テーマパークでさまざまなアトラクションに乗って、友達と過ごす一日は格別ですよね。日常を離れて、時を忘れて楽しんだ経験がある人も多いのでしょうか。今回訪れたのは、山梨県にある富士急ハイランド。アトラクションを担当している原田真弥さんに、スタッフとしての業務内容や、どんな人が向いているかなどを伺いました。

自分の手でアトラクションを動かす楽しさがある

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
園内のアトラクションを運営しています。お客様の誘導や安全確認、そしてアトラクションの運転が主な仕事です。また、係長として、勤務配置の決定など現場を管理する業務も担っています。

勤務時間は季節やシフトによって異なります。また、アトラクションを効率よく運営するため、何回かに分けて交代で休憩を取っています。

<一日のスケジュール>
8:45 出勤 整備士と連携しながらアトラクションの点検・試運転
9:30 開園 運転やお客さまの案内、事務作業、勤務配置の決定など
       ※上記の間に60分休憩あり
17:00 閉園 アトラクションの点検
17:15 退勤 

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
現場でお客さまの笑顔を直接見られることは、大きなやりがいだと思います。また、いろいろなアトラクションを動かせるのも楽しみの一つ。アトラクションごとに社内免許が必要ですが、それぞれの機械を深く知り、自分の手で動かせるのは楽しいですね。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

業務時間中のほとんどを屋外で過ごさなければならないことです。ここは富士山の麓なので、冬は氷点下まで冷え込むこともあり、寒さは堪えます。また、立ち仕事が基本なので、それなりの体力が必要になることも大変といえば大変です。

4歳から持ち続けた、テーマパークスタッフへの夢

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
 
家族揃って絶叫マシンが好きで、富士急ハイランドにも新しいアトラクションができるたびに来園していました。遊園地で働くと決めたのは4歳のとき。小学校の文集などにも、その決意を書いていましたね。

大学卒業後は、複合アミューズメント施設を運営する会社に就職したものの、遊園地への思いを捨てきれず、神奈川県内のテーマパークへ転職。4年ほど前に富士急ハイランドへ移りました。
 

Q5. 大学では何を学びましたか?
 
高校時代、不況で多くの遊園地が閉園に追い込まれていたのを見て、「つぶれる遊園地をなくしたい」という思いを持っていました。お金の流れを学び、遊園地で働くときに役立てられればと経営学部を受験。マーケティングや商圏分析の手法をはじめ、銀行経営論など専門的な分野についても学びました。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
高校時代の一時期、美容師になろうと考えていました。昔から手先が器用で、ファッションも好きだったので、美容師が向いていると思ったんです。美容院でアシスタントアルバイトをしたこともあります。しかし、一生できる・一生愛せる仕事は何かと考えたとき、やっぱり遊園地しかないと思い直しました。

当時自分が調べた範囲では、入りたいと思っていた遊園地は軒並み大卒総合職を正社員として採用していました。現場で働くなら大卒でなくても良いのですが、その時は「高卒という理由で遊園地に入れないのは嫌だ」と思い、大学へ進学。紆余曲折はありましたが、当時のまっすぐな思いは今につながっていると思います。

テーマパークスタッフに必要な、明るさと責任感

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
 
明るい性格の人だと思います。私たちは、一日中接客をして、お客さまを喜ばせるのが仕事です。明るい人なら、素のままのテンションでお客さまと接することができるので、苦にならないと思います。

また、責任感の強い人も向いています。お客さまの安全を守るのは私たちの使命。それぞれが責任を持って事故や故障の芽を摘まなければいけません。「安全バーがきちんと下りていない」「お客さまの乗車姿勢が正しくない」など、小さな違和感をやり過ごさず「おかしい」とはっきり言える人が望ましいです。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
もし、子どもの頃から好きなことがあるのだとしたら、それは才能だと思います。「好きこそものの上手なれ」。好きだと思えることなら、つらくても頑張れます。その気持ちを、ぜひ大事にしてください。

一方で、昔からの夢だけにとらわれる必要もありません。大人になって、いろいろなものに興味が湧き、別の道を歩むこともあるでしょう。私も、大学卒業後は遊園地でなく複合アミューズメント施設で働きました。

私はその仕事が自分のやりたいことと違うと分かり、転職をして遊園地で働くことを選びました。そんなふうに、大人になってから道を選び直しても遅くはないと思います。変わらぬ思いを持っていれば、好きなことへ「戻っていく道」は、きっと見つかるはずです。

 
原田さんがテーマパークスタッフになると決めたのは、4歳のとき。高校・大学では、その夢を持ちながらも、他の道に進む可能性を模索しました。結果的に、転職という形でテーマパークスタッフという職を得て、今ではさまざまなアトラクションを動かし、訪れる人々を笑顔にしています。誰もが好きなことを仕事にできるわけではないかもしれませんが、「昔から好きだったもの」を大切にしながら、これからの進路を歩んでいきたいですね。


profile】株式会社富士急ハイランド 遊園地本部アトラクション 原田真弥