新型コロナウイルスの感染拡大にともない、映画館の上映自粛が続く中、小規模映画館(ミニシアター)の存続が危ぶまれている。

客足が遠のいていたところに、3月26日緊急事態宣言が出され、上映自粛をして経営危機におちいるミニシアターが続出しているという。

そうした中、ミニシアター存続のために映画監督や俳優らが立ち上げたプロジェクト「 #SaveTheCinema ミニシアターを救え!」は4月15日、国に緊急支援を求める要望書とネットで募った署名を内閣府文化庁などに提出した。

要望書では、感染拡大防止対策などにより生じた損失の補填や、新型コロナウイルス流行終息後の集客回復のための支援を求めている。

呼びかけ人の1人である馬奈木厳太郎弁護士は、「ミニシアターだけを救済してほしいということではなく、窮状にある飲食業や観光業と同じように、映画関係者も社会を構成する一員です。ミニシアターが私たちの生活や社会にとって必要不可欠なものだということを、ぜひ多くの人に共感をいただければと思います」と話している。

●諏訪敦彦監督らが映画文化の窮状訴え

プロジェクトの呼びかけ人には、映画業界のそうそうたる顔ぶれが並ぶ。映画監督では、是枝裕和氏や塚本晋也氏、森達也氏、俳優では井上新氏や柄本明氏らも名を連ねる。

プロジェクトでは、ネットの署名サイトで賛同者を募ったり、クラウドファンディングで支援を求めるなどの活動をおこなっている。署名は6万8000人を超えているほか、クラウドファンディングでも、約9000万円が集まっている(4月15日現在)。

この日、オンラインで会見をおこなった呼びかけ人の1人である諏訪敦彦監督は、ミニシアターがもともと脆弱な経営基盤だったところに、新型コロナウイルスが直撃したと指摘。次のように語った。

「ミニシアターは閉館ぎりぎりの状態に追い込まれています。映画業界では、製作も中断していますし、映画に関わるすべての人がダメージを被っています。

ミニシアターは全国のスクリーンのうち、わずか12%ですが、それによって映画文化の多様性が保たれています。ミニシアターがミニシアターが地域の映画文化を担っているところもあります。あらためて、支援が必要であることを訴えたいです」

●フリーランスで働く映画スタッフに広がる不安

また、同じく呼びかけ人である白石和彌監督は、5月に新作の撮影が始まる予定だったが中止となり、現場で働くスタッフが職を失う危機にあることも訴えた。

「今、映画の撮影そのものが、無期限で中止になるなどの状況に追い込まれています。映画のスタッフは9割がフリーランスで働いていますから、働き場がなくなっています。スタッフは、いつ映画の仕事がくるのかと、途方にくれています」

白石監督はミニシアターで上映される映画は、規模が小さく、若い監督や俳優が活躍する場であることを指摘。「映画を支えてくれる場所がなくなると、映画の人材を供給している根源が失われる危機感があります」と語った。

プロクジェクトでは今後も署名活動などを継続、引き続き支援を訴えていくという。

ミニシアターの存続危機、監督や俳優らが国に緊急支援訴え 「映画文化が失われる」