オフィシャルYouTubeチャンネルの登録者数が65万人、累計再生回数が3億回を突破し、ますます独自の世界を切り開いているコント師・ジャルジャル(後藤淳平、福徳秀介)。

 5月7日からスタート予定だった全国ツアー(5都市14公演)『JARUJARU TOWER 2020ージャルってんじゃねえよー』が、新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止となってしまったが、ツアーを楽しみにしていたファンのために2つの企画が実施される。「スーパーセール 0円ジャルジャル」では、ジャルジャルがとことんファンのリクエストに応え、「クラウドファンディング」では、ファンの力を借りて完全新作の映像という“作品”を制作する。

 デビュー直後から活躍し、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)のメンバーにも加入。一躍、時の人となった彼らだが、ブレずにやり続けたのが「ネタづくり」。これがどのように映像として表現されるのか注目が集まっている。

 今回は、ネタ作りのこと、YouTubeのこと、さらには個人の活動のことまで大いに語ってもらった。

ーーYouTubeに進出したこともあって、ファンの幅が一気に広がったと思います。ライブにいらっしゃるお客さんの顔ぶれも変わってきたのでは?

後藤「YouTubeは男性がよく見てくれているんで、男性のお客さんが増えた感じですね」

福徳「同じライブを何回も観に来てくれる方も多いみたいで、そういう方々も笑わさなアカンし、初見の方も笑かさなアカンし、気合い入りますね」

ーーYouTubeが3億回の再生数。結果を出し続ける状況で、自分たちのやりたいことの幅が広がった実感はございますか?

後藤「それはありますね。『ジャール』(笑いとアートの融合を試みるユニット)っていう活動をやっているんですけど、そういうものを考えられる時間もできたし、考える余裕もできたし、好きなものをやらせてもらえています」

福徳「YouTubeやる前に、社員さんから『ジャルジャルさんはネタだけ作っておいてください』って言われたんで、僕らそこからネタしか作っていないんで。ネタを作りたくても作れない環境の芸人さんがいっぱいいる中で、運良くやらせてもらっています」

ーー何千本もストックがあるほどコントを量産されていますが、ネタはどうやって作られるんですか?

福徳「2人でテレビ見ながらとか、こうやって会議の物音とか(取材場所では、まったく無関係の会社が近くで会議をしていた)……。ついさっきも、皆さん僕らに聞こえていないと思って、『後藤さんのお父さんって市長らしいよギャハハハハ』って(笑)」

後藤「大笑いしてました(笑)。まる聞こえだったんです」

福徳「ネタ作りシーズンだったら、完全にネタにしていました(笑)。こんな感じでネタをするって、スピードワゴンの小沢(一敬)さんに話したら、『作り方がユーミン(松任谷由実)と一緒じゃん』って(笑)」

ーー芸能界にもジャルジャルさんのファンが多いそうですね。

福徳「ライブには、吉岡里帆さん、IVANさん、岡崎体育さん、ヤバイTシャツ屋さんとか、いろいろいらしゃってくれています」

後藤「あと北野武さんの息子さんとか……。たけしさんの若い頃にソックリで」

ーー特に印象的だったコメントは?

福徳「小池栄子さんが『今年見たヤツの中で一番面白かったです~!』って、お世辞じゃない感じで言ってくれたのが嬉しかったです」

ーー福徳さんは小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館)を発売されるそうですね。

福徳「まぁ~気合入れました! 手直しのために、200回以上読み返していますし、最初と内容は全然違います。やれることをやったなって気がします」

ーー恋愛小説になっているんですよね。

福徳「恋愛小説のつもりで書いたんですけど、かなり変わって、今は恋愛小説かどうかも分からない状態です。自分の体験とか人生観を交えながらまとめました」

ーー本をよく読まれるそうですが、これまで読破した中で印象的な一冊は?

福徳「初めて読んだんが、ウッチャンナンチャンの内村(光良)さんの『アキオが走る』(角川書店)ですね。これは後藤にも読ませました」

ーー後藤さんは映画『記憶にございません!』出演や、近日公開される映画『ロックンロール・ストリップ』の主演にも抜擢されました。俳優の世界に立ってみて感じたことはございますか?

後藤「コントと一緒というと失礼になるのかもしれないですけど、別人として何かをやるっていう意味では、だいぶ近いですね。ただ、セリフを与えられてやるのはコントと違うんで、そこをナチュラルにやる難しさはあります。“普段人と喋る時ってどうしてたっけな?”とか考え出すと分からんようになりますし……。
それに、コントは100%笑かすために別人でやるんですけど、映画はそうじゃないじゃないですか。そこはほんまムズイですね」

ーー三谷幸喜監督作品の『記憶~』で思い出に残っていることは?

後藤「(キャストの中で)芸人は僕だけやったんですけど、三谷さんが“喋る相手がおらんやろな”って気を使ってくれて、めっちゃ話しかけてくれました」
ーー昨今の新型コロナウイルスの影響で、お仕事にも支障があると思います。空いた時間は何をされていますか?

福徳「ずっとネタ作りです。今回単独ライブのためにネタを作りすぎて、『もうやめとこか。選ぶネタ迷うわ』って初めてセーブしたくらいで」

後藤「150本くらいできたんですけど、使わへんヤツは、YouTubeにアップする流れがあるんで、一応全部財産になるんですけどね」

ーー私生活や仕事で困ったことは?

福徳「個人的に言うと、トイレットペーパーがラスト1ロールだったので、初めてドラッグストアの開店前に並びました。“買い占めしている”と思われるのが嫌やったから、ムダにヨーグルトを一緒に買って(笑)」

後藤「うちはラスト4ロールなんですよね……。どこにも売っていなくて、どうしようみたいな……(笑)。仕事で言うと、お客さんの前でやる感覚がどんどん遠のいっていっている気がします」

福徳「恥ずかしながら公園で発声練習しています(笑)。舞台で出す声って、日常生活からしたらムチャクチャデカいし、長い間出してなかったら声が飛ぶんで、周りをチラチラ見ながら一人で練習して(笑)」

――ツアーが中止となってしまいましたが、特別企画についてファンにメッセージをお願いします。

後藤「ツアー中止ごめんなさい! その分できた時間をジャルジャルスーパーセールという形で皆さんのために使わせて下さい! そしてツアーのために用意していたネタを、皆様のお力を借りて映像化させて下さい! 2つともジャルジャルにとって初の試みなので、僕自身非常にりんぐりだと思っています!よろしくお願いします!!」

福徳「ツアー中止、悲しいです。安全第一で乗りこえましょう! ジャルジャル、時間が有り余ったので、ジャルジャルを無料で差し上げます!!! なんなりとお申し付けくださいませ!!! ツアーのためにネタを150個用意していました!ライブのかわりに映像化しようと思っております! ご協力よろしくお願いいたします」

取材・文:浜瀬将樹

『スーパーセール 0円ジャルジャル
【期間】4月17日(金)0:00~4月19日(日)24:00までの3日間
ジャルジャルにやってほしい事をTwitter上で募集。「#スーパーセール」「#0円ジャルジャル」の2つのハッシュタグをつけた上でリクエストをツイートし、採用された応募にはジャルジャルが無料で参加する。
新型コロナウイルス感染への対策を考慮した企画を中心に採用。

『完全新作映像作品クラウドファンディング
ジャルジャル史上初の完全ロケコントを主体にした映像作品を撮影し、完成した作品をリターンとして支援者に送付。クラウドファンディングSILKHAT」で支援を受け付け中。
URL:https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/1383

DVD『JARU JARU TOWER 2019 ジャルジャルのちじゃら』
5月27日(水)発売予定
http://yoshimoto-me.co.jp/artist/jarjar/news_detail/6017/

書籍『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
著者:ジャルジャル福徳秀介
11月2日(月)発売予定

ジャルジャル・後藤淳平、福徳秀介