終わりが見えないコロナ禍で人々のストレスはたまる一方。そんななか、一部の人たちによるヘイトまがいの発言・行為が止まらない。

例を挙げれば政権寄りの発言を繰り返し、ある意味ネタ的な存在になりつつある政治評論家・田崎史郎氏(『ひるおび!(TBS系列)4月14日放送のコメントがわかりやすい。

田崎氏は、国による営業補償をすると際限がないと主張するなかで、唐突に「風俗店にも補償をするのはどうなのか」という声もある、と言い放ったのだ。おそらく、風俗店の補償是非を話せば共感を得られると考えたのだろうが、あまりにも決め打ち、突拍子のなさに他の出演者たちには黙殺された。

 

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確かに、風俗店への補償に関しては賛否があるだろう。しかし東京都の例をあげれば、まず業種を指定しての自粛要請という事実がある。また法的な根拠としては、(一部の違法店を除けば)きちんと国への届け出も済ませている。言ってみれば「お国が認めている」仕事なのだ。それをなかば感情論で非難するのは、筋違いとしか言いようがない。

さらに言えば、緊急事態宣言が発出された際、名指しされた事業者のなかには経営の行き先を考えて休業を躊躇する人もいたが、ソープランドなどの代表的風俗店は早々に休業に踏み切っている。これには、元来お上の言うことには逆らわないという風俗業界の体質も影響しているが、世の非難を浴びたくない、という考えが根底にあるのだろう。

このように、風俗業界に代表されるような特定の業種へのヘイトまがいの非難は、主としてネット空間でやり取りされることが多い。しかしその一方で、田崎氏に代表されるような大メディアからも、度々聞こえてくるのだ。どちらの影響力が大きいかについては議論があるだろうが、日頃公序良俗的な言説を繰り返している大マスコミには、より責任の重さがあると筆者は考える。

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 大マスコミと言えば、こんなこともあった。緊急事態宣言発出後初の週末、大阪の街をレポートする4月9日デイリースポーツの記事だ。大阪ミナミの閑散とした状況を伝えたあと、休業が多いパチンコ店のなか、“JR新今宮駅周辺”の複数の店舗は営業を継続しいていると報じた。

さらに、開店前の行列の様子や半数程度しかマスクをしていなかったこと、列に並んだ無職の男性のコメントとして「感染者は北新地のクラブに行っているようなお金持ちだけだ。ここらの人間は大丈夫」と記したのだ。当然、ニュースサイトのコメント欄には(男性に対する)非難の言葉が並んだ。

緊急事態宣言下、パチンコに行く人に対し、非難の声を上げる人がいてもそれはおかしくない。しかし、デイリーはことさらJR新今宮駅周辺と狙い撃ちしたようにレポートしている。地元の人ならわかるだろうが、ここは釜ヶ崎あいりん地区)と言われるドヤ街だ。

そこは、高度経済成長期を支えてきた老いた労働者たちが住む福祉の街でもある。大阪に基盤をおくデイリーがそれを知らないハズはあるまい。いわば国家から取り残された人たちの背景を一切語らず、断片的な切り取りで報じるのは差別的ですらある。あるいは記者たちには、釜ヶ崎に行けば“アナーキー”なコメントが取れる……という期待があったのか? それならなお一層、背景を語ることが大切だ。

ネットメディアに追撃されているとはいえ、まだまだオールドメディアの力は絶大だ。これ以上マズコミなどと揶揄されないよう、いま一度襟を正す必要があるだろう。(取材・文◎堂本清太)

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