日本の国内航空路線では、地方路線においてもジェット旅客機が主流となるなか、プロペラを回すターボプロップ機もいまだ多く見られます。もちろん理由のあることで、これをJACの現役整備士が、自作の漫画で説明しています。

幹線だけでなく 地方でもジェット機台頭のなか

2020年現在、日本の航空会社では、ジェットエンジンの一種であるターボファンエンジンを積んだジェット旅客機が主流です。300人以上を一度に載せられる大型の旅客機、たとえばボーイング777型機やエアバスA350型機などはもちろん、100席以下のクラスで航続距離が短くおもに地方間の路線を担うような旅客機も、主流はこのタイプのジェット機です。

一方、特に離島と本島を結ぶような地方路線では、プロペラを回して飛ぶターボプロップ機も数多く活躍しています。たとえばJAL日本航空)グループで、鹿児島を拠点とし、おもに同県の離島路線を運航するJAC(日本エアコミューター)は、ターボプロップ機ATR-42型機などを導入しています。

現在主流となっているジェット旅客機と比べると、プロペラを回すタイプの旅客機の歴史は長いことから、これらにはクラシカルな印象があるかもしれません。なぜまだこういった飛行機が活躍しているのでしょうか。

先述のJACはこの理由について、機内誌『JAC NOW~ゆいタイム~』内のマンガ『空の上の航空教室』で紹介しています。こちらは現役のJAC整備士が手掛けており、飛行機に関する疑問や鹿児島の離島などについて解説するという内容のものです。

JAC「メカニック絵師」が解説 ターボプロップ機導入のワケ

『空の上の航空教室』の連載第2回では、現代のジェット旅客機とJACで用いられているターボプロップ機が実は「仲間」であるとし、同じプロペラを回すものでも、ピストンエンジン(レシプロエンジン)機とターボプロップ機では大きく違うことを、図を交え解説していきます。

また別の回では、ターボプロップ機の大きな利点と、それをJACが使う理由についても触れています。

それによると、ターボプロップ機の強みのひとつは、離着陸に必要な滑走路の長さがジェット旅客機と比べて短くて済むことで、これが、1500mにも満たない短い滑走路の空港もある離島路線においてターボプロップ機を導入しているひとつの理由といいます。

なお、先述のJACが導入しているATR-42型機の製造元であるATRは、日本におけるターボプロップ機について、2025年までに100機の需要が見込まれるとしています。

JACで運航されているATR42-600型機の長胴型、ATR72-600型機(2019年11月、乗りものニュース編集部撮影)。