新型コロナウイルスの影響で、大型コンサートから小規模のライブハウスをはじめ、 数多くのエンターテインメントに関わる分野が営業休止にせざるを得ない現状を受け 、エンタメ・音楽業界を支える3つの団体から、一般社団法人日本音楽事業者協会会 長・堀義貴氏、一般社団法人日本音楽制作者連盟理事長・野村達矢氏、一般社団 法人コンサートプロモーターズ協会会長・中西健夫氏が、4月18日ニッポン放送特別番組『いま、音楽にできること』で鼎談を行った。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛要請を受けて、堀氏は「ドラマの収録も止まって、バラエティも出演者を減らし、ロケもできない。ほとんどのタレントの仕事が減少している」とし、さらにスポーツとエンタメ業界合わせて3,300億円の損失を受けていることを吐露。野村氏は「一つの業界が吹っ飛んでいる数字」と語った。 また、「これだけ人の動きを止めている産業はない」と話した中西氏は、2月26日の政府からの自粛要請が大きなターニングポイントだったとし、「不要不急という言葉に我々のジャンルが入れられたことに傷ついたが、人の命に関わるため、延期はせざるを得ないと苦渋の選択だった。しかし、ここまで長引くとは思わなかった」と、出口の見えない戦いとの認識を明かした。そして堀氏は「ネットでの反応のなかには、生きるためにエンタメはいらないという意見があり一番傷ついた。世の中の人に自分たちの仕事がいらないんだと言われたようでとてもショックだった。」と率直な気持ちを語った。

 その後ライブが、不要不急の扱いを受けたことが『悔しい』というリスナーからのメールが紹介されると、堀氏はリスナーに共感し「(ライブが)必要な人もいることも想像してほしい」と訴え、野村氏は「生きるための“衣食住”としてだけでなく、 生きがいを感じるきっかけ、生きる糧になっている」と、“精神的な健康”を支えているという面でも大きな役割を果たしているはずだと語った。また、中西氏は、「東京ドームでライブをすれば、そこに関わる会社は30社以上ある。大きいフェスなら100社以上。そこにまつわる方々の雇用も含めて支えている」とし、「どれだけ多くの人々が関わっているか」を伝えていきたいと語った。

 野村氏は「コロナウイルスは1人1人が気をつければ、感染拡大は防げること」を訴えるため、『#春は必ず来る』 というハッシュタグでの発信を始めた。多くの人に浸透し、エンターテイメントがやれる使命、エンタメは強い力を持っていることが証明されたと思うと話した。 そして中西氏は今後について、「アーティストは個人でSNSの活動を通して音楽を発信することはできるが、ライブに関わる音響・照明・美術といったスタッフは関われない。そこを守るスキームを考えないと、再開したときに人がいなくなってしまう可能性がある。まずは自分たちがやれることをやっていきたい」と力強く話した。 最後に、堀氏はコロナウイルスそのものの恐ろしさを訴え、「今は生きることが先だと思う。このウィルスは人を追い込む。今はミュージシャンがなんとしてでも生き延びて、人々がほんわかするものを流さなければいけない」 とし、「今できることは“生き残ること”。それをサポートするのが“音楽”」と強調し、3人の鼎談は終了した。

 3人の鼎談のあとは、サカナクションの山口一郎が登場。アーティストの視点からいま感じていること、音楽業界 への提言などを、3団体のトップと語り合った。さらにMISIA及川光博が、テレワークにて出演し、今の現状を語った。 Little Glee Monsterは、中継にて歌声を届けた。番組のハッシュタグ『#いま音楽にできること』には、賛否を含めて積極的な意見が投稿され、番組でも随時、 紹介された。なお今回の番組では、スタジオが“三密”にならぬよう、感染症対策が施されたスタジオにて出演 者同士の距離や換気などしっかりと対応した上で、テレワーク出演や中継などを交えて、実施された。本番組は、radikoのタイムフリーで、1週間後まで聞くことができる。

◎番組情報
ニッポン放送特別番組『いま、音楽にできること』
2020年4月18日(土)17時40分~20時40分 生放送
出演:垣花正(司会)
堀義貴(一般社団法人日本音楽事業者協会会長)
野村達矢(一般社団法人日本音楽制作者連盟理事長)
中西健夫(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長)
ゲスト:及川光博MISIA、山口一郎(サカナクション) 、Little Glee Monster