だったラプトルが、オーウェンと共にインドミナス・レックスに立ち向かうシーンは激アツだ。

そしてラストにはTレックスが登場するが、実は第1作のTレックスと同一個体で、胸の傷は同作でラプトルと戦ったときの傷である。

■ 第5作『ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018)』

オーウェンたちがイスラ・ヌブラル島の火山の噴火を察知し、閉園したジュラシック・ワールドに残された恐竜たちの救出に向かうのが『ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018)』(4月18日(土)夜8:00、WOWOWシネマほか)。前半はスリリングな恐竜救出劇、後半は連れ出した恐竜たちを軍事利用しようとする企業との戦いとなり、今度はラプトルを遺伝子操作した知能も高く凶暴なインドラプトルが登場する。

ジュラシック・ワールド』シリーズ2作では『ジュラシック・パーク』へのオマージュが満載。最初に姿を見せるのが『~パーク』と同じブラキオサウルス(それだけに炎に包まれる姿は切ない…)、オーウェンたちが逃げる最中に出てくるのが『~パーク』で転落したローバー、さらに逃げ込んだ先がジュラシック・パークの廃墟となった施設など、シリーズを観ているとグッとくるエモいシーンの連続だ。

実は『ジュラシック・ワールド』の恐竜のテーマ・パークで恐竜が暴走しパニックとなるという展開は『ジュラシック・パーク』と、『~炎の王国』の捕まえた恐竜たちをアメリカに連れてきて商売にしようとするが脱走しパニックに…という展開は『ロスト・ワールド~』と同じで、この4作は2組の双子のような存在なのだ。

そう思って観ると作品ごとの共通点やオマージュに気づき、さらにエモくなるのが「ジュラシック・パーク」シリーズ。5本通してご覧になることをお薦めする。

■ 文=竹之内円

映画ライター。主に雑誌に映画紹介などを書き散らしています。それと『ターミネーター:ニュー・フェイト』『謎の円盤UFO』などのサウンドトラックCD封入のライナーノーツを書きました。よかったら見てください。(ザテレビジョン

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』