The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)のMOD日本語化コミュニティ「Japanese Community Translation Project」は、大型MODEnderal: Forgotten Stories日本語化を完了した。Steamからゲームをインストールし、プロパティから言語設定を行えば日本語でゲームを楽しめる。

 開発チーム「SureAI」が制作した『Enderal: Forgotten Stories』は、『スカイリム』のシステムをベースにしながらも、まったく異なる世界「ヴィン」での独自の物語が描かれる作品だ。こういったゲームのすべてを変更するような独立した大型MODは特別に「トータルコンバージョン」とも呼ばれる。

 「SureAI」はThe Elder Scrolls IV: Oblivion用の大型MOD『Nehrim: At Fate’s Edge』も開発しており、世界設定は『Enderal』と地続きとなっている。「スターフォール」と呼ばれる大災厄によって「ヴィン」の世界が今の形になってから8000年が経ち、4000年続いたという「ライトボーン」と呼ばれる神々の統治が終わりを迎える、激動の時代がゲームの舞台だ。

 ゲームの世界「ヴィン」に存在するエンデラル大陸に流れ着いた主人公は、さまざまな仲間と出会い、世界と人類の存続にかかわる重大な事件の中心人物となっていく。偽りの神々の黄昏による戦乱と文明の消滅、それらにかかわるとされる高位の存在。謎に満ちた壮大な物語が魅力だ。ゲーム独自の世界は、スピンオフ小説『Dreams of the Dying』が公開されるほどに練られている。

 物語重視のゲームだが、砂漠、原野、森林、ジャングル、山脈など広大な世界を歩き回る楽しさは『スカイリム』ゆずりだ。第三者が制作したさまざまなMODが組み込まれており、グラフィックはオリジナルの『スカイリム』より大幅に改善されている。

(画像はSteam『Enderal: Forgotten Stories』より)
(画像はSteam『Enderal: Forgotten Stories』より)
(画像はSteam『Enderal: Forgotten Stories』より)

 物語だけでなく本MODでは『スカイリム』からさまざまな点が変更されているが、特筆すべき変更点はレベルスケーリングの撤廃だ。プレイヤーが強くなるごとに敵も強くなるのではなく、敵が強い地域に行きたければ相応に鍛えなければならない。

 基本となるローグ「ウォーリアー」「メイジ」の3つのクラスに、『Fogotten Stories』では新しくクラフト系のクラスが追加された。これらのクラスを鍛えるための経験値はクエストをこなしたり、敵を倒すことで得られるため、伸ばしたいスキルを使い続けて鍛える『スカイリム』とは異なるゲームデザインとなっている。また、使いたいスキルはまず「スキルブック」で学ばなければならないというシステムになっている。

(画像は『Enderal: Forgotten Stories』より)
(画像は『Enderal: Forgotten Stories』より)

 実際に今回の日本語化にあわせてプレイしてみたところ、日本語訳は有志の翻訳チームの情熱を感じさせる出来で、少なくともストーリー導入部で語尾やしゃべり方を含めて違和感は無かった。ストーリーを説明する動画やUIなども完全に日本語化されている。フォントも良く吟味されており、ゲームにマッチしている。 ゲームのプレイ時間は30時間から125時間を想定しており、物語重視のゲームのため日本語化の労力は計り知れない。ありがたく使わせてもらおう。

 丁寧な日本語化がなされ、日本人でもゲームを芯まで楽しめるようになった『Enderal: Forgotten Stories』。『スカイリム』をやりこんでしまい、もうやることがないという方も、ヴィンの世界に旅立ってみてはいかがだろうか。

ライター/古嶋 誉幸

ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros